【問題解決】カメラのイメージセンサーに現れる恐怖の赤い点!?ホットピクセルの対処法

ホットピクセル対処法のアイキャッチ画像 Camera

夏の暑さもひと段落してこれから撮影が快適に楽しめる季節がやってくる。紅葉の撮影ももちろん良いが、冬に近づくにつれて空気が澄んでくるので星景の撮影もこの季節には外せない楽しみだ。

最近の僕は冬に向けて時たま星景撮影の練習に没頭していたりするのだが、そんな中である日突然僕が愛用しているOLYMPUS OM-D E-M5 Mark IIに異変が起こった。

液晶モニターに赤い点が表示されていた。しかも、撮影した画像にはすべて同じ箇所に白抜けの点が表示されてしまうのだ。

これはホットピクセルという、ミラーレスカメラに限らず全ての種類のデジタルカメラに起こりうる問題で、デジタルカメラを長く使っている者であれば決して避けては通れない厄介な現象だった。

そこで今回は、デジタルカメラの液晶モニターや撮影した画像の上に突然現れる赤い点であるホットピクセルについて、その対処法も含めて解説していこう。

もしあなたが愛用しているカメラが同じような症状に見舞われた際に解決するための一助として役立てていただければ幸いだ。

Alan
ホットピクセルはある日突然起こる症状だが、厄介なのはそのカメラで撮影した画像全てに白抜け点が表示されてしまうこと。しかし、症状の対処法は意外とシンプルですぐに実践できるので、どうか慌てずに記事を読み進めてほしい。あなたの相棒はまだ大丈夫だ。 @alan-d-haller

まずは結論から!

カメラの液晶モニターや撮影画像に表示される赤い点(ホットピクセル)は、「ピクセルマッピング」というカメラ側にある設定メニューの操作で大抵の場合は解決できる!

具体的な操作方法や手順については下記で詳しく解説しているので、早く問題を解決したい方は「ホットピクセルが発生したときの対処法」までジャンプしてもらえればと思う。

それはある日突然やってくる…

本題に入る前に僕の愛機に起こった症状についてシェアさせてもらおう。

最近ハマっている星景写真の撮影練習を終えた次の日の朝、撮影に使用したカメラ機材一式をドライボックスから取り出してメンテナンスしようと思ったときにそれは突然やってきた。

カメラ外観の清掃を終えた後、ボディキャップを着けたままおもむろに電源スイッチをONにしたら、液晶モニターの中央付近に小さな赤い点が写っていたのだ。

ホットピクセルが発生したOM-D E-M5 Mark IIの画像

中央フォーカスポイントのすぐ左にある小さな赤い点が今回の問題となるホットピクセルだ。

最初はイメージセンサー上にゴミでも付着したのかと思ってキャップを外して細かくチェックしたのだが、イメージセンサー上にはチリやホコリなどの付着は確認できなかった。念のためブロワーで吹いてもみたのだが、赤い点は消えることなく残ったままだった。

そこで、これは何かがおかしいと思い、色々と調べて回った。そして、これはホットピクセルという症状なのだということがわかった。

ホットピクセルとは?

ホットピクセルとは、デジタルカメラのイメージセンサー上に配置されている画素(ピクセル)の1つが正常に機能しなくなる症状のことを言う。

イメージセンサーには1600万や2000万を超える無数の画素が配置されており、それらがレンズを通して得た被写体の光を受けることでデジタル画像を生成する工程の1つを担っている。

しかし、イメージセンサー上の画素が1個でも欠けると、その部分の光を正確に受けられなくなる。結果的に、その部分は光の情報が刻まれなくなるので、被写体を画像として正確に再現できなくなってしまうのだ。

ホットピクセルとはまさにこの症状のこと。イメージセンサー上の1画素が機能を停止することで、その部分の情報が欠けて、完璧なデジタル画像を生成できなくなる状態…つまり、イメージセンサー上の1画素が死んでしまった状態を言う。

Alan
ちなみに、僕の相棒であるOM-D E-M5 Mark IIはイメージセンサーの有効画素数が約1605万ある。ホットピクセルによってその中の1画素でも死んでしまうと正確な画像生成ができなくなる。ミクロな世界の話だが、決して無視はできない症状なのだ。

ホットピクセルが起こる原因

ホットピクセルが発生する原因は主に2つある。ISO高感度の多用長時間露光の多用だ。

ISO高感度は、光に対する感度であるISOの値を6400以上などの高い値に設定すること。暗い室内や夜など光量が少ない状況で被写体を明るく写したり、速いシャッター速度を確保して手ぶれを抑えつつ動く被写体を写し止めたりするときなどに使用する。設定するISO感度の数値が高くなるほどノイズで画像が荒れやすくなるというデメリットもあるが、どうしても十分な光量やシャッター速度が確保できないときに重宝する。

一方、長時間露光は、シャッターを1秒以上開いて撮影する技法のこと。シャッターを開いている間はイメージセンサーを感光し続けるので、暗闇など極端に光量が少ない場所でも鮮明な画像が得られる。また、被写体の動きや光跡を記録し続ける特性もあるので、滝の流れをシルク状に表現するときや、走る車の光跡、花火、星景などの撮影によく使う。

しかしながら、どちらの機能も使用中はイメージセンサーが熱を帯びるため、イメージセンサー上の画素を強く酷使してしまうという副作用がある。その結果、熱の負荷に耐えきれなかった画素は機能を停止してしまい、その画素は赤い点としてイメージセンサー上に残るというわけだ。

そして、液晶モニターやEVFではイメージセンサーで感光した情報が処理されて映るのだが、当然これらにも赤い点は反映される。僕が見たのはまさにそれだった。

これがホットピクセルが発生する一連の流れだ。

また、ホットピクセルはカメラを長く使えば使うほど発生しやすくなるので、ISO高感度や長時間露光を使用しないユーザーでも油断はできない。

僕の場合はOM-D E-M5 Mark IIを2年半ほど使い続けてきたが、モノクロスナップで粒状感を出すためにわざとISO6400以上の超高感度を使ったり、最近は星景写真の撮影で長時間露光を使ったりしてきたので、それらが全て原因となっていたのだろう。ホットピクセルが発生する条件を見事にコンプリートしていたのである。

ホットピクセルの厄介なところ

ここまででホットピクセルがどういうものかご理解いただけたと思う。

原理としてはシンプルかもしれないが、このホットピクセルは写真家や写真愛好家によって実はバカにならないほどの切実な問題を抱えている。

ホットピクセルが真に厄介なのは、液晶モニターやEVFで見えた画素欠損部分の赤い点が、白抜けの点としてそのデジタルカメラで撮影した全ての画像に反映されてしまう点にある。

つまり、その写真があなたが苦労に苦労を重ねて撮影した傑作であったとしても、画素欠損部分の情報は記録されず中抜けとなってしまうため、その苦労がほとんど水の泡になってしまうのである。

朝は早く起きて撮影地に向かい、場所を確保して三脚を置く。構図を決め、露出を決め、ピントを決めて、最高の瞬間を今か今かと厳しい寒さの中を持つ。そうして撮り上げた宝物とも言える1コマが、たった1個のホットピクセルで台無しになってしまうのだ。

これは写真を愛して撮影に情熱を捧げる我々からすると非常にやるせないことだ。

しかも、ボディキャップを付けた状態で液晶モニターやEVFを確認したり、撮影した画像を等倍以上に拡大チェックしたりしないかぎりは、症状の発生に気付かないのも怖いところだ。

レタッチソフトのスポット修正機能を使って画像に写ってしまった赤い点を消すという方法も一応はある。しかし、その作品が完璧なイメージに近ければ近いものほど、後修正で手を加えることにはどこか罪悪感を感じてしまう。

だから、こんなことになってしまわないためにも、デジタルカメラはできるだけ頻繁にメンテナンスして、ホットピクセルの症状が現れているかをチェックしていく必要があるのだ。

ホットピクセルが発生したときの対処法

ここからが本題だ。実際に自分のデジタルカメラにホットピクセルの症状が現れた場合に取る2つの対処法を書き記しておく。

個人的にはまず②の対処法を試してみるのがおすすめだが、意外と簡単にできる。なので、ホットピクセルになっても、どうか慌てずに対処してほしい。

①メーカーに修理を依頼する

まず、基本中の基本の対処法として、カメラメーカーの修理窓口に修理を依頼するという方法がある。

症状の発生したデジタルカメラをサービスセンターの窓口に持ち込むほかに、最近ではどのカメラメーカーも郵送での修理依頼をウェブサイトから受け付けている。なので、メーカーに修理を依頼したい場合は、自分のカメラのメーカーのウェブサイトを確認するのがいいだろう。

ただし、カメラメーカーに修理の依頼を出すと、当たり前の話だが相応の修理費用がかかるのが難点だ。

例えば、僕が愛用しているOM-D E-M5 Mark IIの場合は、ホットピクセル症状の具合によって12,000〜28,000円かかる。

下記はOM-D E-M5 Mark IIの修理に関してオリンパスが公開している概算料金表だ。

この概算料金表によると、ホットピクセルの症状は下から2番目の「撮像素子の不具合」に該当する。画素欠損が1箇所だけの軽微なものの場合は12,000円の修理費で済むが、複数の箇所に画素欠損が現れた場合は最悪28,000円の高額な修理費がかかる。

ちなみに、OM-D E-M5 Mark IIの上位機であるOM-D E-M1 Mark IIの場合も触れておこう。

上記のページにはOM-D E-M1 Mark IIの修理概算料金表は記載されていない。オリンパスに問い合わせたところ、OM-D E-M1 Mark IIには概算料金が存在せず、製品の症状を見てから見積もりを出すとのことだ。

OM-D E-M1 Mark IIにはOM-D E-M5 Mark IIよりも高価なイメージセンサーが使用されているため、場合によってはOM-D E-M5 Mark IIの修理費よりも高額になることもあるのだろう。

いずれにしろ、カメラメーカーに出せばほぼ確実に症状を完治させられるのだが、数万単位で高額な修理費用が必要となるため、自分ではどうしても解決できない場合の最終手段として使うのがおすすめだ。

その前にまず、次項で紹介する「ピクセルマッピング」という機能を使って症状の解決を試みるといいだろう。

②カメラの「ピクセルマッピング」機能を使用する

カメラメーカーの修理窓口に修理の依頼を出す前に試してほしいのが、「ピクセルマッピング」という機能だ。

ピクセルマッピングとは、ホットピクセルなどで欠損してしまった画素の情報を、周囲の画素を使って情報を補填するという機能。つまり、一部の画素が死んでしまったイメージセンサーでも、この機能を使って周囲の画素でその欠損部分の画素の働きを補えば、完璧なデジタル画像を生成できるように調整できるというわけだ。

あくまでも擬似的な調整なので完全に欠損部分の画素が復活するわけではないが、白抜けの点がない完璧なデジタル画像を生成する分には支障はないので、この機能がうまく決まればホットピクセルの症状はほとんど解決できると言える。

さて、肝心要となるピクセルマッピングのやり方だが、僕が愛用しているOM-D E-M5 Mark IIの場合で手順を解説しておこう。

 

やり方は簡単で、下記の手順の通りにメニューを進めるだけだ。

ピクセルマッピングのやり方|OM-D E-M5 Mark IIの場合
  1. 「MENU」ボタンを押して、歯車マークの「カスタムメニュー」を開く。
  2. メニューを下に進んで「K その他」→「ピクセルマッピング」→「スタート」を選択する。
ピクセルマッピングのやり方の画像

「MENU」→「カスタムメニュー」→「K その他」→「ピクセルマッピング」→「スタート」

最後の「スタート」を選ぶと数分ほど処理が行われるが、終わると下記の画像のように撮影画面に戻る。

ピクセルマッピング後のOM-D E-M5 Mark IIの画像

ピクセルマッピング完了後の液晶モニター。中央付近にあった赤い点が綺麗に消えている。

以上である!

ものすごく簡単にできるので、拍子抜けしてしまった方もいるかもしれない(笑)。

大抵の場合、ホットピクセルによる画素欠損の症状はこの「ピクセルマッピング」の機能で解決できる。

この機能はオリンパスのカメラであれば全ての機種に搭載されているので、OM-D E-M5 Mark II以外でも使用できる。また、オリンパス以外のメーカーでも同じような機能が使える場合があるので、一度チェックしてみるといいだろう。

ただし、症状が酷すぎるなど、「ピクセルマッピング」を実行してもごく稀にホットピクセルが解消できない場合もある。そういう場合は迷わずカメラメーカーの修理窓口に相談することをおすすめする。

総評

今回はホットピクセルによる画素欠損とその対処法について解説してきた。

記事中でも触れたが、ホットピクセルはカメラのイメージセンサーを酷使することで発生する。ISO高感度や長時間露光を多用した場合はもちろん、長期間に渡ってカメラを使っただけで発生する場合もあるので、趣味や仕事に関係なく写真と長く付き合う方であれば避けては通れない症状だ。

しかし、その対処法はものすごく単純明快なので、手持ちのカメラにホットピクセルの症状が現れた場合はどうか慌てずに対処してほしい。

液晶モニターやEVFに赤い点、拡大画像に白抜けの点が現れた場合は、まずはカメラの「ピクセルマッピング」機能を実行する。それでもダメなら、最終手段としてカメラメーカーの修理窓口に修理の相談をする。

これで解決できる。

あなたがホットピクセルを恐れることなく、相棒のカメラで長く写真を楽しんでいくための一助として、この記事が少しでも役立ってくれれば嬉しい。