旅行にはパートナーとしての旅カメラの存在が欠かせない。
観光地を訪れた際の記録だけではなく、家族や友人との思い出作りはもちろん、旅先で出会った光景を撮影して作品としてSNSなどで発表する際にもカメラは重宝する。
最近はカメラ機能が進化したことでスマートフォンでもある程度は綺麗に撮れるようになったものの、画質面や機能面では撮影に特化した専用機である高級コンパクトカメラやレンズ交換式カメラにはまだ遠く及ばない。
旅先で出会った光景や家族・友人との思い出を少しでも綺麗かつ印象的に写真に残すには、やはりこれらのカメラ専用機を用意しておくのが良いだろう。とはいえ、カメラには様々な種類があり、難しい専門用語も盛り沢山なので、それらに馴染みのない初心者の方はどれを選べばいいのか迷ってしまうことだろう。
そこで今回の連載では全8回に分けて、あなたの観光旅行を充実させる「旅カメラ」の選び方のポイントを紹介していく。そして、最終回ではそれらのポイントを踏まえた上で、究極厳選したおすすめの旅カメラ2機種を詳細解説していく。
Contents
まずは自己紹介をば
おすすめの旅カメラとその選び方を紹介すると言っても、僕が何者かも分からない状態でいきなり話を進めても説得力がないだろう。そこでまずは、この記事の筆者にしてこのポータルメディアの管理人である僕の写真経歴について触れておこう。
僕は世界的に活躍できるトラベルジャーナリストを目指して活動している者だ。といっても、他社から依頼仕事を本格的に受けているわけではなく、完全に自分の気の向くままにライフワークとして活動しているだけなので、厳密に言うとプロとは言えない。
しかし、カメラや写真撮影に関しては10年以上の経験がある。2007年に母方の親戚が住んでいるフィリピンを旅行する際にデジタル一眼レフカメラを入手して以来、カメラの持つ魅力や写真の楽しさにどハマりしていった。
それからカメラや写真に関する知識を独学で貪欲に学んでいった。どこに行くにも常にカメラを携帯し、撮影に関する経験も積極的に重ねてきた。まさに寝食を忘れるほど狂ったように(笑)
実際に僕が撮影した写真の作品に関しては、こちらの500pxギャラリーをご覧いただくと良いだろう。ささやかだが厳選した作品を掲載させてもらったので、楽しんでもらえると嬉しい。
Alan Drake Haller’s Gallery on 500px
いずれにしろ、そうして培ってきたカメラや写真に関する知識や経験が身を結ぶこととなる。それがフォトマスター検定だ。
フォトマスター検定はカメラや写真に関する知識を測るためのもので、アマチュアカメラマンや写真講師、家電量販店のカメラ販売員に人気の資格だ。しかし、1級ともなると難易度は非常に高くなっており、カメラに関する話題についてメーカーの開発者ともガチで話ができるほどの高度な知識が問われる。
僕はこの検定試験を2010年に試しに受験したのだが、フォトマスター1級の試験に一発で合格している。つまり、僕はカメラや写真について非常に詳しい。一般のプロカメラマンはもちろん、大手家電量販店に勤めているカメラ販売員よりも深く精通していると言えるだろう。(ただし、自分が興味のある分野だけに若干知識が偏っているが…)
実際に、一時期はその知識と経験を生かして大型の家電量販店でカメラ販売員として働いていたこともある。初めた当時は販売経験なしのど素人だったが、半年ほどで部門1位のカメラ販売実績を上げていた。
そして現在では、世界的に活躍できるトラベルジャーナリストを目指して活動している。それまで培ってきたカメラや写真に関する知識や経験を生かして、自分が旅先で発見した観光情報や希望を与えてくれる光景を世界中の人々に届けていくためだ。その一環として、僕はこのポータルメディアを立ち上げたわけだ。
ここまでお話ししてきたことで、僕はカメラや写真に関して少なくとも世間一般の方よりは精通していることがお分かりいただけると思う。このシリーズでは、そんなカメラや写真にどハマりした結果世界を目指すことになったトラベルジャーナリスト志望の僕が、旅カメラの選び方とおすすめの究極厳選2機種を紹介していく。
前置きが少々長くなったが、いよいよここからが本題だ。次項からは旅カメラ選びの1つ目のポイント:「レンズを交換して多彩な表現が楽しめるか?」をテーマに解説していく。あなたにとって旅先で相棒となる最適な旅カメラを見つけるための一助になれれば幸いだ。
レンズ交換で多彩な表現が楽しめるレンズ交換式カメラ
旅行に携帯する旅カメラにはスマートフォン内蔵のカメラやコンパクトカメラよりも、レンズを換装できるレンズ交換式カメラをおすすめする。なぜなら、レンズ交換式カメラはカメラに装着するレンズを換えることで多彩な表現が楽しめるからだ。
レンズ交換式カメラとは、コンパクトカメラと違ってレンズを換装できるカメラを指す。そして、レンズ交換式カメラには主に2種類がある。カメラ内部に反射鏡(レフレックスミラー)を持つ昔ながらの構造の一眼レフカメラと、内部に鏡を持たない小型軽量なミラーレスカメラだ。この2種類を総称してレンズ交換式カメラと呼んでいる。(それぞれの違いについて詳しくは次回で解説する。)
デジタル一眼カメラを購入すると大抵の場合、標準ズームレンズという近距離から中距離までの撮影対象(被写体)をバランスよく撮影できるレンズが付属する。しかし、デジタル一眼カメラには標準ズーム以外にも様々な種類のレンズが存在する。
例えば、風景をダイナミックに切り取れる広角レンズや、遠距離の被写体を引き寄せて撮影できる望遠レンズ、花や昆虫を拡大して接写できるマクロレンズ、広範囲の空間を歪めてデフォルメした世界観を楽しめる魚眼レンズ、そして背景を大きくぼかしたり暗い場所でも綺麗に撮影できる単焦点レンズ(プライムレンズ)などがある。
このように異なる種類のレンズをカメラに換装することで多彩な表現が楽しめるのだ。同じ被写体であっても、レンズを変えれば新しい視点から表現することができる。
例えば、街中を歩いている時に猫と出会った時。標準ズームで単に記録写真を撮るだけではなく、広角レンズで猫と一緒に猫が住んでいる風景を入れてダイナミックに写し止めたり、単焦点レンズで接近して可愛い表情を捉えつつ背景をぼかしてみたり。魚眼レンズで周囲を歪ませて撮るのも面白いかもしれない。
こんな風にレンズ交換式カメラではレンズを換装することで、旅先でも多彩な表現が楽しめる。これはスマートフォン内蔵のカメラやコンパクトカメラにはない魅力だ。
スマートフォン内蔵のカメラやコンパクトカメラは非常に小型軽量でかさばらず、携帯するのがとても楽だ。しかし、これらのカメラはレンズは固定式で交換することができない。中には2つのレンズを備えていたり、背景をぼかせる高画質レンズを搭載しているものもあるが、レンズが換えられないので必然的に表現方法は限られてしまう。
スマートフォンでは画像編集アプリを駆使すればある程度の種類の表現は楽しめる。しかし、デジタル加工は便利だが、できる加工の限度はあるので、表現の選択肢はそれほど多くない。また、同じレンズを使用して撮影した画像を強力なデジタル処理で無理やり加工する必要があるため、加工すればするほど画像は劣化してしまうのも難点だ。
レンズ交換式カメラではレンズを用いて物理的に表現効果を付加しているので、撮影時にデジタル処理によって画質が劣化することは基本的にない。つまり、高画質を維持したまま多彩な表現を楽しめるのもデジタル一眼カメラの魅力なのだ。
スマートフォン内蔵のカメラやコンパクトカメラよりも高画質
また、レンズ交換式カメラではスマートフォン内蔵のカメラやコンパクトカメラよりも高画質で写真が撮影できることも魅力だ。
スマホ搭載カメラとレンズ交換式カメラに決定的な画質差が生まれる原因
デジタル画像はカメラ内部のイメージセンサーという部品がレンズから通った光を受けてデジタル処理をすることで生成される。一般的には、このイメージセンサーの大きさが大きいほど高画質な写真が撮影できる。
上記比較画像の4/3(フォーサーズ)以上の大きさがレンズ交換式カメラに搭載されているイメージセンサーのサイズとなる。大きく分けて、フォーサーズ、APS-C、35mm判フルサイズの3種類がある。スマホに搭載されたカメラのイメージセンサーと比較すると、最も小さいフォーサーズのイメージセンサーでも約8倍もの面積差があるのだ。
これがスマートフォン内蔵のカメラとレンズ交換式カメラに決定的な画質差を作り出す原因となっている。
レンズ交換式カメラは豊かな階調で撮影できる
イメージセンサーのサイズが大きいほど、明るい部分から暗い部分まで鮮明に写すことができる。カメラは人の目と違って、明るい部分と暗い部分が混在する景色では両方の明るさをバランスよく写し出すのは苦手だ。
しかし、イメージセンサーのサイズが大きくなるほど光を取り込める面積が増えるので、画像に出力できる明るさの幅(これを階調という。)が広くなりバランスが向上する。つまり、イメージセンサーの大きなレンズ交換式カメラの方が、スマートフォン内蔵のカメラやコンパクトカメラよりも幅広い階調をバランスよく写し出せるのだ。
上記の画像は昼頃にフォーサーズのイメージセンサーを搭載するレンズ交換式カメラ(OM-D E-M5 Mark Ⅱ)で撮影したものだ。強い太陽の光が当たっているので明るい部分と影の部分が混在した状況になっている。にも関わらず、光の反射したビルや空は白く飛ばず、逆に暗いトンネルは黒く潰れず、全体的にバランス良く階調が表現されているのがお分かりいただけると思う。
スマートフォン内蔵のカメラではこうはいかない。階調性能がそれほど良くはないので、ビルが明るく飛んでしまうか、トンネルが暗く潰れてしまうかのどちらかで、両方の明るさをバランス良く表現することはできないだろう。
レンズ交換式カメラは暗所での撮影が得意
また、イメージセンサーが大きいほど暗所でもより高画質な写真を撮影できる。
下記は、僕の手持ちの機材でほぼ同世代となるスマートフォン(iPhone SE)と、大口径レンズを装着したレンズ交換式カメラ(OM-D E-M5 Mark II)で、夜間に近所にある神社を比較撮影した画像だ。光源はお堂を照らす電球しかなく、それ以外はほとんど光の射さない真っ暗闇の状況だった。
こうして見ると、画質の違いが歴然と見えてくるだろう。スマートフォンで撮影した画像はかろうじてお堂が写っているのを判別はできるものの、ノイズ(画像の荒れ)や手ぶれがひどく、全くもって使えない画質だ。一方、レンズ交換式カメラで撮影した画像はノイズや手ぶれがほとんど見られず、明るさも程よく、作品としても十分に使える画質だということがお分りいただけるだろう。
レンズ交換式カメラは背景を綺麗にぼかせる
また、イメージセンサーのサイズが大きくなるほど、背景や前景がより大きくボケやすくなる性質がある。つまり、レンズ交換式カメラでは、スマートフォン内蔵のカメラやコンパクトカメラよりも圧倒的に大きなボケを楽しめるのだ。
上記の比較画像の内、スマートフォン内蔵のカメラで撮影した方は全域に渡ってピントが合っており、背景にはほとんどボケが見られない。状況写真としてはいいかもしれないが、これでは何を強調して見せたかったのかが分からない。一方、レンズ交換式カメラで撮影した画像は背景が程よくボケているため、主題である鉢植え人形がしっかりと強調できているのがお分かりいただけるだろう。
最近は撮影後に背景をぼかせる機能を搭載したスマートフォン内蔵のカメラも発売されている。しかし、これら機能ではデジタル処理で無理やりボケを再現しているに過ぎないので、美しいボケ味とは程遠いものができてしまう。しかも、ボケを適用できる条件が限定的なため、使い勝手もよろしくない。
一方、レンズ交換式カメラでは全てレンズによる光学的な効果でボケを生み出しているので、自然で綺麗なボケ味を楽しめる。しかも、ボケ表現に特化した大口径レンズを使用し、コツさえつかめれば、誰でも簡単にボケ表現が楽しめるのだ。
旅のパートナーにこそレンズ交換式カメラを
ここまで見てきたように、レンズ交換式カメラのイメージセンサーは、スマートフォン内蔵のカメラやコンパクトカメラに搭載されたものより数倍以上も大きく、階調特性や暗所特性、そしてボケ味で大きく上回るので、次元の異なる高画質が得られる。
iPhone XSやPixel 3など10万円以上する最新スマートフォンの内蔵カメラは確かに優秀だ。しかし、そもそものセンサーサイズがレンズ交換式カメラと比べて圧倒的に小さいため、どうやっても本質的な画質ではレンズ交換式カメラの画質には絶対的に敵わないのだ。
旅先で出会った光景は一期一会なので、単に記録するだけでは面白くない。どうせ撮影するなら、高画質な画像で残したい。そして、状況に応じて様々なレンズを駆使することで唯一無二の思い出や作品として残してこそ、旅はより充実したものになる。
だからこそ僕は、旅のパートナーとして連れて行く旅カメラにレンズ交換式カメラを強くおすすめする。
総評
技術が進歩したことでスマートフォンの内蔵カメラやコンパクトカメラでもある程度は綺麗な写真や面白い表現の写真は撮れるようになった。
しかし、レンズ交換式カメラには敵わない。レンズ交換式カメラではレンズが交換できるので、状況に応じて多彩な表現が楽しめる。しかも、無理なデジタル加工で画質を劣化させてしまう心配もない。
また、イメージセンサーに大きさがスマートフォンの内蔵カメラやコンパクトカメラよりも圧倒的に大きいため、広範囲でバランスのとれた明るさの写真が撮影でき、暗所でも綺麗な画質が確保できる。
以上のことから、旅カメラにはレンズ交換式カメラを選ぶことを強くお薦めする。
ただし、レンズ交換式カメラにも様々な種類がある。また、レンズ交換式カメラではカメラ本体だけではなくレンズも携帯する必要があるため、LCC利用時の手荷物に関する重量規定も注意が必要となる。
そこで、連載第2回目となる次回は、2つ目のポイント:「機内持込手荷物に収まる小型軽量なカメラシステムか?」をテーマに解説していく。
どうぞ乞うご期待!
★連載第2回目の記事はこちら↓↓↓
結論を早く知りたい方には…
しかしながら、「早くおすすめの旅カメラを知りたい!」、「最終回まで待ちきれない!」という方もいらっしゃるだろう。
そんな探究心旺盛な方のために下記の記事を用意させてもらった。
ぜひお読みいただいて、今回の記事と合わせて参考にしてもらえると嬉しい。
きっとあなたにとっても最高の相棒となるだろう旅カメラをご案内できるはずだ。