【レビュー】IDEX D-strage DS-51C|コスパ最強防湿庫の使用感を徹底レポート!

D-strage DS-51Cレビューのアイキャッチ画像 Camera

先日、ついに我が家にも本格仕様の防湿庫がやってきた!

これまではカメラ機材の保管のためにドライボックスを使っていたが、機材の数が増えてきていよいよ手狭になってきたこともあり、良い機会なのでちゃんとした防湿庫を導入しようと思ったわけだ。

それから僕は様々なメーカーの防湿庫の特徴や価格などを綿密に調査した。元来僕はリサーチ魔でもあるので、どの製品が僕に相応しいのかを1ヶ月近くも徹底的に洗い出していったのが思い出される。

そして、その果てに僕が最終的に選んだが、こちらの防湿庫:IDEX D-strage DS-51Cだ!

そこで今回は、僕が新たに導入したミラーレスカメラシステムの保管に特化した防湿庫:IDEX D-strage DS-51Cについての概要やレビューをお届けする。

少し前の僕と同じように、ドライボックスから卒業して本格的な防湿庫を導入しようとしている方にとって、役に立つ情報を提供できればと思う。

Alan
写真を始めてから少し経つと、カメラ機材の保管のために防湿庫が必須だという話をよく聞くようになる。しかし、メジャーなメーカーの製品は価格が高く、敷居が高いと思っている方も少なくはないはず。そんな中で現れた救世主的存在が、今回ご紹介するIDEX D-strage DS-51Cだ。この防湿庫と出会えた喜びをぜひシェアしていきたい! @alan-d-haller
今回ご紹介する防湿庫:IDEX D-strage DS-51Cは残念ながら既に生産完了品になっている。せっかく訪れていただいたのに申し訳ないので、本記事の最後では類似製品として同じくIDEXが販売しているD-strage DS-64Mを紹介させてもらおうと思う。サイズは若干異なるが、基本的な機能は同じなので、今回の記事でIDEX D-strage DS-51Cに興味を持っていただいた方はぜひIDEX D-strage DS-64Mの導入をご検討いただければ幸いだ。

そもそも防湿庫って必要なの?

カメラやレンズなどの撮影機材の保管には防湿庫やドライボックス(簡易防湿庫)が欠かせない。というのも、これらの撮影機材は湿気にとても弱いからだ。

日本の気候は年間を通して比較的温暖で湿気も強い。特に、梅雨や夏は平均湿度が70%を超える都市が数多くある。また、冬は空気が乾燥するので問題ないかと思われがちだが、寒いの早朝には窓に結露が現れるように冬でも室内は意外と湿度が高いため、年間を通して湿気対策を考える必要があるのだ。

押入れや引き出し、カメラバッグの中などに撮影機材をそのまま保管しているという方もいるだろうが、これらはどれも空気が密閉されておらず、湿気の影響をもろに受けてしまう。

もし湿気の強い場所に撮影機材を長期間置いておくと、一体どうなるのか?

その一例が下記の画像だ。

これは湿害を受けたレンズフィルターの画像だが、点状や雲状のカビでまみれてしまっていることがわかるだろう。

フィルターと同様、湿気の強い場所に長期間置いておくと、レンズにもカビが生える。カビの生えたレンズで撮影すると、その部分に白いもやが写ってしまうため、そのレンズ本来の描写力を発揮することができなくなるのだ。

レンズに生えたカビを除去するためにはカメラメーカーのサービスステーションで修理を依頼する必要があるのだが、その金額もバカにならない。レンズのカビ除去費用は最低でもレンズ1本につき1万円ほど、高価なレンズや希少なレンズにもなると1本につき3万円以上も修理費用が必要になることもある。

また、一度カビの生えてしまったレンズからは、カビを完全に除去しきれない場合もある。そのため、少しでも湿度が上がるとカビが再発する場合もある。

これはレンズだけではなく、カメラ本体に関しても言える。カメラの内部にカビが発生すると、ファインダーが曇って見えづらくなったり、内部の部品や回路が腐食して故障してしまったりするからだ。

新しい機材を購入するために手持ちの機材を下取りに出す方もいるだろう。しかし、上記のように一度カビの生えてしまった機材は正常な描写や機能が発揮できなくなるため、下取り金額も大幅に下がってしまう。それどころか、買い取ってもらえない場合もあるだろう。

これらのことから、撮影機材を長く大事に使っていくためには、湿気対策は万全にしておく必要があることがお分かりいただけるだろう。そして、そのために必要となるのが防湿庫なのだ。

今まではドライボックスを使っていたが…

これまで僕は撮影機材の湿気対策及び保管のために、下記の画像のようなドライボックス(簡易防湿庫)を使用していた。

ドライボックス外観の画像

これはプラスチック製の密閉容器に乾燥剤を入れて撮影機材を保管することで防湿ができるというもの。シンプルな仕組みで簡易的ではあるが、これでも機材を外界の湿気からしっかりと遮断できるので一応の防湿効果は得られる。

また、値段も2,000〜3,000円ほどと安いのも魅力。手軽に導入できるため、まだ写真を始めたばかりで機材の少ない初心者にもおすすめだ。

僕はHAKUBAのDRY BOX NEOという製品を愛用していた。このドライボックスは5.5L・9.5L・15Lの3種類のサイズが発売されており、機材の量に応じてサイズが選べるのがポイントだ。

僕はミラーレスカメラ本体とアクセサリー用に5.5L、交換レンズ用に9.5Lという形で、2種類のサイズのドライボックスを併用していた。

だがしかし、最近機材の…特に、交換レンズの数が徐々に増えてきたこともあり、これまで使用していたドライボックスでは保管スペースが賄いきれなくなってきたのだ。

ドライボックス内部の収納状態の画像

僕は撮影機材をオリンパスのOM-D E-M5 Mark IIを中心したマイクロフォーサーズシステムで構成している。カメラもレンズも体積が小さいことがマイクロフォーサーズシステムの大きなメリットだが、そのマイクロフォーサーズシステムであっても機材の数が増えれば相応の保管スペースが必要となる。

さらに、OM-D E-M1 Mark IIやPROレンズなど今後も機材は確実に増えていくので、保管スペースにはある程度の余裕もほしいところだった。だが、現在のドライボックスでは既に2箱ともスペースギリギリまで機材を詰め込んでいる状態だったので、いよいよ限界が見えてきていた。

そんなわけで、これは良い機会だからドライボックスを卒業して、本格的な防湿庫を導入しようと踏み切った次第である。

僕が選んだ防湿庫はこれだ!

冒頭で触れたように、それから僕は約1ヶ月ほど様々なメーカーの防湿庫を調べ上げていった。家電量販店に立ち寄る度、カメラやレンズなどの撮影機材には目もくれず、防湿庫のあるコーナーに一直線で向かって物色しまくる姿はとても奇妙なものだったかもしれない(笑)。

その果てに僕が最終的に選んだ防湿庫が、こちらのIDEX D-strage DS-51Cだ!

この防湿庫はIDEXというメーカーから発売されているのだが、同社の防湿庫は「D-strage」というブランド名で展開されている。また、IDEXはワインセラーを製造していることでも知られているのだが、D-strageにはそこで培った技術も多数盛り込まれている。

詳しくは、下記に記載した同社の公式サイトを参考にしてみるといいだろう。

■IDEX公式サイト https://www.idex06.jp/index.html

■D-strage公式サイト https://www.d-strage.jp

僕はこの防湿庫を選んで本当に良かったと思っている。できればもっと早くに出会っておきたかったと後悔したほどに。

次項ではD-strage DS-51Cが持つ魅力について紹介していくことにしよう。

IDEX D-strage DS-51Cのおすすめポイント5点!

さて、今回僕が購入した防湿庫:IDEX D-strage DS-51Cだが、下記の5点が僕が特に気に入っているポイントだ。

 

D-strage DS-51Cのおすすめポイント!
  • 大手メーカー製に引けを取らない高性能なのに価格は半額程度
  • スリムボディなのに大容量の収納力
  • 除湿方式にはスピードの速いペルチェ式を採用
  • 前面の外部操作パネルで各種設定が可能
  • スライド棚の設置位置はカスタマイズが可能

では、それぞれを詳しく見ていくことにしよう。

大手メーカー製に引けを取らない高性能なのに価格は半額程度

まず第一に、IDEXの防湿庫「D-strage」はリーズナブルな価格が魅力だ。防湿庫の大手メーカーというと東洋リビングやトーリ・ハンなどが挙げられるが、どちらも価格が高いため初めて防湿庫を導入する方には敷居が高く感じられるかもしれない。

しかし、IDEXの「D-strage」シリーズは、大手メーカーのように店頭での販売を一切行わず、インターネット直販のみに販路を限定することで流通に関わるコストを大幅に削減している。その結果、IDEXの「D-strage」シリーズを同クラスの収納容量を持つ大手他社製品と比較した場合、半額近いリーズナブルな価格で入手できるのだ。

今回僕が購入したD-strage DS-51Cは50Lの収納容量に対応する。東洋リビングやトーリ・ハンなどで同クラスの容量に対応する製品を購入した場合はどちらも4万円近い予算が必要になる。しかし、D-strage DS-51Cはそのほぼ半額となる約2万円で購入できる。

非常にリーズナブルに防湿庫を入手できるので、初心者の方はもちろん、導入コストを抑えつつ本格仕様の防湿庫を手に入れたいという方にもおすすめだ。

スリムボディなのに大容量の収納力

D-strage DS-51Cはミラーレスカメラのシステム用に作られており、スリムな設計なのも特徴だ。外寸は幅29×奥行き32×高さ60.5cmなのだが、一般的な一眼レフカメラシステム用の防湿庫と比べて幅が約25%ほどスリムになっている。

防湿庫を購入する際にまず考えなければいけないのが設置場所なのだが、D-strage DS-51Cはコンパクト設計なので置き場所に困らない。僕の作業部屋はあまり広くはないので、この防湿庫を作業机(幅120×奥行き75cm)の上に載せて隅に置いているのだが、それができるほどコンパクトなので、書斎などスペースの限られた場所でも難なく設置できる。

一方で、大容量の収納力を備えているのも魅力だ。どんなにコンパクト設計で置き場所に困らなくても、撮影機材が少しの量しか保管できないようでは意味がない。しかし、D-strage DS-51Cはミラーレスカメラシステム用にも関わらず、一眼レフカメラシステム用の防湿庫に引けを取らない収納力を持っている。

収納容量は50Lとたっぷりある。その収納力を最大限に生かせば、マイクロフォーサーズの場合はミラーレスカメラが約4台、交換レンズが6本以上(別途スライド棚を追加すれば12本以上)、そしてアクセサリー類を詰め込められるので、ミラーレスカメラのシステム一式を保管できるだけのキャパシティは備えられている。

除湿方法にはスピードが速く省電力なペルチェ方式を採用

D-strage DS-51Cを始めとするIDEXの防湿庫は、乾燥・除湿方法にペルチェ方式というものを採用している。除湿ユニットには冷熱特性を持つ半導体素子(ペルチェ素子)が使われているのだが、その特性を利用することで防湿庫内の湿気を冷却板に結露させ、放熱板により蒸発させるという仕組みだ。

ちなみに、大手メーカーの防湿庫は乾燥剤除湿方式というものを採用している。乾燥剤方式で除湿ユニットを稼働させるには、乾燥剤が吸収した湿気を熱で蒸発させるための加熱再生タイムが必要。4〜6時間ごとに約30分間かかるため、すぐには除湿効果を稼働させることができず、庫内を適正湿度にするまでに時間がかかるのが難点だ。

一方、ペルチェ除湿方式は即効性に優れるのが特徴。詳しい使用感については後述するが、湿度が適正値を上回ると即座にノータイムで除湿ユニットが稼働するので、防湿庫の扉を開放して庫内が湿気で満たされた状態からでも、わずか10分程度で湿度を適正値まで戻すことができる。そのため、いつでも好きなタイミングで防湿庫から気軽に機材を取り出したり、しまったりすることができるというわけだ。

ところで、ペルチェ方式は乾燥剤方式と比べて電力消費が高めだと言われている。しかし、D-strage DS-51Cは徹底した省電力設計が施されているため、1日当たりの電気代もかなり安い。1日8時間の除湿運転を行なったとすると、1日当たりわずか1.58円、1ヶ月当たり47.4円、1年当たりでもたった576円の電気代で済む。

加えて、ペルチェ除湿ユニットは無音・無振動で稼働するのも魅力。作業中に集中力が妨げられないし、寝室に置いても安眠が妨害されない。

前面の外部操作パネルで各種設定が可能

D-strage DS-51Cの正面右上部にはLCDモニターを備えた操作パネルが搭載されている。庫内の温度・湿度を一目で確認できるのはもちろん、防湿庫の扉を開けることなく湿度の設定や庫内LED照明の点灯・消灯などの全ての操作がここで完結できるのが魅力だ。

大手メーカー製のものも含めて、防湿庫の一部にはこれらの設定を行うためには庫内の最奥にあるダイヤルを調節しないとできないものもある。操作している間は防湿庫の扉が全開放状態となるため、湿度を効果的に管理できなくなるのが難点だ。

一方、D-strage DS-51Cは全ての操作を庫外の操作パネルで行えるので、いちいち扉を開ける必要がなく、より効率的に湿度の管理ができるというわけだ。

ちなみに、操作パネルの横にあるLCDモニターは表示の明るさを調節できる。暗い部屋の中でも表示の明るさが気になりにくいので、寝室にも問題なく設置できる。

スライド棚の設置位置はカスタマイズが可能

D-strage DS-51Cには引き出し可能なスライド棚が実装されているので、撮影機材をスムーズに取り出し・収納ができる。

スライド棚1段に付き均等荷重で約10kgまでの重さに耐えられる。うまく置けば、1段のスライド棚にOM-D E-M1 Mark IIを4台は置けるし、レンズを装着した状態でも3台は収納できるだろう。もちろん、それよりも薄いOM-D E-M5 Mark IIやOM-D E-M5 Mark IIIならばもっと多くの数が保管できる。もっとも、そこまでの台数のカメラはないが(笑)。

また、スライド棚に標準装備されているレンズホルダーには最大径70mm・奥行き23.5cmのレンズ保管スペースが3つ用意されている。フルサイズ換算で600mm相当の画角に対応するオリンパスの大口径超望遠単焦点レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO(フード収納時22.7cm)もしっかりと収納できるので、比較的大きめの機材を使用している方にとっても心強いだろう。

そして、このスライド棚が持つ最大のメリットが、棚を取り付ける高さを自由に変えられること。D-strage DS-51Cの内部には約3cm間隔でスライド棚設置用の取り付け穴が設けられている。

D-strage DS-51Cには初期状態で2つのスライド棚が同梱されているのだが、それぞれの棚を設置する高さを変えることはもちろん、別売のスライド棚やレンズホルダーを追加して取り付けることもできる。

これによって、将来的に撮影機材が増えた場合でもある程度対応できるようになっている。

その他にも便利機能が満載

D-strage DS-51Cにはその他にも便利な機能が搭載されているので、それらも簡単に触れておこう。

まず、鍵付きの強化ガラス扉だ。D-strage DS-51Cには専用の鍵が2個付属するのだが、しっかりと施錠ができるので、不在時に勝手な持ち出しやいたずらを防止できる。小さな子供がいる家庭には特に嬉しい機能だろう。

次に、庫内LED照明。庫内の向かって右手前には白色のLED照明が搭載されており、防湿庫の奥まで明るく照らせるので、機材を出し入れする際などに重宝する。あるいは、来客時などに部屋のインテリアとして点灯させるのもいいかもしれない。ちなみに、照明のON/OFFは防湿庫の右上部の操作パネルでボタン1つで行える。

そして最後が、メモリー機能だ。D-strage DS-51Cであらかじめ設定した適正湿度などの設定は本体内のメモリーに記録されている。メモリ内の設定情報は防湿庫の電源が落ちた場合も保持されるので、停電に遭った場合でも後で設定をし直す必要がない。設定がリセットされると機材を保管する際に不具合が生じる場合があるが、本機ではその心配がないので安心して使っていける。

いざ、開封の儀!!

お待たせしました!細かい話はここまでにして、いよいよここからはD-strage DS-51Cを開封したときの様子をお届けしていこう。

D-strage DS-51Cが届いた直後の状態が下記の画像だ。

到着時のD-strage DS-51Cの画像

黄色のマジックバンドを外すと、梱包箱は上に持ち上げるだけで開封することができる。梱包も親切設計なのはとても好感が持てる。

開封した状態のD-strage DS-51Cの画像

梱包箱を開封したD-strage DS-51Cの天面には、下記のスリットが載せられている。

D-strage DS-51Cの天面にあるスリットの画像

万が一、防湿庫本体に傷・凹み・扉のガタ付きなどの初期不良があった場合は、ここに記載された連絡先に問い合わせれば対応してくれるので、このスリットは忘れずに保管しておこう。

ちなみに、防湿庫本体を上に持ち上げると梱包箱の底に小さな箱があるのだが、そこには専用のACアダプターが梱包されている。間違えて梱包箱ごと処分してしまわないように注意しよう。

なお、梱包箱はメーカーに修理を依頼するために本体を配送する際にあると便利なので、なるべく捨てずに取っておくことをおすすめする。

梱包箱と本体を包んでいたビニールを取り外した状態。黒光した御姿が何とも美しい!

ビニールを外したD-strage DS-51Cの状態の画像

ACアダプターのほかに、取扱説明書と鍵2個が付属品として同梱されている。この取扱説明書の裏面は保証書も兼ねているので、こちらもしっかりと保管しておこう。

D-strage DS-51Cの付属品の画像

D-strage DS-51Cのガラス扉を開いた状態。

D-strage DS-51Cの庫内の画像

最上段の奥にある四角い構造物が防湿庫の心臓部とも言えるペルチェ式除湿ユニットだ。これが庫内の湿気を吸収しつつ庫外へ蒸散することで、防湿庫内の湿度を一定に保ってくれるのである。

庫内にクローズアップした画像。

D-strage DS-51Cの庫内クローズアップの画像

向かって右側手前には庫内LED照明が設置されている。また、そのさらに手前にはスライド棚の高さを変更するときに使用する設置穴が設けられているが、奥側や反対である向かって左側にも同じものが搭載されており、合計4点で棚を支える形だ。

D-strage DS-51Cの脚元の画像。

D-strage DS-51Cの脚部クローズアップの画像

向かって右側が前方となるが、前方と後方とで脚の材質と形状が異なる。後方の脚は滑りにくいゴム製だが、前方の脚はステンレス・プラスチック製で脚部を回せば高さを微調整できるようになっている。これによって、多少の凹凸があるような場所でもガタ付きを抑えて確実に防湿庫本体を設置できるというわけだ。

D-strage DS-51Cの背面の画像。

D-strage DS-51Cの背面クローズアップの画像

これはペルチェ式除湿ユニットの裏側にもなるのだが、庫内で吸着された水分は画像下部の黄色いスポンジ状の吸湿材に溜められ、その上の放熱板から蒸散させられる。

なお、画像向かって左側にはACアダプター用のポートが装備されている。ここにACアダプターを挿入して電源を入れるだけでD-strage DS-51Cは使用されているので、手間はかからない。

ACアダプターを接続した背面クローズアップの画像

なお、防湿庫本体背面の除湿ユニットからは庫内で吸収した湿気が蒸散されるのだが、除湿効果を最大限発揮させるためには防湿庫背面の除湿ユニットを壁から3cm以上離しておく必要があるので注意しよう。

D-strage DS-51Cの背面スペースの画像

そして、電源に接続した状態のD-strage DS-51Cがこちら。

電源に接続したD-strage DS-51Cの画像

右上部のLCDモニターと庫内LED照明がしっかり点灯しているのがお分かりいただけるだろう。なお、LCDモニターの明るさと庫内LED照明のON/OFFは、モニター隣の操作パネルで簡単に変えられる。

除湿ユニットも電源を繋いだ直後から稼働を開始するのだが、初期状態から撮影機材の保管に適している「40%」に設定されているので、電源を繋ぐだけですぐに使用ができる。初心者にも嬉しい親切設計だ。

IDEX D-strage DS-51Cの使用感のレビュー

ここでは僕がIDEX D-strage DS-51Cを実際に導入した際の使用感について、収納容量除湿性能の2パートに分けてそれぞれレビューしていこう。この項目を読めば、あなたにもD-strage DS-51Cの良さが分かってもらえるはず!

作業机の隅に設置したD-strage DS-51Cの画像

収納容量

D-strage DS-51Cの収納容量は50Lだ。ミラーレスカメラのシステム用に作られた防湿庫なのでスリムなデザインではあるのだが、思った以上に多くの機材を保管できることにびっくりした。

何はともあれ、百聞は一見に如かず!まずは実際にD-strage DS-51Cに僕の撮影機材一式を収納した状態を見ていただこう。

防湿庫の扉を開いた状態だが、開封直後(約3週間前)の僕はこのような配置で撮影機材を収納していた。

D-strage DS-51Cに撮影機材を収納した様子の画像

2段目・3段目のスライド棚を手前に引き出した状態がこちら。

スライド棚を手前に引き出した状態の画像

今思うとかなり大雑把に機材を置いてはいるが、これでもカメラシステム一式を問題なく収納できていることがお分かりいただけるだろう。

除湿の必要があまりないバッテリー類やアクセサリー類をドライボックスに移動するなどしてスペースの無駄を省けば、もっと多くの保管スペースを確保できるだろう。しかも、3段目の上部にはまだかなりの余裕がある。

そこで僕は後日、先述した別売オプションのスライド棚とレンズホルダーを追加購入して、保管スペースの拡張を図った。

オプションのスライド棚とレンズホルダーの画像

そして、オプションのスライド棚とレンズホルダーをD-strage DS-51Cに取り付けた状態が下記の画像。

オプションのスライド棚とレンズホルダーを取り付けた状態の画像

奥に除湿ユニットがあるため、2段目・3段目のスライド棚と違って最上段の棚は最奥まで押し入れることはできず、少しばかり飛び出てしまう。

しかし、このように扉はしっかり閉められるので問題はない。

オプションを取り付けた上で扉を閉めた状態の画像

いずれにしろ、これで保管スペースが1段分丸ごと追加できたので、合計4段分となったわけだ。

そして、その上で撮影機材を整理しつつ再配置した状態が下記の画像だ。

撮影機材を再配置した状態の画像

2段目・3段目のスライド棚を手前に引き出した状態が下記の画像。

再配置した機材を手前に引き出した状態の画像

除湿の必要があまりないバッテリー類やリモートコードなどのアクセサリーをこれまで使っていたドライボックスに移したことでさらに保管スペースが確保できた。それだけでもスペースに少々の余裕が出ていたが、スライド棚を追加したことで最大収納可能容量を大幅に増加させることに成功した。

ちなみに、以下は僕がD-strage DS-51Cに保管している撮影機材のリストだ。

D-strage DS-51Cの保管機材リスト

【カメラ】

  • OM-D E-M5 Mark II
  • OLYMPUS AIR A01

【レンズ】

  • M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II
  • M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ
  • M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ
  • M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
  • M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
  • M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8
  • M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8
  • M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8
  • M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro
  • M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
  • ボディキャップレンズ BCL-1580
  • ボディキャップレンズ BCL-0980 fisheye
  • SAMYANG 7.5mm F3.5 FISH-EYE

【アクセサリー】

  • 金属製外付けグリップ ECG-2
  • パワーバッテリーホルダー HLD-8
  • マクロコンバーター MCON-P02
  • 付属フラッシュ FL-LM3
  • クリップオンストロボ FL-700WR
  • フィルター類(PL・NDなど)
  • リニアPCMレコーダー LS-P4
  • インスタントカメラプリンター KODAK C210

この時点でも既に十分な収納力があることがお分かりいただけるだろうが、D-strage DS-51Cの収納力はまだまだこんなものではない。これだけ詰め込んでも少々の余裕が残されているので、今後購入する予定のOM-D E-M1 Mark IIやPROレンズ2〜3本くらいであれば問題なく保管していけるだろう。

これで心置きなくさらに深い沼へと踏み入れられるというわけだ(笑)。

除湿性能

D-strage DS-51Cは乾燥・除湿方法にペルチェ方式を採用している。このペルチェ除湿方式は即効性に優れるのが最大の特徴なのだが、これも効果の程を実際に見ていただくのがいいだろう。

下記はD-strage DS-51Cに電源を繋いで起動させた直後に撮影したLCDモニターの状態だ。

起動直後の温度・湿度状態の画像

この日は10月の上旬でまだ残暑があって湿度もかなり高かったのだが、LCDモニターには温度29.3℃・湿度68%と表示されている。

D-strage DS-51Cのペルチェ式除湿ユニットは起動直後からノータイムで稼働するため、この状態で既に除湿ユニットがフル稼働を開始している。

それから2時間ほど経過したのがこちらの画像。

起動から2時間後の温度・湿度状態の画像

温度は29.2℃と変わらずだが、湿度は46%まで落ちており、撮影機材の保管に適正な40%代をしっかりと満たしている。

外界はかなり高めの湿度であったにもかかわらず、起動からたった2時間で適正湿度まで抑えてくれた除湿機能の高さには脱帽した。

もしこれが大手メーカー製のような乾燥剤除湿方式を採用した防湿庫だった場合は、この数倍以上の時間がかかっただろう。まず、準備として乾燥剤の加熱再生タイムに30分かかり、そこから除湿もゆっくり行われていくので。

起動時はもちろんだが、普段の除湿速度もとても速く優秀だ。

下記は先日に防湿庫の扉を3分間開放した直後に撮影したLCDモニターの画像だ。

扉を3分間開放した直後の画像

開放前は庫内の湿度は42%だったのだが、たった3分間の開放で55%まで湿度が上がってしまった。

そして、それから約1時間経過した状態が下記の画像だ。

扉を閉めてから1時間経過した状態の画像

ペルチェ式除湿ユニットの即効性もあり、たったの1時間で元の庫内湿度である42%まで戻っている。

このように除湿機能がどのような状態でもすぐに働き、素早く除湿してくれるので、いつでも気兼ねなく撮影機材の出し入れが存分に行える。これは高温多湿の季節や場所でも同様なので、湿害が多い環境に住んでいる方ほど重宝するだろう。

一度実際に体験していただくとより深く実感できるのだが、D-strage DS-51Cの除湿性能の高さは本当に感動ものだ。ぜひこの感動をあなたにも味わっていただきたい!

追記(2020/05/15):導入から半年経過しても絶好調の除湿性能

D-strage DS-51Cを使い始めてから半年余りが経ったが、除湿性能は現在でもすこぶる快調だ。

最近は気温が20度を超えるようにあり、外の湿度も約50%と上がってきたが、そんな環境の下でも防湿庫の中は常に40%台前半の湿度をキープしてくれている。

DS-51C導入から半年経過した状態の画像

動作に関する不調や不具合も皆無だ。大手メーカーの防湿庫と比べて半分程度の価格ではあるが、D-strage DS-51Cの品質はどこにも抜かりがない。季節や環境に関係なくしっかりと使っていけるようだ。

これから梅雨になり、防湿庫が本格的に必要になるシーズンが到来する。しかし、D-strage DS-51Cがあれば、全く気にすることなく大事な機材を梅雨の湿害からしっかりと守っていけるに違いない。

総評

今回はIDEXから発売されたミラーレスカメラシステム用の防湿庫:D-strage DS-51Cのレビューをお届けしてきた。

価格は約2万円とかなりリーズナブルなのだが、機能性の高さに一切の妥協が見られない。スリムなデザインと大容量の収納力を両立させていることに加えて、ペルチェ式除湿ユニットによってどんな状態でも素早く除湿効果を働かせることができる。

大手メーカー製の2倍近く価格の高い防湿庫と比較しても性能は全く引けをとらず、それどころか除湿速度やシンプルな操作性など上回っている部分も所々ある。

間違いなくコストパフォーマンスが最強クラスの防湿庫だろう。

少し前の僕と同じようにこれまでドライボックスを使用していた方も含めて、これから本格的な防湿庫を導入しようとしている方は、ぜひこのD-strage DS-51Cを選択肢に入れておくことを強くおすすめしたい!

大切な撮影機材を常に完璧な環境で確実に保管できるというのは、カメラマンにとって非常に大きな安心感に繋がる。

ぜひあなたもD-strage DS-51Cを入手して、この安心感を堪能していただければと思う。長く大事に使っていくためにも、大切な機材にも最高の休息場所を用意してあげてほしい。

追記(2020/05/15):代替製品:IDEX D-strage DS-64Mのご案内

今回のレビュー記事でD-strage DS-51Cが持つ性能の優秀さはお分かりいただけたと思う。きっと興味を持っていただけたはずだ。

しかし残念ながら、冒頭でお伝えしたようにD-strage DS-51Cは既に生産完了となっており、2020年5月現在はもう販売されていない。。。

せっかくここまでお読みいただいてD-strage DS-51Cに興味を持ってもらったのに申し訳ないかぎりだ。

そこで今回は最後に、D-strage DS-51Cの代替製品として、同じくIDEXから販売されている防湿庫のIDEX D-strage DS-64Mを簡単に紹介させていただこう。

D-strage DS-64MはIDEXから新型エントリーモデルとして発売された防湿庫だ。除湿方式や各種機能などの基本的な仕様はD-strage DS-51Cと大部分で共通しており、本体のサイズ感も比較的近いので、代替品として選びやすいだろう。

一方で、異なる点もいくつかあるので下記にまとめて紹介しておこう。

D-strage DS-51Cとの違い① 一回り大きめの収納容量

D-strage DS-64Mの収納容量は60Lあり、D-strage DS-51Cの50Lと比べてわずかに大きいのが特徴だ。

というのも、D-strage DS-64MはスリムモデルであるD-strage DS-51Cよりもやや大きめにデザインされているからだ。具体的なサイズと収納容量の違いは下記の通りとなる。

外寸と収納容量の違い
  • D-strage DS-64M:幅38cm×奥行き39cm×高さ52cm、60L
  • D-strage DS-51C:幅29cm×奥行き32cm×高さ60.5cm、50L

幅と奥行きのサイズはD-strage DS-64Mの方がわずかに長く、一方で高さはやや低くなっている。全体的に横と奥に広いずんぐりとした筐体にはなっているので、置き場所をやや広めに確保する必要はある。

しかしながら、D-strage DS-64Mにはより大量の機材が収納できるという絶対的なアドバンテージがある。

写真を長く続けていると必然的に機材の総量は増えていく。例えば、OM-D E-M5シリーズを数年以上愛用してきたユーザーがOM-D E-M1シリーズにステップアップして、PROグレードのレンズを買い揃えていくと、D-strage DS-51C単体だけでは機材を収納しきれないこともある。(使用するレンズの数が限られていればこの限りではないが。)

僕の今の状況がまさにそれだ。将来的なOM-D E-M1 Mark IIやPROレンズの複数追加に向けて、D-strage DS-51Cをもう1台増設しようと思っていた。(その矢先に生産完了となってしまったのだが。。。)

だが、D-strage DS-64Mは幅広のデザインが功を奏してより多くの機材を収納できる。僕のようにPROグレードレンズのコンプリートを画策している重度の機材オタクではないかぎり、写真を趣味として嗜む一般的なカメラマンであれば将来的に機材の総量が多少増えてもD-strage DS-64Mの1台だけで十分に対応できるだろう。

D-strage DS-64MはIDEXの中でもエントリーモデルに位置する防湿庫だが、通常用途であれば将来的にも十分すぎる収納容量を確保できるので、これから本格的に写真を楽しんでいきたいと思っている方にも強くおすすめできる。

D-strage DS-51Cとの違い② 白色LEDによる湿度表示

庫内の湿度表示に目に優しい白色LEDが採用されているのもD-strage DS-64Mの特徴だ。

D-strage DS-51Cでは湿度表示は青色LED、温度表示は赤色LEDが採用されていた。しかし、D-strage DS-64Mでは白色LEDを採用することで、湿度表示に際して色の主張を効果的に抑えている。

従来の青色と赤色のLED表示では少々目立ってしまう欠点があった。特に、防湿庫を寝室に設置している場合は、置き方によっては夜間に表示が目立ってしまって、目が冴えてしまうこともあった。

だが、D-strage DS-64Mではその心配は必要ない。湿度のLED表示が大人しい白色に変わったことで暗闇の中でも色の主張が少なくなり、寝室でもより気にせず使用できるようになった。

ちなみに、LED表示の明るさについては、D-strage DS-64MはD-strage DS-51Cと同様に手動で調節することができる。

D-strage DS-51Cとの違い③ 価格はわずかに高め

最後に、気になる価格差についてだが下記の通りとなる。

販売価格の違い
  • D-strage DS-64M:25,259円(税込)
  • D-strage DS-51C:20,167円(税込)

どちらもYahoo!ショッピングで出店しているIDEX公式ストアでの価格を掲載させてもらった。

D-strage DS-64Mの価格はD-strage DS-51Cと比べて5,000円ほど高くなっている。

ただし、収納容量1L当たりの金額を見てみると、下記のようにほとんど大差はない。

収納容量1L当たりの金額の違い
  • D-strage DS-64M:420円
  • D-strage DS-51C:403円

収納容量を考慮すればD-strage DS-64Mの販売価格は妥当だ。コストパフォーマンスの面でも十分に優れている。

D-strage DS-64Mはおすすめできるか?

収納容量・LED表示色・価格など若干の相違点はあるものの、D-strage DS-64Mはコストパフォーマンスの面で優れているのは間違いない。

D-strage DS-51Cと比較すると置き場所のスペースを少々広く確保する必要があるのが難点だが、運用自体はほぼ大差なくしていけるだろう。

今回の記事を読んでD-strage DS-51Cに興味を持っていただいた方には、D-strage DS-64Mを代替製品として導入すること強くおすすめしたい。D-strage DS-64MはD-strage DS-51Cと同様、あなたの大切な機材を湿害からしっかりと守ってくれるだろう。

ちなみに、先日IDEXのカスタマーサポートに問い合わせたところ、現在D-strage DS-51Cの後継モデルの開発が検討されているらしい。正式なことが決まり次第、公式サイトの方で告知するとのことだ。

いずれにしろこのウイルス禍が収まってからの発表・発売という形になるとは思うが、D-strage DS-51Cの後継モデル:D-strage DS-52C(?)が発売されたら早速僕も追加購入して使用感をレビューしていきたいと思っている。乞うご期待いただきたい。