旅カメラ選びのポイント⑤ 三脚いらずの強力な手ぶれ補正機構を備えているか?

旅カメラの選び方【第5回】 Camera

旅行のパートナーに最適な旅カメラの選び方と、究極厳選したおすすめの機種をご紹介している本シリーズ。

第4回目であった前回は、旅カメラ選びの4つ目のポイント:「天候変化に対応できる防塵防滴機構を備えているか?」をテーマに、マイクロフォーサーズ規格のミラーレスカメラ(以下、「マイクロミラーレス」)が持つ強力な防塵防滴機構についてご紹介した。

旅カメラ選びのポイント④ 天候変化に対応できる防塵防滴機構を備えているか?

カメラやレンズの各所に施されたゴム状のシーリングが水滴やホコリの侵入を防いでくれるので、旅先で急な天候の変化に見舞われた時でもカメラの故障を恐れずに使い続けられる。また、晴天の日では決して撮影できない、雨や雪の日ならではの観光地の景色をモノにできるのも防塵防滴機構の賜物だ。

ところで、初心者や玄人に関係なく旅写真の撮影でも手ぶれは難敵だ。どんなに高画質な写真が撮影できるカメラでも、どんなに美しい絶景に出会っても、ぶれてしまっては何の意味もない。

しかし、マイクロミラーレスには強力な手ぶれ補正機構を備えた機種が多く発売されている。それらの機種を選べば、三脚を使わずともぶれのない高精細な写真が撮影できる。さらには、低速シャッターを生かした表現も楽しめる。

そこで連載第5回目となる今回は、旅カメラ選びの5つ目のポイント:「三脚いらずの強力な手ぶれ補正機構を備えているか?」をテーマに解説していく。あなたにとって旅先で相棒となる最適な旅カメラを見つけるための一助になれれば幸いだ。

Alan
マイクロミラーレスが持つ手ぶれ補正効果は絶大だ。わざわざ三脚を携行することなく手ぶれを補正できるので身軽に撮影できるし、手持ちで水流や光跡などの動感を生かした低速シャッター表現も楽しめる。あなたの撮影可能な領域を広げること間違いなしだ! @alan-d-haller

そもそも手ぶれって何?

望遠レンズで遠くのものを撮影したり、暗い室内や夜の街中で撮影していると、時たまピントが合わず写真全体がピンボケになってしまうことがある。

例えば、下記の写真。

手ブレしてしまった画像

手ブレによって何が写っているのか判別できない…

これはドイツ南部の町フュッセンを訪れた際、夜に宿泊していたホテルのバルコニーから撮影したものだが、画面全体が盛大にぶれてしまって何が写っているのか判別するのが難しいと思う。この時はまだ写真を始めたばかりで知識も技術も未熟で、しかも手ぶれ補正機構が非搭載の機材を使っていたこともあり、容赦なくぶれてしまっている。

人間は静止し続けることが苦手な動物なので、静止状態でも誰しもわずかながら動きが生じる。カメラを構えて待つだけでも腕や手首から微細な振動(ぶれ)が起こってしまい、それを完全に止めることは難しい。厄介なことにこのぶれはカメラにも伝わる。

また、暗所で撮影したりF値の大きい暗いレンズを使用しているとイメージセンサーに取り込める光の量が少なくなり、必然的に使用できるシャッター速度が遅くなる。そして、遅いシャッター速度で撮影していると腕や手首のぶれが画像に現れてしまう。

結果的に、体の微細な動きが画像のピント位置をずらしてしまい、ピンボケの写真を生み出してしまうのだ。この現象が手ぶれだ。

手ぶれは失敗写真を生み出してしまう原因の最たるものとして、長い間プロ・アマ問わず多くのカメラマンを苦しめてきた。昔は三脚や一脚を使わないと手ぶれを完全に抑えることは困難だった。しかし、そういった機材は安いものではなく、重量もそれなりにあるので、機動力が著しく損なわれてしまい、自由なスタイルで撮影が楽しめないのが難点だった。

しかし、そんな暗黒時代にも救世主とも言える革新的な技術が颯爽と現れた。それが手ぶれ補正機構だ。

Alan
ちなみに、手ぶれの影響はカメラの画素数が増えるほどより顕著に現れる。最近は3000万画素はおろか、4000万画素を超える高画素機もあるので、手ぶれとの闘いはより激しさを増してきたと言えるね。 @alan-d-haller

手ぶれ補正機構のメリット

手ぶれ補正機構の具体的なメカニズムを説明する前に、まずは手ぶれ補正機構によって撮影時に得られるメリットについて解説しよう。これらのメリットを把握しておけば、手ぶれ補正機構の価値がより深く理解できるだろう。

光量の乏しい場所や時間帯でも失敗のリスクを抑えられる

手ぶれが最も起きやすいのは暗い室内や夜の街中など光量が限られた状況で撮影しなければならない時だ。先述したように、光量が少ないと必然的にシャッター速度が遅くなり、それによって手ぶれの影響が画像に現れやすくなってしまう。

しかし、強力な手ぶれ補正機構があれば心配は無用だ。例えば、下記の画像のように暗い中での夜景の撮影も難なくこなせる。


A Stage of the Light by Alan Drake Haller on 500px.com

これは千葉県・幕張にある幕張メッセ前の広場を撮影したものだが、街灯は画像で見るほど明るくなく、実際はかなり暗い状況だった。そのため、1/4秒という本来は確実に手ぶれが起こってしまうような低速のシャッター速度で撮影したのだが、この通り全くぶれることなく綺麗に撮影できた。

手持ち撮影では通常、シャッター速度が「(1/実焦点距離)秒」以下になるとぶれやすくなるという目安がある。ここで言う実焦点距離とは「フルサイズに換算した場合の焦点距離」という意味だが、マイクロミラーレスの場合は単純に使用するレンズの焦点距離を2倍にすれば良い。

先の画像ではマイクロミラーレスで25mmのレンズを使用した。本来は1/50秒が手ぶれ補正が起こる限界値なのだが、それを遥かに超える遅いシャッター速度でもぶれていない。しかもまだ余裕がある。

これは驚異的なことだ!

これまでは手ぶれを恐れて億劫になっていた夜景や夜の街のスナップ撮影が手持ちでも自由に楽しめるからだ!!

強力な手ぶれ補正機構がさえあれば手ぶれという失敗のリスクは十分に抑えられるので、是非とも積極的に暗所や夜間の撮影に挑戦してほしい。

三脚が使えない観光地でも効果的に手ぶれを抑えられる

風景や夜景の撮影で手ぶれを抑えるのに効果的な手段が三脚だ。ある程度の高さを保ちつつカメラの位置をしっかりと固定できる。合わせて、遠隔でシャッターを切れるケーブルレリーズやスマートフォンのWi-Fiリモコン機能を使えば、カメラを一切ぶれさせることなく撮影ができる。

しかし、三脚を使用するにはある程度まとまったスペースが必要だ。特に、かなりの人混みが予想される広場やビューポイントでは、三脚を広げると確実に邪魔になってしまうので、とてもではないが三脚は使えない。

また、神社や寺など歴史のある観光地ではそもそも三脚の使用自体が禁じられている場所が多い。三脚を置いて同じ場所に長時間立ち止まられると他の参拝客の邪魔になってトラブルに繋がってしまうことや、中には境内の立ち入り禁止エリアに無断で入って三脚で苔や石を傷つけてしまう輩が後を絶たないことが主な理由だ。

京都の平等院や伏見稲荷など、中には三脚の使用にも寛容な場所はあるが、基本的に寺社仏閣の境内では三脚は使用できないと心得ておいた方が良いだろう。

しかし、強力な手ブレ補正機構さえあれば、三脚など使えなくても手ぶれを恐れることはない。下記の画像のように、手持ちでも十分に構図にこだわったぶれのない高精細な写真は撮影できる。


Wishes by Alan Drake Haller on 500px.com

最近では桜や紅葉のライトアップを開催する神社や寺もある。これらを撮影するには1/2秒などの長めのシャッター速度が必要だが、そういった状況でさえも三脚を使わずとも十分に対応できる。(ただし、F1.8やF2.8などの明るいレンズを使用するのが必須だが。)

低速シャッターを生かした表現が手持ちで楽しめる

滝から流れ落ちる水をシルクのように滑らかに写したり、走る車や電車のテールランプを光跡として写すなどの表現手法を使用する際にも三脚は欠かせない。夜景などの撮影と同様、これらの撮影でも1/15秒や1/2秒などの低速のシャッター速度が必要だからだ。

ただし、三脚は重くかさばってしまうのが難点。風景や夜景の撮影には欠かせない必須アイテムではあるが、しっかりとぶれを抑えるためには軽量なミラーレス一眼カメラでも1.5〜2kg以上の三脚を使用するのが望ましく、そうなるとコーラの2Lボトルを常に持ち歩くのとほぼ同じ負荷がかかる。また、三脚は非常にかさばる形状をしているので、収納するのも持ち運ぶのも一苦労だ。

しかし、強力な手ぶれ補正機構さえあれば、1/15秒を超えるような低速シャッター速度でも手持ちで十分に対応できる。結果、手持ちでもシルク状の滝やテールランプの光跡をしっかりと撮り収めることができるのだ。


A Ladder to Heaven by Alan Drake Haller on 500px.com

上記の画像は千葉県市原の養老渓谷で撮影したものだが、1/4秒という低速シャッター速度を使用した。しかし、滝以外の部分はぶれることなくしっかりと解像されているのが見て分かると思う。

このように、手ぶれ補正機構は単に手ぶれを補正するだけではなく、撮影可能な領域を広げることで本来は三脚がないと使用できない表現も可能にしてくれるのだ。

Alan
加えて、三脚を持っていく必要がなくなる分、機材が軽くなって移動が楽になるというメリットもある。街中や自然の中を一日中歩き回っても疲労が溜まりにくいので、心身共に伸び伸びとした状態で撮影を楽しめるのも、強力な手ぶれ補正機構がもたらしてくれた恩恵だ。 @alan-d-haller

手ぶれ補正機構には3つの方式がある

手ぶれ補正機構には主に3種類の方式がある。レンズ内補正方式、ボディ内補正方式、そしてハイブリッド補正方式だ。ここでは各方式のメカニズムを簡単に解説していく。

レンズ内補正方式

レンズ内補正方式はレンズに内蔵された補正ユニットを使用して手ぶれを補正する方式だ。補正ユニットが手ぶれを感知すると、手ぶれの方向とは逆に補正ユニットが動くことで手ぶれが補正される。

レンズ内補正方式のメリットとしては以下の2点が挙げられる。

第一に、各レンズには専用の補正ユニットが搭載されるため、最適化された補正効果を得られるという点だ。広角レンズと望遠レンズとでは最適な補正具合は異なるので、これはとても理に適っている。

そして第二に、これは主に一眼レフカメラの光学ファインダーで得られるメリットなのだが、レンズ内の補正ユニットによって手ぶれが補正された状態で構図の確認ができるという点だ。これは手ぶれによって構図を定めるのが難しい望遠レンズを使った撮影では特に重宝する。

もちろんデメリットもあり、以下の2点が挙げられる。

第一に、全ての種類のレンズで手ぶれ補正の効果を得るのができない点だ。当たり前の話だが、レンズ内に手振れ補正ユニットが搭載されていないと補正効果は得られない。

そして第二に、レンズ内補正方式では補正できない種類の手ぶれが存在する点だ。手ぶれには主に、上下角度ぶれ、左右角度ぶれ、上下並進ぶれ、左右並進ぶれ、回転ぶれの5種類がある。このうち並進ぶれと回転ぶれはレンズ内補正方式では対応できないのだ。並進ぶれは花のマクロ撮影などカメラを微細に動かす時に発生しやすいぶれで、回転ぶれはポートレート撮影などカメラを横位置から縦位置に変える時などに顕著に現れるぶれだ。

ボディ内補正方式

ボディ内補正方式はカメラ本体内にあるイメージセンサーを手ぶれの方向とは逆に動かすことでぶれを補正する方式だ。補正ユニットはイメージセンサーを支える形で搭載されている。

ボディ内補正方式のメリットとしては以下の2点が挙げられる。

第一に、全ての種類のレンズで手ぶれの補正効果が得られるという点だ。レンズ内補正方式と違って、レンズ内の補正ユニットの有無に関わらず、どのレンズを使用しても手ぶれ補正の恩恵を受けられるのだ。

そして第二に、レンズ内補正方式では対応できなかった種類の手ぶれも補正できるという点だ。すなわち、上下・左右の並進ぶれや回転ぶれまでもしっかりと補正できるのだ。これによって、微細な構図調整が必要なマクロ撮影や、横と縦にカメラ位置を頻繁に変えるポートレート撮影でも、より確実にぶれのない高精細な写真が撮れるようになるのだ。

ボディ内補正方式はレンズ内補正方式の弱点を克服した完璧な補正方式のように思えるが、もちろんこの方式にも弱点はちゃんと存在する。

それは、望遠レンズを使った望遠域での撮影には不向きだという点だ。望遠域の撮影では広角域や標準域の撮影と違って画角が狭まりカメラのわずかな動きも画像に反映されてしまうので、より精度の高い補正が必要になる。しかし、ボディ内補正方式はどのレンズでも補正が効く一方で補正効果が平均化されてしまっているため、より高い補正効果を必要とする望遠域の撮影には不利なのだ。

ハイブリッド補正方式

最後に紹介するのが、レンズ内補正方式とボディ内補正方式の良いとこ取りとも言えるハイブリッド補正方式だ。オリンパスでは「シンクロ手ぶれ補正」、パナソニックでは「Dual I.S」または「Dual I.S.2」などと呼ばれている。

この補正方式では、基本的にはボディ内の補正ユニットで手ぶれを補正する。しかし、レンズ内に補正ユニットを搭載したレンズを使用する際は、必要に応じてレンズ内の補正ユニットとも連携してより精密に手ぶれを補正するというものだ。

具体的には次のように機能する。広角域や標準域の撮影ではボディ内の補正ユニット単体で手ぶれの補正を行う。より強い効果が必要となる望遠域での撮影では、補正の精度を高めるために、レンズ内補正ユニットが得意な上下・左右の角度ぶれに関してはレンズ側に任せて対処するという形だ。

これによってレンズ内補正方式とボディ内補正方式両方の弱点を克服できるばかりか、総合的な補正効果をさらに高めることができるのだ。

マイクロミラーレスが採用している手ぶれ補正方式

マイクロミラーレスのカメラを開発しているのは主にオリンパスとパナソニックの2社だ。そして、どちらのメーカーも現在は大半の機種でハイブリッド補正方式の手ぶれ補正機構を採用している。

元々オリンパスはボディ内補正方式の手ぶれ補正機構を中心に開発し、一方パナソニックはレンズ内補正方式を主に採用してきた。そのため、オリンパスはボディ内補正に、パナソニックはレンズ内補正に、それぞれ技術の重きを置いているという違いはある。

しかし、双方の補正方式の弱点を補完し合って補正効果をさらに高めるために、両方のメーカーでハイブリッド補正方式に新たに対応する流れが出てきている。

具体的には、オリンパスはボディ内補正方式の弱点であった望遠域での手ぶれをより確実に抑えるために、望遠レンズにレンズ内補正ユニットを組み込んで、ボディ内の補正ユニットと連動させる技術を推し進めている。

一方、パナソニックは本来手ぶれ補正ユニットを搭載していなかった広角・標準のズームレンズや単焦点レンズでも補正効果が得られるように、カメラのボディ内にも補正ユニットを搭載した機種を増やしている。(エントリーモデルは小型化とコストカットのため、動画特化型の特殊モデルではジンバルを使用することを想定しているため、ボディ内補正ユニットは省略されている。)

どちらかの補正方式だけを採用するよりもハイブリッド補正方式を採用する方が補正効果や利便性は高くなるのは確実なので、マイクロミラーレスが採用する手ぶれ補正方式は将来的にはハイブリッド補正方式に統一されるだろう。

補足:同じマイクロミラーレスでも手ぶれ補正の規格が異なる場合がある

ここで一つ注意点がある。

オリンパスとパナソニックは両社ともミラーレスカメラに同じマイクロフォーサーズ規格を採用しており、大半の機種で手ぶれ補正機構にハイブリッド補正方式を採用している。

しかし、両社で補正ユニットの制御方式が異なるため、同じマウントを採用していても異なるメーカーのカメラとレンズの組み合わせでは手ぶれ補正機構の作用に制限が出てしまう場合がある。

具体的には下記の通りだ。

オリンパスのカメラにパナソニックのレンズを装着した場合
  • ボディ側かレンズ側どちらか一方の補正機構だけを選択して使用する
  • ハイブリッド補正(シンクロ補正)は非対応
パナソニックのカメラにオリンパスのレンズを装着した場合
  • 原則的にはボディ内補正のみが働く
  • 手ブレ補正機構が搭載されたレンズではレンズ内補正のみが働く
    M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO、M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROの2本が対象(2019年2月現在)
  • ハイブリッド補正(Dual.I.S)は非対応

このように同じマウントを採用していても、異なるメーカー同士では手ぶれ補正機構の挙動に制限が出てしまう。そのため原則的には、オリンパスのカメラにはオリンパスのレンズを、パナソニックのカメラにはパナソニックのレンズを装着して使用するのが望ましい。

手ぶれ補正機構を搭載するマイクロミラーレスの優位点

マイクロミラーレスと同様、現在では他社のフルサイズやAPS-Cのミラーレスカメラでも強力な手ブレ補正機構を搭載している機種は多数発売されている。しかし、マイクロミラーレスの手ぶれ補正機構には大きなセンサーサイズのカメラにはない優位点がある。最後にそれについて解説しよう。

イメージセンサーのサイズが小さい分、補正の精度が高い

35mm判フルサイズのイメージセンサーと比べた場合、マイクロフォーサーズのセンサーの面積はフルサイズの1/3にも満たない。その一方で、カメラ自体の大きさはAPS-Cやフルサイズのものと大差ないので、ボディ内の手ぶれ補正機構も含めてかなり余裕を持った設計がされている。

当たり前の話だが、大きいセンサーよりも小さいセンサーの方がずっと簡単に動きを制御できる。その結果、マイクロミラーレスではフルサイズやAPS-Cのミラーレスカメラよりも精度の高い手ぶれ補正効果を得られるのだ。

では、マイクロミラーレスの手ぶれ補正効果がどれほど強力か具体的に紹介していこう。

僕が愛用しているオリンパスのOM-D E-M5 Mark IIの場合はシャッター速度換算で5段分のボディ内手ぶれ補正機構を搭載している。さらに、2019年現在対応レンズは2本だけだが、ハイブリッド補正にも対応しており最高で6段分の補正効果が得られる。

これはつまり、本来は1/60秒で手ぶれが発生してしまうような状況でも、ハイブリッド補正の効果が得ることでなんと1秒までなら手ぶれを発生させずに撮影できるということだ。(個人の習熟度にも左右されるが…)

1秒の長秒シャッターが使えれば、夜景も光跡も三脚を使わず手持ちで十分に撮影できる。また、単に数値上のスペックが高いだけではなく、実際の手ぶれ補正の効き具合の優秀さも撮影時にしっかり実感することができる。

これまで僕自身も暗い室内や夜景の撮影で1/2秒や1秒を超える長秒シャッターを積極的に使ってきたが、ほとんどぶれたことがなく、また撮影後にMacで画像を拡大確認しても高精細が保たれていた。

これは非常に恐るべきことだ!

さらに、上位機となるOM-D E-M1 Mark IIではハイブリッド補正で最高6.5段分、そして最上位機のOM-D E-M1Xではなんと最高7.5段分という途轍もない補正効果を持っている。ここまで来るともう何が何だか(笑)

しかし、マイクロミラーレスの超強力な手ぶれ補正効果が単に手ブレを補正してくれるだけではなく、撮影領域の拡大に貢献してくれていることは間違いない。マイクロミラーレスの手ぶれ補正機構の性能が高くなればなるほど、これまでは諦めていたシーンでも撮影に挑戦できるようになるので、性能の向上が楽しみで仕方ないのだ。

小型軽量のため混雑した観光地でも機動力を高く維持できる

これは単に手ぶれ補正機構に限定される話ではないが、マイクロミラーレスの超強力な手ぶれ補正機構によって得られるメリットがもう一つある。

マイクロミラーレスは非常に精度の高い手ぶれ補正効果を持つ一方で、カメラのシステム全体が小型軽量なので、観光地でも軽やかなフットワークで撮影が楽しめるのだ。

マイクロミラーレスのカメラ本体の大きさや重さはAPS-Cやフルサイズのミラーレスカメラとほとんど変わらない。しかし、レンズ、特に高倍率ズームや大口径の望遠レンズに関しては圧倒的な小型軽量化が可能なので、APS-Cやフルサイズを大幅に上回る機動力が得られる。

さらに、ボディ側だけでも5段分以上の手ぶれ補正効果があれば、ほとんどのシーンで三脚などの固定機材が必要なくなる。わざわざ苦労して重くかさばる三脚を持ち歩く必要がなくなるので、混雑の激しい観光地でも間を縫うように移動でき、撮影も軽快に楽しめる。

小型軽量のシステムと超強力な手ぶれ補正機構によって実現したマイクロミラーレスの高い機動力は旅先での撮影で大いに重宝するだろう。

Alan
ただし、例外もある。マイクロミラーレスでも、超解像撮影の「ハイレゾショット」や、マクロ撮影で画面全体にピントを合わせる「深度合成」、星景などで明るさの変化した部分だけをリアルタイム合成する「ライブコンポジット」など、三脚の使用が前提となる撮影では三脚が必須となる。だが、裏を返せばそれ以外の撮影では三脚は必要ないわけだから、技術の進歩は本当に素晴らしい! @alan-d-haller

総評

マイクロミラーレスは手ぶれ補正機構に最新のハイブリッド補正方式を採用していることもあり、シャッター速度換算で5段あるいは6段を超える超強力な補正効果を持つ機種も発売されている。

その超強力な手ぶれ補正効果があれば、暗い室内や夜景も簡単に撮影できるだけでなく、三脚禁止の観光地でも三脚を使わずにしっかりと手ブレを抑えられ、滝のシルク描写など低速シャッターを生かした表現も手持ちで対応できる。

さらに、わざわざ三脚を携行しなくて済むので、混雑した観光地でも軽やかなフットワークで観光や撮影を楽しめる。旅写真の撮影ではまず旅先での体験を満喫することが最も重要となるが、旅そのものを存分に楽しみたい方にこそマイクロミラーレスはお薦めできる。

ところで、旅先でどんなに素敵な景色と出会っても、いつも目線と同じ高さで撮影していては単調でつまらない作品になってしまう。カメラを構える高さや傾ける角度を少し変えるだけでも写真の印象は変わる。

実はマイクロミラーレスのカメラにはそれを支援してくれる機能が搭載されている。それが可動式の液晶モニターだ。

そこで、連載第6回目となる次回は、旅カメラ選びの6つ目のポイント:「可動式モニターで撮影視点を自由に変えられるか?」をテーマに解説していく。

どうぞ乞うご期待!

★連載第6回目の記事はこちら↓↓↓

旅カメラ選びのポイント⑥ 可動式モニターで撮影視点を自由に変えられるか?

結論を早く知りたい方には…

しかしながら、「早くおすすめの旅カメラを知りたい!」「最終回まで待ちきれない!」という方もいらっしゃるだろう。

そんな探究心旺盛な方のために下記の記事を用意させてもらった。

【2019年版】旅行におすすめな究極のミラーレスカメラ|厳選2機種!

ぜひお読みいただいて、今回の記事と合わせて参考にしてもらえると嬉しい。

きっとあなたにとっても最高の相棒となるだろう旅カメラをご案内できるはずだ。