初心者必見!旅写真の撮影スキル上達におすすめな入門書|厳選6冊+α

おすすめ写真入門書リストの画像 Camera

初心者にとって充実した旅写真ライフの実現には写真撮影の入門書が欠かせない。

思い切ってレンズ交換式のカメラを買ってはみたけど、いざ旅行に出かけても思ったように写真がうまく撮れないということがあるはず。

また、旅先では美しい景色に感動してシャッターを切ってはみたけど、家に帰って画像を見返してみたら、「こんなんだっけ?」と興ざめしてしまったということもあるはず。

そんな初心者の方におすすめなのが写真撮影の入門書だ。カメラの初歩的な扱い方から撮影の基本テクニック、さらには撮影後に行う画像処理のノウハウまで、写真を楽しむために役立つ情報が1冊2000円足らずの本の中にこれでもかと凝縮されている。

こういった入門書をしっかりと読み込んだ上で、書いてあることを1つずつ実践していけば、確実に写真の撮影スキルは上がっていく。旅先での撮影に困ることも、帰宅してから写真の出来に後悔することも少なくなるだろう。

かくいう僕も、10年以上前にカメラを始めたばかりの頃は写真撮影の入門書を何冊も読み漁っていた。今でも面白そうな本や話題の本が出るたびに、レベルに関係なく新しい入門書を購入しては貪欲に読み続けている。これまで累計で100冊以上の入門書は読んできたと思う。

そこで、今回はこれまで僕が読破してきた初心者向けの入門書の中で、撮影スキルの上達に役立つと思った本を厳選して紹介していく。

あなたの旅写真ライフをさらに充実したものにするためにぜひ役立ててほしい。

Alan
初心者向けに厳選した6冊を紹介していく。関連本も含めると合計11冊になるが、どの入門書も僕が初心者の目線で熟読したものの中からこれだと思うものを選んでいるので、カメラを買ったばかりの方やこれから旅写真を本格的に始める方にもきっと役に立つはずだ。とりあえずはここで紹介する6冊の内容をしっかりとマスターすれば、旅写真の基礎は十分に身に付けられる! @alan-d-haller

はじめに:旅写真は写真の総合芸術

本編に入る前にまずは「旅写真」という概念について補足しておこう。

写真には様々なジャンルがある。スナップ、風景、夜景、星景、建築、ポートレート(人物)、鉄道、飛行機、野生動物、野鳥、花、テーブルフォト(物撮り)などだ。

これらのジャンルの中に「旅写真」を含めなかったのには理由がある。それは、「旅写真」は写真の総合芸術とも言える概念を持っているため、「旅写真」という特定のジャンルは存在しないからだ。

風景だろうと、人だろうと、鉄道だろうと、旅先で撮影したものは全て「旅写真」の概念に含まれる。

大半の方は旅先での撮影というと、街角や観光地で出会った素敵なものを思うままにスナップ撮影することが主だと思う。しかし、それだけではないはず。

観光名所では風景や夜景の写真を撮るはずだし、同行する家族や友人または旅先で交流した人のポートレートも撮るはずだ。さらには、鉄道や飛行機を含めた風景や、街中を気ままに歩く猫、自然公園などに生息する野生動物・野鳥などの撮影にもチャレンジしたくなるはず。

つまり、「旅写真」の概念には、スナップ以外にも風景、夜景、ポートレート、鉄道、飛行機、野生動物など様々な写真のジャンルがいくつも含まれているのだ。

ゆえに、「旅写真」の撮影スキルを上達させたいのであれば、スナップや風景、ポートレートなど様々なジャンルの撮影手法を総合的に学んでいくのが最も効果的だ。その観点から考えると、写真撮影の入門書についても、様々なジャンルの撮影手法を総合的に網羅している本を選ぶのがおすすめだ。

そんなわけで、今回は特定のジャンルに縛られず、横断的に様々なジャンルの撮影手法を幅広く学べる本をおすすめしていく。

もちろん個人によって旅の目的や興味のある被写体は異なるだろうが、写真撮影の基礎を習得するという意味でもまずは幅広いジャンルの撮影手法を学んでほしい。異なるジャンルの撮影手法が意外なことに自分の好きなジャンルの撮影で役に立つということもあるので、学んだノウハウは決して無駄にはならない。

「旅写真」という総合芸術の道はとても奥深く険しい。しかし、それだけ多くの楽しみと喜びが待っている。ぜひあなたも様々なジャンルの撮影手法を貪欲に学んで、どんどん旅先で傑作を生み出してほしい。

今すぐ使えるかんたんmini オリンパス OM-D E-M5 Mark II 基本&応用撮影ガイド

最初にご紹介する入門書は、『今すぐ使えるかんたんmini オリンパス OM-D E-M5 Mark II 基本&応用撮影ガイド』だ。

おすすめポイント!
  • カメラの操作方法や機能を一通りマスターできる
  • 取扱説明書よりも解説が分かりやすい
  • ポケットサイズなので取扱説明書の代わりとしても活用できる

当メディアではオリンパスのOM-D E-M5 Mark IIを究極の旅カメラの1つとしておすすめしている。

【2020年版】旅行におすすめな究極のミラーレスカメラ|厳選2機種!

この本ではOM-D E-M5 Mark IIの機能や使い方を初心者でも無理なく一通りマスターできるようになっている。

当たり前の話だが、写真はカメラがなければ撮影できない。そして、どんなに高性能なカメラを所有していたとしても、自分の手足のように思うまま扱えなければイメージ通りの写真は撮れない。

だからと言って、分厚くて分かりにくい取扱説明書を隅から隅まで読むのは大変だし、何より面倒だろう。それはかくいう僕も同じだ(笑)。

取扱説明書はできれば読みたくない。でも、いつでもイメージ通りの写真が撮れるように、自分が所有しているカメラの基本的な操作方法やカメラが持っている撮影機能は一通り知っておきたい。

そんな方におすすめなのが、技術評論社から出版されている『今すぐ使えるかんたんmini 基本&応用撮影ガイド』シリーズだ。

この入門書のシリーズはカメラの機種ごとに発売されているのだが、取扱説明書で解説されている内容を、写真を始めたばかりの初心者でもしっかりと理解できるように易しく噛み砕いて紹介してくれているのが最大の特徴だ。

本の構成はどの機種の『今すぐ使えるかんたんmini 基本&応用撮影ガイド』もほぼ共通しており、『OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II 基本&応用 撮影ガイド』も基本的な内容の前半部分と応用的な内容の後半部分に分かれている。

前半部分はカメラの各部の名称や撮影の仕方、各機能の使い方など、そのカメラを使って撮影を楽しむために必要となる基本的な作法がカラー写真や図を交えつつ丁寧に解説されている。

そして、後半部分はシーンごとの撮影テクニックや各種交換レンズで使える表現のバリエーション、困った時のトラブルシューティングなどの応用的な内容が記載されている。

自分が所有しているカメラの機種に対応した『今すぐ使えるかんたんmini 基本&応用撮影ガイド』を読めばそのカメラの扱い方は一通りマスターできるので、自分のカメラをちゃんと使いこなせるようになりたい方は1冊持っておいて損はないだろう。

なお、『今すぐ使えるかんたんmini 基本&応用撮影ガイド』にはそれぞれの機種で紙の本版と電子書籍版の2種類が用意されている。バッグやスマートフォンの中に入れて常時携帯しておけば、取扱説明書の代わりとしても活用できる。

紙の本版のサイズはB6変形判(漫画の単行本とほぼ同じくらいの大きさ)で、バッグの中にもコンパクトに収納して持ち運べる。電子書籍版ならスマートフォンやタブレットの中に保存できるので、より気軽に持ち運んで操作方法や機能の使い方を確認したいときにいつでも簡単に読めるので、とても重宝するだろう。

旅写真の傑作をモノにするためにはまず自分のカメラをしっかりと使いこなせるようになる必要があるので、カメラを購入したらまずは自分の所有している機種に対応した『今すぐ使えるかんたんmini 基本&応用撮影ガイド』を通読しておくことを強くおすすめする。

関連本:今すぐ使えるかんたんmini オリンパス OM-D E-M1 Mark II 基本&応用撮影ガイド

上記で紹介した記事ではオリンパスのOM-D E-M5 Mark IIと同時に、その上位機種のOM-D E-M1 Mark IIも究極の旅カメラとしておすすめしている。

『今すぐ使えるかんたんmini 基本&応用撮影ガイド』シリーズにはOM-D E-M1 Mark IIに対応する入門書『今すぐ使えるかんたんmini オリンパス OM-D E-M1 Mark II 基本&応用撮影ガイド』もラインアップされているので、所有しているカメラの機種に合わせてお選びいただける。

本書は操作方法や撮影手法のリファレンスとしても使えるので、カメラの操作にある程度慣れた中級者や上級者の方にもおすすめだ。

関連本:今すぐ使えるかんたんmini オリンパス OM-D E-M5 Mark III 基本&応用撮影ガイド

2019年11月にOM-D E-M5 Mark IIの後継機種であるOM-D E-M5 Mark IIIが発売された。僕も以前に下記の記事で旧機種OM-D E-M5 Mark IIと新機種OM-D E-M5 Mark IIIの比較検証を行なっている。

【比較】OM-D E-M5 Mark III爆誕!!!OM-D E-M5 Mark IIとどっちがおすすめ!?注目すべき10のポイント

小型・軽量ボディとフラッグシップ機並みの高速AF性能が魅力のため、中にはOM-D E-M5 Mark IIIの方を選んだという方もいるだろう。

そんな方のために、新機種OM-D E-M5 Mark IIIに対応する『今すぐ使えるかんたんmini オリンパス OM-D E-M5 Mark III 基本&応用撮影ガイド』も発売されている。

書籍の主旨や展開は他のシリーズとほとんど同じなので、もしOM-D E-M5 Mark IIIを購入された場合はこちらのガイド本を入手されると良いだろう。

世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書

次に紹介する入門書は、インプレスから出版されている『世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書』だ。

おすすめポイント!
  • 難しい専門用語やメカニズムはスキップして簡潔に学べる
  • 中井先生直伝の必撮ワザを20種類以上も習得できる
  • 特典に講義映像を収めたDVDまたはダウンロード動画が付属する
Alan
本のタイトルに「一眼レフカメラ」とあるが、ミラーレスカメラでも問題なく学習を進められるのでご心配なく!本書は初版の発売が2010年のロングセラー本だが、当時は一眼レフカメラが主流で、ミラーレスカメラはまだまだマイナーだったのだ。

本書は人気の鉄道写真家:中井精也先生がこれから写真を始める初心者向けに執筆された写真とカメラの入門書だ。「世界一わかりやすい」とタイトルにも入っているように、初心者でも無理なくステップアップして素敵な写真が撮れるようにガイドしてくれている。改訂されつつ9年以上に渡って何度も重版が繰り返されているロングセラーの入門書だ。

ちなみに、中井精也先生は「ゆる鉄」という独自の世界観を持った鉄道のイメージ写真で有名な鉄道写真家だ。中井先生の作品はブログ「鉄道写真家 中井精也の1日1鉄!」で毎日更新されているので、ぜひ一度訪れてみるといいだろう。

鉄道写真家 中井精也の1日1鉄!

写真やカメラについて勉強していると様々な難しい専門用語と遭遇する。また、露出のメカニズムなど、カメラを扱う上では必要不可欠な知識だが、初心者にとってはすぐには把握するのが困難な項目も存在する。

だからと言ってフルオートモードだけで撮影していると、できる写真の表現に限界があるので、イメージ通りの写真がなかなか撮れない。そこで、何とか難しい専門用語を克服しつつも頑張ってカメラや写真について勉強していくのが一般的なのだが…

この入門書では、そういった難しい専門用語やメカニズムの理解はひとまずスキップして、手っ取り早く素敵な写真が撮れるように上達できる方法を解説してくれている。

本書に書かれている手法は写真学校などで学んできた方からすると、ある意味では邪道なのかもしれない(笑)。

しかし、写真やカメラを楽しむ上で最低限知っておくべきことが、初心者にも分かりやすい文章で解説されている。豊富なイラストや作例写真も添えられており、内容をとても飲み込みやすいので、入門書としてはこれ以上親切で分かりやすいものは見当たらないほどよく書かれている傑作だ。

本書の構成は全部で5章から成り立っている。1章は構図について、2章は最低限覚えておくべきカメラの設定の仕方について、3章は光の読み方について解説されている。これら前半部分を読むだけでも、最低限必要な基礎は身に付けられるだろう。

そして、後半部分となる4章と5章では、中井先生が撮影でよく使用されている必撮ワザが20種類以上も分かりやすく解説されている。使用する機能を露出補正・仕上がり設定・ホワイトバランスの3つだけに絞りつつ、シーンに応じて被写体を魅力的に撮影できる秘伝のテクニックを披露してくれているので、全て習得すれば写真の表現力を大幅に向上できるだろう。

また、本書には本の内容を中井先生自ら講義してくれる動画特典のDVD(電子書籍版はダウンロード動画)が付属するのも大きな魅力だ。

中井先生はニコンが主催している一般向け写真学校のNikon Collegeで講師を務められたことでも有名だが、実例を交えつつ丁寧で分かりやすい語り口調で解説してくれるので内容が頭に入りやすい。

おすすめは本書を読む前に講義動画を一通り見ること。その上で本書を読めば、事前に概念が映像として頭に残る状態で復習できるので、内容の理解力をさらに上げられるだろう。

難しいことは一切抜きで、まずは写真表現の楽しさを味わってもらうのが、初心者にとって最初は何よりも重要だ。その役割を担う入門書として本書は最適だ。

関連本:世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書 何をどう撮る?活用編

中井精也先生著の『世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書』には続編が2冊刊行されている。

第2作目となる『世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書 何をどう撮る?活用編』では、前作『世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書』の5章で紹介されていた必撮ワザがさらに深掘りされているのが特徴だ。

必撮ワザの種類を「ゆるく撮る」と「シャープに撮る」の2系統に分けて、それぞれのイメージに合わせた表現を実現するために必要なレシピが豊富に解説されている。本書を読めば、より多くの必撮ワザのレシピが習得できるので、写真表現のバリエーションをさらに広げられるだろう。

関連本:世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書 伝わる写真の撮り方編

そして、完結編でもある第3作目の『世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書 伝わる写真の撮り方編』では、「写真想像力」をテーマに、自分が写真を通して見る相手に伝えたいことが伝わる写真の撮り方について解説している。

写真を見る相手を感動させるためには構図や光などが明瞭で美しいことが基本の条件だが、それ以前の問題としてその写真を通じて伝えたいイメージが定まっていないと、見る相手に自分の感動を正確に伝えることはできない。本当の傑作は相手に自分の感動が自然と伝わるものだが、それも同様だ。

そこで重要となるのが「写真想像力」なのだが、本書を読めばそれをしっかり身に付けられるので、写真の訴求力(伝わる力)が上がって自分のイメージをより確実に見る相手に届けられるようになる。また、「写真想像力」を習得すれば必撮ワザのレシピを自分でも開発できるようになれるので、写真の表現力も大幅にレベルアップできる。

『世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書』シリーズの入り口は広く開かれてはいるが、内容は非常に奥が深い。ぜひ3冊全てを読破してほしい傑作の入門書シリーズだ。

写真のことが全部わかる本

続いて紹介する入門書は、同じくインプレスから出版されている『写真のことが全部わかる本』だ。

おすすめポイント!
  • カメラやレンズの基本的な仕組みをしっかりと学べる
  • 写真に関する幅広い知識を網羅的に学習できる
  • 座学と実践を通して着実に身に付けられる

本書はインプレスが初心者向けに刊行している写真撮影の入門書シリーズ「上達やくそくBOOK」の1冊だが、その中でも高い人気のあるベストセラー本だ。

ちなみに、著者の中原一雄氏は月間25万人以上にも読まれている人気の写真情報サイト「studio9」の主催者としても知られている。写真撮影やカメラの扱い方に関するお役立ち情報が随時更新されているので、ぜひ訪れてみるといいだろう。

studio9

写真とカメラを本格的に楽しむためには学ぶべきことがたくさんある。カメラの構造から始まり、露出の仕組み、レンズの種類や描写特性、シーンごとの撮り方のテクニックなど、挙げればきりがない。

しかし、専門的な教則本ではそのどれもが難解な専門用語やメカニズムをこれでもかというほど含んで容赦なく解説しているので、初心者には敷居が高く感じてしまうのは無理もないことだ。

だが、本書は分かりやすいイラストや作例写真がふんだんに活用されており、視覚的にも理解できるように配慮して解説が構成されているので、初心者でも写真やカメラに関する知識をしっかりと網羅的に習得できるのが特徴だ。解説文自体も非常に論理的で分かりやすく、初心者にもとっつきやすいので学習のハードルを効果的に下げてくれている。

また、各項目が座学パートと実践パートに分かれているのも本書の特徴。まず座学パートの「STUDY」で理論を学び、次に実践パートの「PRACTICE」で学んだことを実際にカメラを使用して撮影するという流れで進行する。ワークショップを受ける感覚で必要な知識と技術の両方を着実にマスターできる。

本書の内容は初級編、中級編、上級編の3章構成。初級編ではカメラの構え方から始まって、構図や視点の基本を交えつつ、細かなカメラ設定は抜きにして一味違った写真が撮れるノウハウが解説されている。中級編では露出の仕組みやレンズの種類・特性について、そして上級編ではシーンごとの撮影テクニックや写真表現を広げるアクセサリーの使い方などについても解説がされている。

一応入門書ではあるのだが、本書がカバーしている内容は基本的なことだけに留まらない。応用的な項目も含めて写真撮影に関する幅広い知識を学べるので、写真撮影の技法を体系的に学ぶのにもおすすめだ。

本書の内容をしっかりとマスターすれば、中級者にレベルアップするために必要な下地は確実に整えられるだろう。

OLYMPUSユーザーのRAW現像 思い通りの色を引き出すOlympus Workspace

続いて紹介する入門書は、秀和システムから出版されている『OLYMPUSユーザーのRAW現像 思い通りの色を引き出すOlympus Workspace』だ。

おすすめポイント!
  • Olympus Workspaceの使い方が一通りマスターできる
  • RAW現像の基本的なワークフローが学べる
  • 補正目的から必要なツールと手順を逆引きできる

本書はオリンパスのミラーレスカメラを購入すると本体に付属する純正RAW現像ソフト「OLYMPUS Workspace」のガイドブックだ。作業画面の構成や各種機能の使い方が懇切丁寧に解説されているので、RAW現像を初めて行う初心者でも無理なくソフトの使い方を着実に習得していける。

RAW現像とは、パソコンなどで画像編集ソフトを使用して、撮影した画像の色合いや明るさなどを微調整することでより自分のイメージに近づけるために仕上げる画像編集の工程のことをいう。それに対して、不要なものを画像から消したり、人肌を滑らかにしたり、画像に文字を入れたりするなどの加工処理はレタッチという。

また、オリンパスのミラーレスカメラには、「深度合成」や「デジタルシフト」、「比較明合成」などの他社のカメラにはない独自機能が搭載されているが、OLYMPUS Workspaceではそれらの機能がパソコン上でも再現できるように作られている。本書ではそういった独自機能を活用した作品制作についても触れているので、他社のRAWソフトからの乗り換えでこのソフトを初めて扱う方にもおすすめだ。

また、本書を通してRAW現像の基本的なワークフローを学べるのもポイント。特に初心者の場合は、設定できる項目がありすぎてどの項目からどのように手を加えていけば分からないということもあるだろう。しかし、本書ではソフトの使い方と同時に、作品を魅力的に仕上げるのに最も効果的なRAW現像の手順についても解説されているので、読み進めるだけでRAW現像の基礎が十分に習得できる。

さらに、補正目的から必要なツールと手順を逆引きできるのも特徴。本書の目次は、「暗い写りの写真を思い描く明るさにしたい」や「かすんだ色調を透明感のある描写にしたい」など、RAW現像で実現したい効果から目的とするページが引けるように構成されており、そのページでは必要な補正ツールやその使い方について実践を交えて学べる仕様になっている。つまり、作品で実現したいイメージから必要なツールの解説ページを検索できるので、RAW現像の初心者でもOLYMPUS Workspaceを直感的に活用できるというわけだ。

OM-DシリーズやOLYMPUS PENシリーズのミラーレスカメラを購入した方で、これからRAW現像を本格的に学んでいきたい方は、この本を活用してまずはOLYMPUS Workspaceをしっかりと使いこなせるようになるといいだろう。

最高の1枚を「撮る・仕上げる」で生み出す超絶写真術

続いて紹介する入門書は、インプレスから出版されている『最高の1枚を「撮る・仕上げる」で生み出す超絶写真術』だ。

おすすめポイント!
  • SNSで人気の写真家たちから写真撮影の超絶技巧が学べる
  • RAW現像を含めたプロのワークフローが学べる
  • 単にオムニバス写真集としても楽しめる

本書はインプレスが発刊している新基軸の入門書シリーズ「こんな写真が撮れるのか!」の1冊だ。写真家が作品を撮影してからRAW現像で仕上げるまでの制作ワークフローをシームレスに解説しているのが本シリーズの特徴で、本書ではSNSでも活躍する様々なジャンルの人気写真家が作品の制作までの流れを紹介してくれている。

カメラの基本的な操作方法や写真の基礎的な知識を一通り習得した後は、プロ・アマ問わずできるだけ多くの写真家の作品に触れて、その撮影手法や仕上げ方を学ぶのが上達には効果的だ。

その点、本書では様々な写真家の作品に触れることができる。例えば、滋賀県を中心に活動してSNSで11万人超のフォロワーを集めている風景写真家の別所隆弘氏や、「光の魔術師」の異名を持ちYouTubeでの動画解説でもおなじみのポートレート写真家のイルコ・アレクサンダロフ氏などだ。

本書には彼らの作品の中で多くの反響を集めたものが中心に掲載されているので、ただ眺めるだけでもオムニバス形式の写真集としても十分に楽しめる。

しかし、本書にはロケハンのコツから始まり、構図や光、レンズワークのポイントなど、それらの作品を撮影する際に活用された写真撮影の超絶技巧が盛り沢山に詰め込まれている。気に入った作品をピックアップしてその撮影手法を学ぶだけでもかなりの勉強になるだろう。

そして本書の極め付けが、RAW現像での仕上げ方についても学べることだ。

本書では撮影とRAW現像を分けずに、どちらも1つの作品を制作するためのワークフローの一環として捉えて解説している。そのため、最初からRAW現像での仕上げありきで撮影のポイントを学べるので、作品を制作するまでの全体的な流れを習得できるのだ。

SNSで多くの人気を集める写真には、見る人を感動させるためのエッセンスが必ず盛り込まれている。ぜひ本書で多くの写真家の作品に触れてそのエッセンスを学び取ってほしい。

関連本:物語と画作りで人を魅了する最高の一枚を写し出す写真術

SNSで人気写真家の制作ワークフローをより深く学びたい方におすすめなのがこちらの入門書『物語と画作りで人を魅了する最高の一枚を写し出す写真術』だ。

本書は「こんな写真が撮れるのか!」の最新作で、『最高の1枚を「撮る・仕上げる」で生み出す超絶写真術』でも作品の解説を担当していた別所隆弘氏が、今度は単独執筆で自身のノウハウをより深く惜しげもなく紹介してくれている。

別所氏は大学で文学博士として教壇にも立たれている方なのだが、いかにも文学者らしく作品の1つ1つに物語性や世界観を持たせた重厚な作風が魅力の写真家だ。作品のジャンルも風景・夜景・ポートレートなど多岐に渡っており、本書でもRAW現像までも含めた様々なジャンルの作品の制作手法を学べる構成になっている。

SNSで11万人を超えるフォロワーを集め、東京カメラ部の10選やNational Geographicのフォトコンテスト第2位に選ばれた彼の実力は折り紙付きだ。本書を通して彼のメソッドを学べば、必ずや写真の表現力や訴求力を劇的に向上できるだろう。

写真好きのための法律&マナー

最後に紹介する入門書は、朝日新聞社が出版している『写真好きのための法律&マナー』だ。

おすすめポイント!
  • 撮影時に役立つマナーを一通り習得できる
  • 毅然とした態度で自信を持って撮影に臨めるようになる
  • 正しい引用の条件や作品が無断使用された場合の対処法を学べる

本書は元々老舗カメラ雑誌の『アサヒカメラ』で特集として組まれていた連載記事がベースになっている。この連載は公開当時多くの反響を集めたことでも知られており、読者から多くの要望を受けたことで再構成された上でムックとして発売されたものだ。

旅先などで写真を撮影していると、「これは写真家のマナーとしてどうなのだろうか?」と思うことが多くあるはずだ。

例えば、原則撮影禁止にも関わらず店舗のスタッフからの許可を得ずに無断で料理の撮影をしたり、歴史のある寺社仏閣の境内で三脚を立てて撮影したり、カフェで食事をしている特定のカップルだけをアップで撮影したり、より良い構図を求めるあまり他人の私有地に無断で侵入したりなどだ。

これらの行為は全て明らかにNGだが、中にはその線引きが一見曖昧なものもある。街中での人物を絡めたスナップ撮影がその最たるものだが、特定の人物だけにフォーカスせず、街の風景を構成する要素の一部として人物を構図に入れる分には何も問題ない。

また、街中でスナップ撮影をしていると、ごく稀に「自分が写ったかもしれないから写真を消せ」といちゃもんをつけてくる輩がいる。しかし、実は法律的な観点で考えると、嫌がらせやわいせつ目的でない限りは、そういった求めに応じる必要は一切なかったりもする。

Alan
ただし、人間の感情は法律の正しさだけでは収められないので、相手に自分の撮影意図を理解してもらえるように根気よく説明する必要がある。それでも理解が得られない場合は、後々のトラブル回避のためにその場で消してしまうのが無難だ。

他にも様々な難しいケースがあるのだが、本書では撮影時のマナーについてプロ写真家や法律家の意見を交えつつ詳細に解説してくれている。本書を読めば撮影に必要なマナーについては正しく理解できるようになるので、恐れることなく自信を持って撮影に臨めるようになる。

また、正しい引用の条件や自分の作品が無断使用された場合の対策方法についても学べるのもポイント。僕のように自分のブログやメディアを運営している方や写真家として活動している方からすると、目に鱗ものの内容が盛り込まれている。

正しいマナーや法律の知識は自分を守る武器になる。ぜひ本書で写真家に必要なマナーを習得して、胸を張って旅先での写真撮影に臨んでほしい。

総評

今回は僕が厳選した写真やカメラの入門書を6冊ご紹介してきた。関連本も含めると11冊になるが、どの入門書も旅写真の撮影スキルを上達させるためにとても役立つ内容が記載されているので、自信を持っておすすめできるものばかりだ。

しかし、大事なことなので最後に補足しておこう。

どんなに素晴らしい知識を学んでも、しっかりと実践しないと本当の意味で身に付かない。プロ写真家の超絶技巧を本で読んで感動して習得した気になっても、それを実際の撮影現場で何度も試すことで自分のものとして吸収できなければ、本を読む意味は無いに等しいのだ。

しかし、実践することを前提で本を読んでいけば、これらの入門書は必ずあなたの旅写真をより上の高みへ昇華させるための手伝いをしてくれるだろう。ぜひこれらの入門書をマスターして撮影スキルを上達させて、さらに充実した旅写真ライフを楽しんでほしい。