レンズ交換を制するものは旅写真を制する!
当メディアでは以前、旅先での写真撮影を楽しむのに最適な旅カメラとして、オリンパスが発売する2機種のミラーレスカメラ :OM-D E-M5 Mark IIとOM-D E-M1 Mark IIをご紹介した。
どちらもマイクロフォーサーズという規格に属しているミラーレスカメラ(以下、「マイクロミラーレス」)だ。単に高画質なだけではなく、レンズも含めて小型軽量なシステムであるため、旅先で一日中歩き回っても疲れにくく、軽快なフットワークで旅写真の撮影を楽しめるのが魅力となっている。
しかし、ミラーレスカメラを購入してから数ヶ月ほど撮影を続けていると、意外なことに、イメージしたような写真がなかなか撮れないことに気付く。ひどいとスマートフォンで撮影したのとあまり代わり映えのしない写真が量産されてしまうこともあるだろう。
その原因の1つが交換レンズだ。実は、ミラーレスカメラを始めとするレンズ交換式カメラは、被写体やシーンに応じて複数のレンズを使い分けることでその本領を発揮できる。
これはつまり、その被写体やシーンの撮影が苦手なレンズをカメラに装着して使用していると、頭に思い描いたような表現の写真が撮れないことを意味するのだ。
そこで、今回は旅先での写真撮影をさらに充実したものにするアイテムとして、オリンパスの純正品を中心に、旅写真の撮影におすすめなマイクロミラーレス用の交換レンズをご紹介していこう。
ぜひあなたの旅写真ライフをさらに豊かなものにグレードアップさせるための参考にしていただきたい。
Contents
キットのダブルズームだけでは限界がある
初心者向けのレンズ交換式カメラは大抵の場合、近距離〜中距離用の標準ズームと遠距離用の望遠ズームからなる2種類のズームレンズがキットとしてカメラ本体に同梱販売されている。これをダブルズームと呼ぶ。
例えば、下記に記載したオリンパスOM-DシリーズのエントリーモデルであるOM-D E-M10 Mark IIIのダブルズームキットに同梱されてくる2本のレンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZとM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 Rがそれだ。
2本の交換レンズがお得に入手できることもあり、初めてミラーレスカメラを購入する際は大抵の方がこの組み合わせのキットを買っている。確かに、これらのレンズは近距離から遠距離までカバーしており、大体のシーンでほどほどに撮影がこなせるので、利便性という面では理に適っている。
しかし、キットのダブルズームは決して万能ではない。
これら2本のレンズはコストを優先するために使用できる表現や機能が大きく限定されているのが難点。そのため、ダブルズームだけで全ての被写体やシーンに対応することはおろか、イメージ通りの写真を撮ることすらも非常に困難となっているのだ。
では、ダブルズームでできないことは一体何か?交換レンズの話をする前に、まずこの項目ではダブルズームではできないことを具体的にいくつか挙げていこう。
広い範囲が撮れない
見渡す限り広がる大自然や巨大な建造物など、旅先で出会った雄大な景色を広く大きく撮りたい場合があるだろう。また逆に、室内など、スペースが限られておりそれ以上は後ろに下がることができない場所で、周囲の空間を丸ごと撮り収めたい場合もあるだろう。
しかし、そういった広い景色や空間を丸ごと記録するような撮影にダブルズームは不向きだ。標準ズームレンズで使える最も広角側の焦点距離(レンズのズームリングに記載された最も小さい数値)に設定しても、せいぜいスマートフォンのカメラと同じくらいの範囲しか撮影できない。
接写ができない
旅先では道端で可愛らしい花を見かけたり、レストランで素敵な盛り付けの料理と出会ったりすることもあるだろう。そういった被写体を印象的に撮影する際に有効なのが接写だ。カメラのレンズを被写体に近付けて撮影することで、画面に対して被写体を大きく写せるので、自分が素敵だと思った部分をより強調して伝えられる。
しかし、ダブルズームのレンズは接写が苦手だ。カメラは使用するレンズごとにピントの合わせられる有効距離が決まっている。その距離よりも被写体に近付くとピントが正確に合わせられなくなってしまうのだ。
カメラに同梱するこれらのレンズは単体で売られている他のレンズと比べて、この距離が長めに設定されている場合が多い。そのため、被写体を拡大して写すために近付こうとすると、ピントが合わせられずピンボケの写真しか撮れないことが多々ある。
背景を綺麗にぼかせない
初めてミラーレスカメラを購入した方の大半は、スマートフォンのカメラでは表現できないような背景が大きくボケた写真が撮りたいと思っているだろう。ピントが合っている部分以外をボカすことによってテーマとなる被写体を明確に強調できるので、旅先で自分が感動したものを写真の鑑賞者へ伝える際にもより効果的だ。
しかし、ダブルズームのレンズ、特に標準ズームレンズはボケにくいのが難点。テクニックを使えばある程度は補えるのだが、これらのレンズはそもそもが設計上ボケを作りにくい特性を持っているため、テクニックだけでカバーするのにはどうしても限界があるのだ。
夜景が鮮明に撮れない
同じ観光地であっても昼と夜とでは見える景色がガラッと変わる。暗闇に包まれた街並みを彩るネオンや煌めくイルミネーションなど夜景の魅力は絶えない。そういった夜の風景を綺麗に撮影する際にもミラーレスカメラは重宝する。
しかし、ダブルズームのレンズは夜景の撮影が苦手だ。夜景撮影ではいかに多くの光を取り込むかが重要となるのだが、これらのレンズは設計上の都合で取り込める光の量が少なく限られている。それによって、高速なシャッター速度があまり使えないので、暗くなるほど手ぶれが起こりやすく、高精細な夜景写真を撮るのが難しくなっているのだ。
急な天候の変化に対処できない
せっかく訪れているのだから旅先では快晴で澄み渡る青空を期待して当然なのだが、残念なことにいつも天気に恵まれるとは限らない。日程の関係で雨の中でもツアーを進めないといけない場合もあるし、場所によっては観光中に突然の豪雨や吹雪、砂嵐に見舞われることもあるだろう。
そんな時にカメラ本体と同じように交換レンズにも防塵防滴機構が搭載されていれば、雨や砂埃の侵入を効果的に防いでくれるので、急な天候の変化や厳しい環境でも故障を気にせず撮影を継続できる。また、逆に悪天候の日でないと出会えないような風景も撮影できるようになるので、旅写真の楽しみがさらに増えるのもポイントだ。
しかし、ダブルズームのレンズは基本的に防塵防滴機構は非搭載となっている。雨や砂埃に見舞われる度に故障しないようカメラを余分に気にかけなければいけなくなるので、旅行を楽しむことにあまり集中できないのが難点だ。
MFへの切換えに時間がかかる
AF(オートフォーカス)は決して万能ではない。特に、狙った位置に高い精度でピントを合わせるのはあまり得意ではないので、花や昆虫の接写など限られた狭い範囲にピントを合わせるときはAFだけに頼らずMF(マニュアルフォーカス)も併用した方が楽な場合が多々ある。AFで大体の位置にピントを合わせてから、MFに変えることでピントを微調整しつつ追い込むのだ。
しかし、ダブルズームのレンズはMFに切り替える際に手間のかかるものがほとんど。AFからMFへワンタッチで瞬時に変えられるスイッチやクラッチ機構が搭載されておらず、切換えの度にカメラのメニュー画面を開いて行わなければならない。その結果、切換えまでに時間がかかってしまうので、その間にシャッターチャンスを逃してしまうこともあるのだ。
ミラーレスカメラには様々な種類の交換レンズがある
前項で初心者向けのミラーレスカメラに同梱するダブルズームは、安価な一方で使える表現や機能が限られていることがお分かりいただけだろう。しかし、ダブルズームだけが交換レンズの全てではない。
レンズ交換式のミラーレスカメラには、ダブルズームの他にも様々な種類のレンズが用意されている。ひとえに交換レンズと言っても様々な種類が存在するのだ。
では、いくつかの種類のレンズをピックアップしてご紹介しよう。
まず、広角レンズだ。標準ズームレンズの広角側よりさらに小さい焦点距離が使用できるので、より広い範囲をダイナミックに写し込める。
次に、マクロレンズだ。被写体を実物に近い大きさで描写できることに加えて、被写体の間近まで接近してもピントを合わせられる設計が施されているので、花や料理の一部分だけを撮影する写真などで重宝する。
続いて、大口径レンズだ。一度に多くの光を取り込めるように設計されているのが特徴で、背景を大きくボカしたり、夜景を手ぶれせず綺麗に撮ったりするのを得意としている。また、中にはAFからMFへの切換えがスムーズにできるものもある。
そして、防塵防滴レンズだ。雨や砂埃が内部に侵入しないようにレンズの各所にゴムパッキンによるシーリングが施されているので、急な悪天候に見舞われても故障を気にせず撮影に没頭できる。
このように、ミラーレスカメラにはダブルズーム以外にも様々な種類の交換レンズが用意されている。ちなみに、マイクロミラーレス用の交換レンズだけを見ても、カメラメーカーの純正品とサードパーティ製品を合わせて70本以上(2020年8月現在)がラインアップされている。
実際の撮影では、これらの種類の中から撮影したい被写体やシーンに応じて最適な交換レンズに換装しながら行う。的確なレンズを選べば、イメージにより近い写真表現ができるようになったり、撮影を有利に進めることができるようになったりするのだ。
レンズの基礎知識とスペックの読み取り方
交換レンズにも様々な種類がある。豊富なラインアップの中から自分が撮影したい被写体やシーンに適した交換レンズを選ぶためには、交換レンズのスペックを正確に読み取れるようになる必要がある。この項目では交換レンズの基礎として、最適な交換レンズ選びに必要な知識をまとめて解説しておこう。
レンズ名の構成
まずはレンズの名前を見てみよう。初心者にとっては意味不明な暗号の羅列に見えるかもしれない。しかし、どのレンズの名前も一定の法則で名付けられており、名前を見るだけでそのレンズが持つ特徴が大体分かるようになっている。
では、具体的にレンズを1本取り上げて詳しく見てみよう。このレンズはオリンパスから発売されている高倍率ズームレンズだ。レンズの名称を要素ごとに区切ると下記の画像のようになる。
①「M.ZUIKO DIGITAL」はレンズのブランド名、②「ED」は色にじみやコントラスト低下を抑える特殊レンズを使用していること、③ 「12-100mm」はこのレンズで使える焦点距離、④「F4.0」はこのレンズで使える最小のF値(開放F値)、⑤「IS」は手ぶれ補正機構を搭載していること、そして⑥「PRO」はレンズのグレードをそれぞれ示している。
各メーカーによって名称の規則に若干の差異は見られるが、③・④に関してはどのメーカーも概ね共通して表記している。これらの項目はレンズが持つスペックの一部を示しているものに過ぎないが、これらだけでもレンズが持つ基本的な特徴は大体把握できるので、まずはこの2つの項目:「焦点距離」と「F値(絞り値)」をチェックするのがおすすめだ。
これらの項目も含めて、次項からはさらに具体的にレンズのスペックを紐解いて解説していこう。
焦点距離
焦点距離とは、レンズの中心である「主点」からイメージセンサーまでの距離のこと。mmという単位が用いられ、「12mm」、「25mm」、「75mm」などというように表記される。
この数値が小さくなるほど焦点距離は短くなり、レンズの写せる範囲(画角)が広くなっていく。それと同時に、焦点距離が短くなるほど遠近感の誇張が大きくなる特性があり、撮影者から近いものほど大きく写り、遠いものほど小さく写る。
逆に、数値が大きくなるほど焦点距離は長くなり、レンズの画角は狭くなっていく。それと同時に、焦点距離が長くなるほど遠近感の圧縮が大きくなる特性があり、撮影者から近い位置にあるものと遠くの位置にあるものとの距離感がなくなる。
焦点距離によるレンズの分類
使える焦点距離に応じてレンズの種類が分類されるのもポイント。マイクロフォーサーズ規格では焦点距離25mm前後のレンズを「標準レンズ」と呼ぶ。人間の視野とほぼ同じ画角と自然な遠近感で撮影できることがその分類名の所以だ。
それを基準に、25mmより焦点距離の短いレンズは「広角レンズ」、逆に長いレンズは「望遠レンズ」として大まかに分けられる。加えて、これらの分類のレンズも焦点距離に応じてさらに細分化できる。
大まかだが、広角側の焦点距離では、12mmから17mmまでが広角レンズ、11mm以下が超広角レンズとなる。望遠側では、35mmから60mmまでが中望遠レンズ、75mmから150mmまでが望遠レンズ、そして200mm以上が超望遠レンズとなる。
ちなみに、ズームレンズでは「12-100mm」というような表記が名称に見られる。これは「このレンズで使用できる焦点距離は最も広角側(広角端)が12mmで、最も望遠側(望遠端)が100mm」であることを示している。
補足:35mm判換算とは?
レンズのスペック表を見ていると、焦点距離に「35mm判換算」という文言が表記されていることに気付くだろう。これはレンズが持つ焦点距離を35mm判フルサイズ規格のカメラで使用した場合の焦点距離に換算して表記したものだ。
なぜこのような表記が焦点距離の項目に併記されているのか?
それは、銀塩フィルムの時代からカメラを長く使い続けた世代からすると、当時主流だった35mm判フィルムと同等の撮像面積を持つ35mm判フルサイズ規格の焦点距離が画角を見極める際の基準となっているからだ。また、フルサイズ規格のデジタルカメラを主に使用している人にとってもこれは同様だ。
つまり、35mm判フルサイズに換算した場合の焦点距離も併記しておけば、それらのカメラを主力の機材として使用している人もレンズで使用できる画角が把握しやすくなるというわけだ。
ただし、これはセンサーサイズの異なる複数のカメラシステムを併用する人の場合に限った話。マイクロミラーレスだけを主に使用していくのであれば、取り立てて気にかける必要はないだろう。
ちなみに、マイクロフォーサーズ規格ではレンズの焦点距離を2倍にすれば35mm判フルサイズ規格と同等の画角を撮影できる焦点距離に換算できる。参考程度に覚えておくといいだろう。
F値(絞り値)
F値とはレンズの焦点距離を有効口径で割った数値であるが、簡単に言うと、レンズの明るさを決める数値のこと。レンズ内にある絞りという機構が深く関わっていることから、絞り値という名称でも呼ばれている。
画像を記録するためにはレンズからイメージセンサーへ光を通す必要がある。その際、絞りで光を通す穴のサイズを調整することで、取り込む光の量をコントロールしているのだ。
レンズのF値が小さくなるほど絞りが大きく開き、一度に多くの光を取り込めるようになる。これによって暗いシーンでも十分な光量を取り込めるので、夜景や暗い室内でも手ぶれのない綺麗な写真が撮れるようになる。また、F値が小さくなるほどピントが合う範囲(被写界深度)が狭くなるので、背景や前景が大きくボケやすくなる性質も持っている。
逆に、F値が大きくなるほど絞りが小さく閉まり、取り込める光の量が制限される。これによって低速シャッターが利用できるので、滝や人混みなどの動きをぶらしながら撮影するなどの動感表現が使えるようになる。また、F値が大きくなるほど被写界深度が広くなるので、画像の手前から奥までピントを合わせたパンフォーカス撮影がしやすくなるという特性も持っている。
F値は人間の目と同じ明るさとなるF1.0が起点になっている。そこからF1.4、F2.0、F2.8、F4.0…というように√2倍ずつ上昇していき、数値が上がるほどイメージセンサーに取り込む光の量は減っていく。
開放F値(開放絞り値)
レンズの名称などに表記されるF値は開放F値(開放絞り値)というもので、「そのレンズで使用できる最小のF値」を示している。その数値よりも絞りを開けることはできないので、綺麗な夜景の写真や大きなボケ味の写真を撮影したい場合は注意して見ておこう。
ズームレンズでは「14-42mm F3.5-5.6」というように表記されている場合が多い。これは「広角端14mm時の開放F値はF3.5で、望遠端42mm時の開放F値はF5.6」ということを意味するのだが、望遠側にシフトするほどレンズが取り込める光量は減少するため、暗所では利便性が低下し、ボケの大きさも小さくなる。
ちなみに、先述したM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROのように、稀にズーミングしても開放F値が変化しないレンズも存在する。これらのレンズは高価だが、使用する焦点距離に関わらず一定の光量が確保できるため、暗所でもクオリティの高い写真が撮影でき、大きなボケ味も期待できる。
大口径レンズ
開放F値が小さめに設計されているレンズのことを大口径レンズと呼ぶ。F値にかなり余裕があるので、暗所撮影やボケ撮影が難なくこなせることはもちろん、被写体の動きを完全に写し止めるのに必須となる高速シャッターが使用できるので動物や鉄道などの撮影でも重宝する。
レンズの種類に応じて「大口径」の冠が付く条件は微妙に異なる。しかし、ズームレンズの場合は開放F2.8通しのものを、単焦点レンズの場合は開放F2以下のものを目安として見ていけばいいだろう。
最短撮影距離
最短撮影距離とは、イメージセンサーを基点として、ピント合わせのために最低限確保しておく必要のある被写体との間合いのこと。この間合いよりも内側では、どうやっても狙った被写体にピントが合わせられなくなってしまうので注意が必要だ。
最短撮影距離が短いレンズは「寄れるレンズ」とも言われるが、被写体との間合いを縮めても合焦状態を維持しながら撮影できるので、構図選択のバリエーションが増やせる。逆に、最短撮影距離が長いレンズだとピント合わせに必要な間合いが大きくなるため、被写体に大きく接近することができず、撮影できる構図のバリエーションも限られてしまうのだ。
ちなみに、「寄れるレンズ」の目安としては次の通り。広角レンズの場合は最短撮影距離が25cm以下のもの、標準レンズの場合は30cm以下のもの、望遠レンズの場合は50cm以下のものがおすすめだ。
ワーキングディスタンス
ワーキングディスタンスも最短撮影距離と同様、ピント合わせのために最低限確保しておく必要のある被写体との間合いを示している。異なるのは基点となる位置で、ワーキングディスタンスではレンズの先端部から被写体までの距離が測られる。
このワーキングディスタンスは、花に止まる昆虫の撮影などある程度の間合いを取る必要のある撮影で主に使われる。レンズの先端からどのくらいの距離にピントが合うかが事前に分かっていれば、被写体を狙う際にピントを合わせるために過剰に接近する必要がなくなる。結果的に被写体を逃さず撮り収めることができるようになるのだ。
最大撮影倍率
最大撮影倍率とは、最短撮影距離まで近付いて撮影した際のイメージセンサーに写された像の大きさと実際の被写体の大きさの比率のこと。レンズが持つ近接撮影性能の高さを示す目安としても使われている。
最大撮影倍率は「0.25倍」や「1:4」というように表記される。「1.0倍」(または「1:1」)だと、1cm四方の被写体を接写した場合、イメージセンサー上にも1cm四方の像として写し出される。最大撮影倍率が半分となる「0.5倍」(または「1:2」)では、イメージセンサー上には0.5cm四方の像が写し出される。
つまり、最大撮影倍率の数値が大きくなるほどイメージセンサー上に被写体を大きく写し出せるので、花や小物などの接写を行う際に迫力のある画像が撮影できるというわけだ。そのため、フラワーフォトやテーブルフォトの撮影で画面に対してなるべく被写体を大きく写したい場合は最大撮影倍率が大きなレンズを選ぶといいだろう。
ちなみに、最大撮影倍率が1.0倍以上のレンズをマクロレンズ、0.5倍以上のレンズをハーフマクロレンズと呼ぶ。 ただし、一般的なレンズの場合は最大撮影倍率が0.3倍以上あれば接写撮影で不便さはあまり感じないので、基本的には0.3倍以上を目安にするといいだろう。
補足だが、マイクロミラーレスが採用しているフォーサーズセンサーはフルサイズセンサーよりも接写に強いと言われている。これは、フォーサーズセンサーはフルサイズセンサーに比べて4倍近くも小さいため、同じ大きさの被写体を同じ最大撮影倍率のレンズで接写すると、その分被写体が画面一杯まで大きく写し出されることが理由だ。参考に覚えておくといいだろう。
手ぶれ補正機構の有無
手ぶれとは、腕や体の微細な振動がカメラに伝わり、撮影時にそれらが画像に反映されることで画像が不鮮明になってしまう現象のことだ。初心者が失敗写真を量産してしまう主な原因の1つとなっている。
最近のミラーレスカメラには、イメージセンサーを手ぶれが起こる方向とは逆の方向に動かして相殺することで手ぶれを抑えるボディ内手ぶれ補正機構を搭載している機種が多く、初心者でも簡単に手ぶれのない鮮明な写真が撮れるようになっている。
しかし、このボディ内手ぶれ補正機構は望遠側の焦点距離になるほど補正効果が反映されにくくなる特性があるのが難点。だが、手ぶれ補正機構が搭載された交換レンズをボディ内手ぶれ補正機構と併用すれば、相乗効果によって手ぶれの補正効果がさらに向上するので、400mmを超える超望遠域の撮影でも手ぶれを抑えつつ安定したフレーミングで撮影できるようになる。
2019年6月現在、オリンパス純正のマイクロフォーサーズ用交換レンズには手ぶれ補正機構を内蔵したレンズは2本と少ない。しかし、旅先でより確実に手ぶれを抑えて撮影したい場合や超望遠域を使って野鳥や飛行機などの撮影を楽しみたい場合は、レンズ内手ぶれ補正機構を搭載した交換レンズを選ぶといいだろう。
電動ズーム機構の有無
電動ズームとはズーム操作をレバーで行えるズーム機構のこと。コンパクトカメラと同じような操作で簡単にズーミングできるので、コンパクトカメラからミラーレスカメラへステップアップを考えている初心者にもとっつきやすいのが特徴だ。
また、レンズのズーム機構に電動ズームが搭載されていれば、レバーを倒すだけで一定の速度のズーミングが簡単にできるのもポイント。ズーミングの速度を変更できる電動ズームもあり、動画撮影など一定の速度で滑らかにズーム操作をする必要のある撮影で重宝する。
ちなみにオリンパスでは、レンズ名に「EZ」と含まれているものが電動ズーム機構を搭載するものとなっている。
グレード
グレードとは、レンズを製造しているメーカーの中でそのレンズが位置付けられているランクのこと。各社によってグレードの分け方は異なるが、概ねレンズの高級感や性能に応じて2〜4種類に分けられており、グレードごとに独自のブランドが付けられていることが多い。
例えばオリンパスでは、マイクロフォーサーズ用の交換レンズは3種類のグレードに分類されている。標準的な画質と性能を持ったコスパの高い「M.ZUIKO」、小型軽量で高画質な単焦点レンズシリーズの「M.ZUIKO PREMIUM」、そして最高画質と強力な耐候性を備えたプロフェッショナル向けの「M.ZUIKO PRO」の3つだ。
なお、オリンパスでは「M.ZUIKO PRO」グレードのレンズにのみ、レンズの名称にグレードを示す「PRO」の銘が入っている。
上位グレードのレンズになるほど価格は高くなるが、それに比例して画質や機能性も上がっていく。グレードを目安として、予算や目的に応じて自分が必要とするレンズを選ぶのがいいだろう。
旅行には高倍率ズームと単焦点レンズのコンビがおすすめ!
ここまで見てきたように交換レンズには様々な種類がある。マイクロミラーレス用にはサードパーティ製も含めると70種類以上の交換レンズが用意されており、それぞれ得意とする被写体やシーンも異なるので、これらの中から旅行に最適なレンズを選ぶのは初心者の方にとっては至難の業だろう。
だが、心配は無用。結論から伝えると、旅写真の撮影には高倍率ズームと単焦点レンズの組み合わせが最もおすすめだ。まずは、それぞれどんなレンズなのかを簡単に見ていこう。
高倍率ズームとは?
高倍率ズームとはズーム倍率が5倍以上あるズームレンズのことだ。高倍率ズームはレンズ1本だけでダブルズーム2本分以上の焦点距離をカバーできるのがポイント。広角から望遠まで幅広い焦点距離をレンズ1本だけで使えるので、旅先で出会うあらゆる被写体やシーンに柔軟に対応できる。
例えば、広角側の焦点距離で街角のスナップ撮影をしている際に遠くで珍しい鳥を見かけたような場合でも、高倍率ズームならば望遠レンズにレンズ交換をすることなく目的の被写体を大きく引き寄せて撮影できる。ダブルズームの場合は被写体ごとにレンズを交換しなければいけないので、その間にシャッターチャンスを逃してしまう恐れがある。
また、レンズ交換時はイメージセンサーが露出するのでゴミやホコリが侵入しやすくなるというリスクがある。それらがイメージセンサーに付着すると画像にはその部分が影として写ってしまうので厄介だ。しかし、高倍率ズームを使用する場合はレンズ交換の頻度が減るので、必然的にゴミやホコリが侵入するリスクも減少する。
ここまで見ると高倍率ズームは万能レンズのように思うかもしれないが、弱点もちゃんと存在する。幅広い焦点距離は使えるが、望遠側にズーミングするほど開放F値が大きくなるので、多くの光量を必要とする暗所での撮影や高速なシャッター速度が必要な動体撮影はやや苦手なのだ。
ただ、全体的に考えれば、高倍率ズームはとても使い勝手の良いレンズだ。当メディアで以前紹介したオリンパスのOM-D E-M5 Mark IIにもキットレンズとして高倍率ズームが同梱されている。
単焦点レンズとは?
単焦点レンズとは1種類の焦点距離のみに対応するレンズのこと。ズームレンズはズームリングを回すことで焦点距離を自由に変更できるのが特徴だが、逆に単焦点レンズはズーム機能が搭載されていないため複数の焦点距離を使用することができない。
一見不便なレンズと思うかもしれないが、単焦点レンズにはズームレンズにはないメリットがある。それは、圧倒的に低い開放F値だ。ズームレンズの場合は一般的なもので開放F値がF3.5から、高級レンズの場合でもF2.8からスタートする。対して、単焦点レンズは開放F値がF2.0以下のものが一般的で、中にはF1.2やF0.95など別次元の明るさを持つレンズも存在する。
つまり、単焦点レンズはズーミングができない代わりに圧倒的に低い開放F値によって、綺麗な夜景の写真や大きなボケ味の写真、高速に動く乗り物や動物の写真などを有利に撮影できる特別なレンズなのだ。ちなみに、英語圏では単焦点レンズのことをPrime Lens(とっておきのレンズ)と呼んでいる。
繰り返すが、単焦点レンズではズーム操作が一切できない。しかしズームに頼れない分、自分のイメージに近い構図を探すために自分のフットワークを生かして動く習慣ができるので、結果的にズームレンズだけを使用するよりも飛躍的に写真撮影のスキルを上達させられるのだ。
また、単焦点レンズはズームレンズと比べてとても小型軽量でかさばらないなのもポイント。持ち運びが苦にならないので、ズームレンズと組み合わせたり、異なる焦点距離を持つ単焦点レンズを複数本携帯して使う用途にも向いている。
高倍率ズームから広げる旅写真ライフ
旅写真の撮影では高倍率ズームを最初のレンズとして始めるのがおすすめ。レンズ1本だけで広角から望遠までシームレスに使えるので、どんな被写体やシーンがやってきてもレンズ交換することなく即座に対応できる。貴重なシャッターチャンスを逃すリスクも小さいので、初心者がミラーレスカメラでの写真撮影に慣れるのにも最適だ。まずはこの高倍率ズームを徹底的に使い倒してみよう。
そうしている内に、自分が好む焦点距離や、旅先で特に興味を持つ被写体のジャンルが見えてくる。次のステップとして、その被写体を撮影するのに最適な焦点距離を持つ単焦点レンズを追加して表現の幅を広げていくのがいいだろう。
例えば、旅先でスナップ撮影をさらに深く楽しみたいと思った場合は25mmの単焦点レンズ。広大な風景や星空をよりダイナミックに撮りたいと思った場合は12mm以下の単焦点レンズ。自然公園などで花や昆虫の接写を楽しみたいと思った場合はマクロ機能を備えた60mm以上の単焦点レンズ、というような形だ。
高倍率ズームがカバーしているのと同じ焦点距離を持つ単焦点レンズであっても所有しておくといざという時に役立つ。単焦点レンズの方が高倍率ズームよりもずっと高画質に撮影でき、また開放F値に余裕がある分使用できる写真表現の幅も広くなるからだ。
僕は旅先ではとりあえず高倍率ズームで撮影を楽しんで、ここぞという時はとっておきの秘密兵器として大口径の単焦点レンズに換装して画質や表現を追い込んでいくという撮影スタイルを採っている。
この撮影スタイルであれば、高倍率ズームと単焦点レンズ両方の長所を生かして、隙なく旅写真の撮影をとことん満喫することができる。ぜひ参考にしていただくといいだろう。
おすすめの高倍率ズーム
まずは、最初の1本としておすすめな高倍率ズームを紹介していく。1本だけで広角から望遠まで幅広い焦点距離をカバーできるのが魅力だ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II
- 幅広い被写体やシーンに対応できる10.7倍の高倍率ズーム
- 望遠端でも33cmまで寄れる優れた近接撮影性能
- 悪天候をものともしない防塵・防滴性能
広角端14mmから望遠端150mm (35mm判換算:28-300mm)までカバーする小型軽量な高倍率ズームレンズ。わずか285gと軽量にも関わらず、風景から街中でのスナップ撮影、さらには中距離以上のポートレートや猫の撮影も1本だけで幅広くこなせるので利便性がとても高いのが特徴だ。
近接撮影性能が高いのもポイント。望遠端150mmでもワーキングディスタンスが33cmと短く、最大撮影倍率も0.22倍あるので、簡易マクロレンズとして花や昆虫の接写も楽しめる。
優れた防塵・防滴性能を備えているのもポイント。鏡筒内の各所に密封シーリングが施されており、激しい豪雨や砂埃が舞う中でも故障を恐れず撮影に没頭できる。(ただし、温度差で生じる結露には注意!)
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
- 圧倒的なズーム比を誇る16.6倍の超高倍率ズーム
- 広角端で10cmまで寄れる驚異の近接撮影性能
- ピント位置を変えても画角変動が少ない
- 悪天候をものともしない防塵・防滴性能
「隠れPROレンズ」とも評される高画質な防塵・防滴仕様の超高倍率ズームレンズ。ミラーレスカメラ用の交換レンズの中で最高倍率となる16.6倍ズームを搭載しており、広角端12mmから望遠端200mm(35mm判換算:24-400mm)までを1本だけでカバーできる。風景や街並みをよりダイナミックに撮影できることに加えて、野生動物や野鳥の撮影にも挑戦できるポテンシャルの高さを持っている。
近接撮影性能も優秀。ワーキングデイスタンスが広角端で10cm、望遠端で50cmとかなり短めに設計されている。最短撮影倍率も望遠側では0.23倍あるので、簡易マクロとしても活用できる。
ピント位置を変えても画角変動が少ないのも特徴。通常のレンズはピント位置を変更すると写る範囲が若干変わってしまうのが難点だが、本レンズはその影響がほとんどないので、動画の撮影でピント位置を変更しながら記録する際などに重宝する。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ
- 3段階の変速が可能な電動ズーム
- あると重宝する簡易マクロ機能
- 悪天候をものともしない防塵・防滴性能
- 破格のコストパフォーマンス
多彩な便利機能を備えたコストパフォーマンスの高い電動中倍率ズームレンズ。高倍率ズームの条件である5倍のズーム倍率には今一つ届かないが、焦点距離は広角端12mmから望遠端50mmまで(35mm判換算:24-100mm)で、広角から中望遠までカバーしており使い勝手に優れているのが魅力だ。
本レンズは電動ズームを採用しているのがポイント。レバーを倒すと一定の速度でズーミングが可能なため、動画撮影など自然で滑らかなズーム操作が必要な時に重宝する。また、カメラ内のメニューで設定する必要があるが、電動ズームは3段階の変速にも対応しているので、目的に応じて好みのズーム速度にカスタマイズできる。
簡易マクロ機能を搭載しているのもポイント。焦点距離は43mmに固定されるが、レンズ鏡筒のスイッチとズームリングを操作してマクロモードに変換すると最大撮影倍率が0.36倍にまで拡大されるので、被写体をより大きく写したいときに便利だ。また、防塵・防滴機構も備えているので急な悪天候に見舞われても撮影を継続できる。
おすすめの単焦点レンズ
続いて紹介するのは単焦点レンズ。ズーム操作はできないが、ズームレンズを大きく凌駕する高画質と豊かなボケ味を楽しめるのが魅力だ。
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8
- 最初の単焦点レンズにおすすめ!
- 汎用性の高い標準画角
- 開放F1.8がもたらす高画質
- 気軽に購入できるサービス価格
入門用の単焦点レンズとしても最適な汎用性の高いPREMIUMグレードの大口径標準単焦点レンズ。 25mm (35mm判換算:50mm)の画角は人間が対象物を軽く見つめたときに近い視野と自然な遠近感で撮影できるため古くから「標準レンズ」として愛されてきた。また、被写体から距離を置けば広角的に表現でき、逆に寄れば望遠的にも表現できることから、幅広いシーンの撮影に活用できるのも人気の理由だ。
開放F値がF1.8と明るいのもポイント。暗所での撮影に強いので旅先での夜景やナイトスナップ撮影にも最適だ。また、大きく綺麗なボケ味が得られる点と最短撮影距離が25cmと短い点も魅力で、親しい人のポートレートや料理、小物など、幅広いシーンで活躍できる。
高画質な大口径レンズにも関わらず、実売で3万円台という低価格で購入できるのもポイント。価格面でのハードルがとても低く手軽に入手できるので、初心者が単焦点レンズの魅力を体感するのにもおすすめだ。
M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
- 最初の単焦点レンズにおすすめ!
- 漠然と片目で眺めた範囲が切り取れる準広角
- 開放F1.8がもたらす高画質
- スナップショットフォーカス機構
- 高級感溢れるデザインの金属鏡筒とフード
スナップ撮影で無類の強さを発揮するPREMIUMグレードの大口径準広角単焦点レンズ。漠然と片目で眺めているときの視野に近い34mm (35mm判換算)の画角が得られるのが特徴で、街中の散策時などはこちらの方が感覚的にしっくりくる場合が多いことから「もう1つの標準レンズ」とも呼ばれている。25mmの標準レンズでは画角に少し窮屈さを感じる方にもおすすめだ。
開放F値がF1.8と明るいのもポイント。暗所での撮影に強いので旅先での夜景やナイトスナップ撮影にも最適だ。また、背景を広く取り込んだ人物のポートレート撮影にもおすすめで、背景も適度にボカせるので旅先で印象的な記念写真が楽しめる。さらに、最短撮影距離も25cmと短いので、テーブル上に置いた料理や雑貨の全体像を写す場面でも役立ってくれる。
独自機構のスナップショットフォーカス機構を搭載しているのもポイント。これはピント位置を指定してレンズのフォーカスリングをカメラ側に引くだけで、狙った位置を基点にパンフォーカスが瞬時に取れるという機能だ。街角のスナップ撮影などで通常のAFモードからスムーズにパンフォーカスへ移行したいときなどに重宝する。
高級感溢れるデザインの金属鏡筒とフードも魅力。別売で用意されている円型の金属フードをレンズに装着したときの一体感が何とも美しい。触れたときの「ヒヤッ」とする金属特有の質感も撮影を盛り上げてくれること間違いなしだ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
- 超広角の入り口となるダイナミックな画角
- 夜景撮影で本領を発揮するF2.0の開放F値
- スナップショットフォーカス機構
- 高級感溢れるデザインの金属鏡筒とフード
風景や夜景をダイナミックに切り撮るのに最適なPREMIUMグレードの大口径広角単焦点レンズ。超広角の入り口となる12mm(35mm判換算:24mm)の焦点距離が得られるので、広大な画角で風景を丸ごと写せるのが特徴だ。遠近感は超広角レンズほど誇張されず、現実にギリギリ近い遠近感を保ちつつ写せるので、初心者でもそれほど違和感なく使いこなせる。
広角レンズとしては明るいF2.0の開放F値もポイント。OM-Dシリーズの強力な手ぶれ補正機構と組み合わせれば、夜景やナイトスナップも手持ちで楽しめるポテンシャルを持っている。また、広角レンズは標準や望遠のレンズに比べてボケにくい性質があるが、本レンズでは豊かなボケ味を楽しめるのも魅力だ。
独自機構のスナップショットフォーカス機構を搭載しているのもポイント。前述のM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8と比較して、鏡筒の被写界深度目盛りが少し広めに彫られているので、パンフォーカスを狙うための設定がより操作しやすくなっている。
高級感溢れるデザインの金属鏡筒とフードも魅力。特におすすめなのが別売りの角型金属フードだ。やや高価な品ではあるのだが、装着するとカメラとレンズの佇まいが戦闘モードに変貌するので写欲がふつふつと湧いてくる。
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8
- スナップポートレートに最適な望遠の焦点距離
- 最高クラスと評される極上のボケ味
- 高級感溢れるデザインの金属鏡筒とフード
最高クラスの描写性能を誇るPREMIUMグレードの大口径望遠単焦点レンズ。望遠の入り口となる75mm(35mm判換算:150mm)の画角が得られるのがポイントで、この画角は自然の草花やポートレートの撮影で多用される。また、自分の存在感を隠しつつ少し離れた場所にいる人物を撮影する際にも絶大なので、スナップポートレートの撮影でも重宝する。
F1.8の明るい開放F値もポイント。綺麗な形の大きなボケ味が得られるので、夜景を背景にしたポートレート撮影にも向いている。ちなみに、本レンズはオリンパスが一眼レフ時代に発売した最上位グレードレンズに匹敵する描写性能があると絶賛されている。
デザイン性の高い金属製の鏡筒とフードもポイント。M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0やM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8と同様、高い質感のデザインを楽しめるので、本レンズをカメラに装着するだけで撮影のテンションも上がってくるだろう。
M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro
- テーブルフォトで扱いやすい標準の焦点距離
- 実物よりも大きく写せる驚異のマクロ撮影機能
- 気軽に購入できるサービス価格
テーブル上に置いた料理や花、小物の撮影に最適なPREMIUMグレードの標準マクロ単焦点レンズ。マクロレンズというと扱いがやや難しいイメージがあるが、本レンズは30mm(35mm判換算:60mm)という標準画角に近い焦点距離が得られるので初心者にも使いやすいのが特徴だ。
マクロレンズの中で最高レベルとなる1.25倍(35mm判換算:2.5倍)の最大撮影倍率を持つのもポイント。被写体を画像に実物よりも大きく写せるので、肉眼では捉えられないマクロの世界をより大迫力に楽しめる。最短撮影距離もわずか9.5cmなので、テーブルフォトでは引きも寄りもスムーズにこなせる。
コストパフォーマンスの高さもポイント。最高レベルのマクロ撮影機能を搭載しているにも関わらず、実売で3万円を切る低価格で入手できるので、入門用のマクロレンズとしてもおすすめだ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
- 自然の草花・昆虫の撮影に重宝する中望遠の焦点距離
- 本格的なマクロ撮影が楽しめる等倍の最大撮影倍率
- フォーカスリミット機能付き
- 悪天候をものともしない防塵・防滴性能
ネイチャーフォトの撮影に最適なPREMIUMグレードの中望遠マクロ単焦点レンズ。60mm(35mm判換算:120mm)の画角が得られるのがポイントで、花に止まる昆虫などを狙う際も、適度な間合いを維持しながらも遠近感の圧縮効果によって大きく撮影できる。
最大撮影倍率は等倍(35mm判換算:2倍)。画像には被写体を実物と同じ大きさに写し出せるため、接近すれば迫力のあるマクロ写真が撮影できる。最短撮影距離も19cmと短いので、レンズの先端部すれすれまで接近できるのもポイントだ。
フォーカスリミットスイッチが搭載されているのもポイント。スイッチを任意の位置に合わせることでAFが駆動する距離の範囲を制限できるので、範囲外にピントが迷ってしまう動作を防げる。これにより、近接距離にいる昆虫だけにピントを合わせたいときなど、タイムロスのない効率的なAF操作が可能となっている。
BCL-0980 (9mm F8.0 Fisheye)
- 魚眼のデフォルメ効果が手軽に楽しめる
- おもちゃとしては侮れない高画質
- 気軽に購入できるサービス価格
魚眼のデフォルメ効果が手軽に楽しめる廉価な対角魚眼単焦点レンズ。本レンズはカメラのマウント部を保護するボディキャップに対角線画角140°の簡易魚眼レンズを埋め込んだもので、魚の眼で覗いたように周囲の景色を大きく歪曲して広く撮り込めるのが特徴だ。
撮影できる画像のクオリティはおもちゃとは思えないほど高い。ただし、F値がF8固定なため、暗所での手持ち撮影にはあまり向かないのが難点だが、明るい日中のスナップ撮影であれば十分すぎる画質の写真が期待できる。
魚眼レンズはそれほど使用頻度が高いレンズではないため、初めから何万円も投資するのは億劫かもしれない。しかし、本レンズの価格は実売で約9000円とお小遣いでも買えるので、入門用の魚眼レンズとしてもおすすめだ。
LAOWA 7.5mm F2 MFT
- 肉眼を超えた迫力が味わえる超広角の焦点距離
- F2.0の開放F値と周辺部まで安定した画質
- 持ち運びが簡単な小型軽量ボディ
リーズナブルな価格で超広角撮影が楽しめる大口径超広角単焦点レンズ。マイクロフォーサーズ用で非魚眼の単焦点レンズの中で最広角となる超広角7.5mm(35mm判換算:15mm)の焦点距離が使用できるのがポイント。圧倒的に広い画角と遠近感の誇張効果で、旅先で出会う風景も街並みも肉眼を超えた迫力で楽しめる。
F2.0の明るい開放F値もポイント。多くの光を取り込める大口径レンズなので、風景はもちろん、夜景の写真も十分な明るさを確保しつつ高画質に撮影できる。また、画像周辺部まで安定した画質で、点が点としてしっかり写るので星景の撮影にも最適だ。
金属製の鏡筒にも関わらず重量がわずか170gと軽量なのもポイント。コンパクトなので持ち運びが苦にならないのはもちろん、ドローンに搭載して空撮にも使用できる。
注意点として、本レンズは電子接点は非搭載のためピント合わせはMFとなる。しかし、フォーカスピーキングなどカメラの合焦支援機能を使えば難なくクリアできる。カメラにレンズの焦点距離を登録すれば絞り優先AEや手ぶれ補正機能も使えるので、初心者でも取り扱いに苦戦することはないだろう。
SAMYANG 7.5mm F3.5 FISH-EYE
- 本格的な魚眼効果が存分に楽しめる
- ドローンにも搭載できる小型軽量設計
- F3.5のやや明るめの開放F値
- リーズナブルな価格
本格的なデフォルメ効果を味わえる対角魚眼単焦点レンズ。対角画角180°という肉眼ではあり得ない画角で周囲の風景を丸ごと切り取れる。魚眼特有の歪曲効果も画像にしっかりと反映されるので、非現実な光景の撮影を楽しむのに最適だ。
重量はわずか約197gと非常に軽いのも特徴。他にもマイクロフォーサーズに対応したサードパーティー製の魚眼レンズは存在するが、どれも元はAPS-C用に設計された商品であるため250〜300gほどの重さがある。しかし、本レンズはマイクロフォーサーズ専用設計のため小型・軽量なので、軽快にスナップ撮影を楽しむのはもちろん、ドローンに搭載して空撮にも活用できる。
本レンズは先述のBCL-0980と違ってF値の制約がなく、開放F値がF3.5とやや明るめなのもポイント。日中の撮影はもちろん、カメラで焦点距離を登録して手ぶれ補正機能をONにすれば、夜景やナイトスナップの撮影も手持ちで存分に楽しめる。
約2万8000円という低価格で入手できるのも魅力。通常魚眼レンズはカメラメーカーの純正品だと安いものでも5万円以上はする。しかし、本レンズはその半分以下の価格で購入できるので、本格的な魚眼撮影を気軽に始めたい方にもおすすめだ。
番外編:上級者におすすめの旅レンズ
ここでは番外編として、OM-D E-M1 Mark IIを愛用する上級者向けの旅レンズを紹介していく。これまで紹介してきた交換レンズに比べると高価だが、画質・機能性・機動性全ての面で高い性能を持っているので、旅写真の撮影もワンランク上のクオリティが狙えるだろう。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
- 全域で開放F4通しの8.3倍ズーム
- ワーキングディスタンス1.5cmの優れた近接撮影性能
- 最高6.5段分の補正効果を持つ5軸シンクロ手ぶれ補正に対応
- マニュアルフォーカスクラッチ機構とFnボタン
- 悪天候をものともしない防塵・防滴・耐低温性能
マイクロフォーサーズ規格で最強となるPROグレードの大口径高倍率ズームレンズ。561gの小型軽量ボディに広角端12mmから望遠端100mm(35mm判換算:24-200mm)の幅広い焦点距離をカバーする8.3倍の高倍率ズームを搭載しながらも、ズーム全域で開放F4通しを実現しているのがポイント。本レンズ1本だけで旅先で出会うありとあらゆる被写体やシーンに対応が可能だ。
近接撮影性能も優秀。ワーキングディスタンスは広角端でわずか1.5cm、望遠端でも27cmと極めて短い。また、最大撮影倍率も広角端0.3倍、望遠端0.21倍を確保しているので、簡易マクロレンズとしても十分に活用できる。
本レンズにはレンズ内に手ぶれ補正機構が搭載されているのもポイント。カメラ側の手ぶれ補正機構と連動して働く「5軸シンクロ手ぶれ補正」にも対応するので、OM-D E-M1 Mark IIと組み合わせれば最高6.5段分の補正効果を叩き出す。1秒を超える超低速シャッターも手持ちで手ぶれなしに撮り切れるので、夜の車の光跡や滝の流れを絹のように滑らかに写す表現も難なく楽しめる。
マニュアルフォーカスクラッチ機構の採用によりMFへの変更が簡単なのもポイント。フォーカスリングを手前に引くだけで即座にAFからMFへの移行がワンタッチでできる。AFで大まかにピントを合わせた後の微調整や置きピンによるピント位置の固定などに重宝する。また、任意の機能を割り当てられるファンクションボタンも搭載されている。
ちなみに、本レンズを含む、オリンパスのPROグレードのレンズは全て優れた防塵・防滴・耐低温性能を持っている。撮影環境を選ばないので、撮影にとことん没頭したい方におすすめだ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
- 汎用性の高い標準画角
- 開放F1.2がもたらす美しくにじむボケ
- マニュアルフォーカスクラッチ機構とFnボタン
- 悪天候をものともしない防塵・防滴・耐低温性能
究極の描写性能を堪能できるPROグレードの超大口径標準単焦点レンズ。対象物を軽く見つめたときの視野と自然な遠近感で撮影できる25mm(35mm判換算:50mm)の画角で撮影できるため、様々な被写体やシーンに対応できる汎用性の高さが魅力だ。
F1.2という極めて明るい開放F値が使えるのもポイント。マイクロフォーサーズはボケにくいと揶揄されることもあるが、本レンズはフルサイズに匹敵する大きなボケ味が得られる。また、ピント面から外れるにかけてとろけるように美しくにじむボケが味わえるので、ポートレートや花の撮影などで被写体の立体感をさらに強調できるのも魅力だ。
本レンズにもPROグレードレンズではおなじみのマニュアルフォーカスクラッチ機構と防塵・防滴・耐低温機構が搭載されている。また、レンズ鏡筒の側面には任意の機能を割り当てられるファンクションボタンも設置されているので、操作性に優れているのもポイントだ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
- 漠然と片目で眺めた範囲が切り取れる準広角
- 開放F1.2がもたらす美しくにじむボケ
- マニュアルフォーカスクラッチ機構とFnボタン
- 悪天候をものともしない防塵・防滴・耐低温性能
究極の描写性能を堪能できるPROグレードの超大口径準広角単焦点レンズ。風景を漠然と片目で見渡したときに近い範囲が撮影できる17mm(35mm判換算:34mm)の画角で撮影できる。1本で風景からスナップ、ポートレート、料理、花まで多彩なジャンルの撮影に対応できるので、使い勝手の優れた最高画質のレンズを探している方にもおすすめだ。
F1.2という極めて明るい開放F値が使えるのも特徴。暗いシーンでも十分過ぎるほどの光量を確保できるので、夜景やナイトスナップの撮影でも大活躍してくれる。また、同時開発された兄弟レンズであるM.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROと同じ設計思想で作られていることもあり、被写体を立体的に演出できる心地よいボケ味が得られるのも魅力。最短撮影距離も20cmと短いので、テーブルフォトや自然の草花の撮影で活用しているプロも多い。
本レンズにもマニュアルフォーカスクラッチ機構と防塵・防滴・耐低温機構が搭載されている。また、レンズ鏡筒の側面には任意の機能を割り当てられるファンクションボタンも設置されているので、操作性に優れているのもポイントだ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
- 肉眼を遥かに超えた対角180°の撮影画角
- 魚眼レンズとしては世界最大口径の開放F1.8
- ワーキングディスタンス2.5cmの優れた近接撮影性能
- 周辺部でも星を点像で描写できる比類ない光学性能
- カメラ側の設定で通常の超広角レンズとしても使用可能
新しい表現領域を切り開くPROグレードの大口径対角魚眼単焦点レンズ。本レンズはフルスペックの対角魚眼レンズのため、肉眼を遥かに超えた180°の対角線画角で撮影できるのがポイント。風景も夜景もより広い範囲をダイナミックに切り取れる。
開放F値は魚眼レンズとしては世界最大口径となるF1.8。通常は超広角域に進むほどボケにくい性質があるのだが、本レンズは超広角の魚眼レンズでありながら背景を大きくボカすことが可能。また、明るい開放F値を生かして夜景やナイトスナップも手持ちで楽しめる。
近接撮影性能も優秀。ワーキングディスタンスが2.5cmと極めて短いので、寸前までレンズを接近させて花や昆虫などの被写体を大きく写せる。また、明るい開放F値を駆使すれば、魚眼のデフォルメ効果を適用しつつ被写体の背景をボカした作品も楽しめる。
点像の復元性が高いのもポイント。星景写真の撮影では星を点像として写し出すことが求められるが、本レンズは画面の周辺部でも点を点として描ける高い描写力を持っている。星景撮影用のキラーレンズとして重宝するだろう。
ちなみに、OM-D E-M1 Mark IIの「フィッシュアイ補正撮影」機能を使えば、本レンズを魚眼効果を抑えた通常の超広角レンズとしても活用が可能だ。焦点距離は5.5mm、7mm、9mmの3段階から選べるので、超広角レンズを3本持ち歩いているのと同じような感覚で撮影が楽しめる。
レンズ沼に陥らないために大事なこと
これまで様々な種類の交換レンズを紹介してきた。ここで最後の締めくくりとして、大事なことをお伝えしておこう。
忘れないでほしい。高級な交換レンズを入手したからといって、写真の技術は必ずしも上達するものではないということを。
冒頭でお伝えしたように、その被写体やシーンに苦手な交換レンズを使用しているとイメージ通りの写真を撮るのにひどく苦戦することになる。それは確かに真実ではあるのだが、だからといってその被写体やシーンを得意とする新しい交換レンズを入手すれば全てが解決するかというと、そういうことでは決してない。
交換レンズはただ入手するだけでは意味がないのだ。交換レンズは実践で何度も何度も繰り返し撮影に使って熟練度を上げることで、初めてその本領を発揮できるようになる。
重要なことは、交換レンズを次々と闇雲に増やすことではなく、新しく入手するものも含めて手持ちのレンズの性能をしっかりと熟知し、自分の手足のように使いこなせるようになること。
なので、新しい交換レンズが欲しくなったときは、ひとまず立ち止まって、今持っているレンズでできることがまだ他に残っていないかを考えよう。もしできることがまだ残っているならば、まずは手持ちのレンズでできることは隅々まで熟知したと思えるまで撮影に没頭しよう。
こうすれば1本1本の交換レンズを大事に使っていける。レンズ沼に陥って闇雲に新しいレンズを次々と生やさなくても(増やさなくても)、自分のペースで写真生活を楽しんでいけるだろう。
その上で、写真の表現領域を広げるために新しいレンズがどうしても必要だという結論に至ったのであれば…おめでとう。そのときこそがあなたがそのレンズを買うべきときだ。ぜひそのレンズを入手して、新しい写真表現にどんどんチャレンジしていってほしい。
このサイクルを繰り返している内に、あなたの写真のスキルはみるみると上達していく。旅先での写真撮影でもあなたにしか切り撮れないような傑作が生み出せるようになっているはずだ。
総評
今回はオリンパス純正のレンズを中心に、旅行におすすめなマイクロフォーサーズ用の交換レンズを紹介してきた。
ミラーレスカメラの購入時に付属するキットのダブルズーム以外にも様々な種類の交換レンズが用意されていることがお分かりいただけただろう。
もし気になる交換レンズが1本でも見つけられたならば幸いだ。手頃なものからでも構わないのでぜひとも入手していただいて、ダブルズームでは味わえない写真表現の奥深さを堪能してほしい。
それを繰り返している内に表現のバリエーションが増えてくるので、あなたの旅写真はより印象的な作品となっていくであろう。
これらの交換レンズと共に、あなたがより充実した旅写真ライフを満喫してくれることを願っている。
ただし、レンズ沼に陥らないようにご注意を(笑)。
はじめまして。レンズ選びに迷っていましてコメントいたしました。
使用カメラはOLYMPUS OM-D E-M10 Mark II ダブルズームキット を使用しています。
撮影対象は室内で家具(ダイニングテーブルやチェア)等です。
家具を製作販売の仕事をしています。ホームページ用に写真を撮るのですが、キットレンズではなかなか思うような写真が撮れません。
最適なレンズがありましたら教えていただきたく思います。よろしくお願いします。
初めまして!
ご相談ありがとうございます。
>家具を製作販売の仕事をしています。
ダイニングテーブルやチェアなどの製作をされている職人さんなのですね。
とても素晴らしいです!
>ホームページ用に写真を撮るのですが、キットレンズではなかなか思うような写真が撮れません。
>最適なレンズがありましたら教えていただきたく思います。
キットレンズでは家具の撮影がイメージ通りにできないとのこと、了解いたしました。
ご案内いたしましょう。
まずはですが、現在思い通りに撮れなくて困っていることをもう少し詳しくお聞かせいただければと思います。
例えば、「室内だと暗めに写る」とか、「背景があまりボケなくて雰囲気が出ない」とかです。
家具の撮影では通常、造形をゆがませず忠実に再現する必要があるため、見え方が自然な標準から中望遠にかけてのレンズ(マイクロフォーサーズだと25〜75mm)を使用します。
現在お手持ちのダブルキットズームでも焦点距離の条件は満たしているので、テクニックを駆使すれば十分に対応できます。
例えば、下記のようなテクニックを使います。
・カメラは三脚に置いて構図と水平を一定に保つ
・暗めの室内で撮影する場合は長めのシャッター速度で十分な光量を確保する(三脚推奨)
・家具の全体を写すときは標準レンズで少し引き気味で撮る(広角レンズは厳禁)
・家具の一部を写すときは中望遠レンズで寄り気味に撮る(背景は適度にぼかす)
これらのテクニックを実践するだけでもワンランク上の家具の商品写真は撮影できます。
ただし、ボケ味や明るさなど目的とする表現次第では別のレンズ(本記事でご紹介した単焦点レンズなど)や三脚などの機材が必要になる場合もあります。
そこでよりピンポイントに撮影のお悩みを解決させていただくために、お困りの状況をもう少し詳しくお聞かせいただければと思います。
お待ちしております^^
ご返答ありがとうございます。また、返信遅くなり申し訳ないです。
テクニックご教授ありがとうございます!
手持ちのレンズでも使い方次第ってことですね^_^
困っている点ですが、色合いが綺麗に?思ったように?写せない点が1つと家具の良さがしっかりと伝わるような写真が撮れない点です。雰囲気のある写真が撮れないと言うことかもしれません。
よろしくお願いいたします。
再びのコメント、ありがとうございます。
>手持ちのレンズでも使い方次第ってことですね^_^
まさにその通りです!
まずは今あるレンズを使いこなせるようになるのが上達の秘訣の1つです。
その上で、どうしても必要になったときにこそ新しいレンズを入手するといいでしょう。
>困っている点ですが、色合いが綺麗に?思ったように?写せない点が1つと家具の良さがしっかりと伝わるような写真が撮れない点です。
撮影された画像を拝見しないことには何とも言えないのですが…
家具の撮影ということで、おそらく室内で自然光(太陽の光)を使って撮影されていると思います。
その場合、光が当たらず影になる部分は暗く落ち込んでしまって色がくすんだり暗く写ったりします。
この場合の解決策は、「①補助光の追加」と「②階調補正機能の使用」の2点です。
①に関しては、室内に入射した光を反射させて影になる部分に照らすというテクニックです。
本来はレフ板という機材を使用するのですが、白のシーツやカーテンなどでも代用できます。
ただし、色があるものをレフ板代わりに使用すると反射光を当てた部分が色かぶりしてしまうので、シーツやカーテンは必ず真っ白のものを使用してください。
②に関しては、カメラ内の設定項目の1つで、オリンパス機では「ハイライト/シャドウコントロール」という名称の機能です。
この機能を使えば、明るすぎる部分だけを飛ばないように少し暗めにしたり、暗いすぎる部分だけを潰れないように少し明るめにしたりなどの調整が個別で行えます。
撮影前にこの「シャドウコントロール」で暗部を少し明るめに持ち上げるように設定しておけば、影になる部分も鮮明に写るようになります。
もし明るさを足したことで色が薄く感じるようであれば、「ピクチャーモード(仕上がり設定)」で彩度(鮮やかさ)とコントラスト(明暗差)を少し上げてから撮影すれば色のりが良くなるので、より雰囲気のある写真に仕上げられます。
ただし、彩度とコントラストは上げすぎると不自然な写りになるので、上げるにしても少量で抑えておくのがおすすめです。
また、②に関してはRAW形式で撮影しておけば、パソコンでの現像時により細かな調整ができるのでそちらも合わせて試されてみるといいでしょう。
カメラに付属していたソフトでも一通りのことはできますので。
こんなところでいかがでしょうか?
理想の写真が撮影できるよう応援しています。
ありがとうございます!
まずは手持ちのレンズで教えていただいた事を参考に撮影してみます^_^
一度、撮影した写真を見ていただきアドバイスしていただきたく思いますが可能でしょうか?
こんばんは!
>まずは手持ちのレンズで教えていただいた事を参考に撮影してみます^_^
はい!ぜひ挑戦してみてください。
>一度、撮影した写真を見ていただきアドバイスしていただきたく思いますが可能でしょうか?
光栄です!
僕は家具やインテリアの撮影を生業とする商業カメラマンではないため、商品写真に適したアドバイスができるかは正直疑わしいところです。
しかしながら、露出や光の使い方など基本的なことでよろしければ、可能な範囲でガイドできればと思っています。
もしご希望であれば、下記の記載した僕のTwitterにダイレクトメッセージから画像をお送りくださいませ。
https://twitter.com/alan_d_haller
画像を拝見させていただいた上で改善点や方法などをできるかぎりアドバイスさせていただきますね^^
ありがとうございます!
撮影しましたらご連絡いたします^_^
お待ちしています^^