【レンズレビュー】OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0|スナップも夜景も上質に撮れる小型広角単焦点レンズの魅力を作例と一緒にご紹介

OM SYSTEM オリンパス 交換レンズ 大口径広角単焦点レンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0

街角の何気ない風景、夜の帳が下りたあとの静かな光景――そんな瞬間を、さっと取り出してすぐに切り取れる相棒がいるとしたら、それはまさにオリンパス(現OM SYSTEM)のM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0である。

小型軽量な金属ボディに、開放F2.0の大口径とフルサイズ換算24mm相当の広角画角を搭載したこのレンズは、旅先や日常のスナップにおいて、絶妙な距離感と空間描写力を提供してくれる。

特にオリンパス独自の「スナップショットフォーカス機構」によって、目測撮影や置きピンが格段にやりやすく、撮るという行為そのものに没入できるのが特徴だ。決して最新の設計ではないが、それゆえに磨き抜かれた完成度がある。

本記事では、M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0の特徴や使用感を詳しく解説していく。後半にはこの大口径広角単焦点レンズを使って撮影した作例もたっぷり掲載するので、レンズ選びの一助となれば幸いである。

Alan
本レンズは広角レンズとして活躍の幅がとても広い。日中の街中で行うスナップや自然風景の撮影はもちろん、夜景やナイトスナップの撮影にも積極的に活用できる。加えて、限定的ながら星景(星空風景)の撮影も手軽に楽しめるので、本格的な広角レンズを試したい方にもおすすめだ。@alan-d-haller

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0ってどんなレンズ?

まず初めに、M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0の概要を軽くおさらいしよう。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0を一言でまとめると、「夜間撮影にも活躍するスナップ特化型レンズ」という表現がしっくりくる。

特徴を次の3点に分けて見ていくと、このレンズの概要が把握しやすくなるだろう。

なお、焦点距離やF値、最短撮影距離などの専門用語に関しては、以前共有した下記の記事で詳しく解説しているので、そちらを参照してほしい

【2026年版】脱・初心者!OM SYSTEM/オリンパスで旅行におすすめのマイクロフォーサーズ用交換レンズまとめ 20選

ダイナミックな作画が楽しめる広角レンズ

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0は、フルサイズ換算で24mm相当の画角を持つ広角単焦点レンズである。

人間の肉眼よりもやや広い範囲を写し取れるのが特徴。体感では後ろに2歩ほど下がった位置から見る時の視野に近い範囲が写るので、普段よりも視野を拡張する感覚で被写体へのアプローチが可能だ。

適度に強調された遠近感を組み合わせることで、手前から奥へと視線を導くダイナミックな描写が演出できるのもポイント。広大な風景を臨場感たっぷりに表現するのはもちろんのこと、都市風景や建築物、屋内空間の撮影においても被写体の構造美を立体的に捉えることができる。

24mmという画角は街角でのスナップ撮影とも相性が良好。被写体や背景との距離感をうまく調整しながら撮影に臨めば、背景を広く取り込みつつ、迫力のあるフレーミングが可能になる。標準レンズとは一味違った表現が楽しめるのだ。

こうした描写力の幅広さは、単なる「広角」というカテゴリに収まらない表現の自由度を本レンズにもたらしている。M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0はまさに広角表現の基本となるレンズといえるだろう。

Alan
ちなみに、この換算24mm相当という画角は、最近のスマートフォンでメインカメラ(広角)に採用されることが多い。そのため、ミラーレスカメラが初めての方でも取っ付きやすく、普段スマホを使う時に近い感覚で撮影が楽しめる。@alan-d-haller

大口径設計で夜間の撮影にも活躍

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0では、小型軽量なデザインながら、大口径設計を採用することで開放F2という明るさを実現している点も魅力の1つだ。

ポケットに入れて持ち歩けるサイズ感にもかかわらず、しっかりと光を取り込めるように設計されている。そのため、日中の撮影はもちろん、光量の乏しい環境下で行う夜景や夜間スナップの撮影でも頼れる描写力を発揮できる。

特に、シャッタースピードを稼ぎにくい夜の街角や、手持ち撮影が前提となる旅行先のナイトシーンには好適。絞りを開けば十分な明るさを確保できるため、暗い場所でも撮影の自由度が高まる。これは開放F値の暗いキットズームにはないメリットだ。

また、開放F2という明るさと広角24mm相当の画角という組み合わせは、星景の撮影にもある程度は対応が可能。ただし、本レンズは絞り開放時の周辺画質や点像再現にやや弱さがあるため、本格的な星景の作品撮りには少し力不足だ。

とはいえ、ここまでコンパクトなレンズで夜の撮影まで視野に入るのは大きな強みである。

スナップ撮影向けの便利機能が充実

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0では、スナップ撮影を強く意識した機能が充実している点にも注目したい。

レンズの鏡筒には距離指標目盛と被写界深度目盛が刻まれており、撮影前にピントが合う距離や、おおよそシャープに写る範囲を視覚的に把握できる。これにより、撮影者は意図的にピント位置を操作しながら、構図や動きに集中することが可能となる。

加えて、本レンズ最大の特徴ともいえるのが、オリンパス独自の「スナップショットフォーカス機構」の搭載である。フォーカスリングを手前に引くだけで、瞬時にプリセットされた距離にピントが切り替わり、距離指標と被写界深度の目盛が露出する仕組みだ。

目測を活用したクラシカルなスナップ撮影や、広範囲にピントを合わせるパンフォーカス撮影を、直感的かつ素早く行えるというメリットを持つ。こうしたアナログ的な操作感は、オートフォーカス(AF)任せでは得られない撮影の自由と没入感を与えてくれる。

なお、スナップショットフォーカス機構の概要や詳しい使い方についてはこちらの記事で解説しているので、合わせて参考にしてもらうといいだろう

【永久保存版】スナップショットフォーカス完全攻略──失われゆく機構の意義と使い方を振り返る

ちなみに、スナップショットフォーカスはM.ZUIKO PROレンズに採用されるマニュアルフォーカスクラッチ機構とは構造や目的が異なる。MFでの微細なピント調整には向かないので注意しよう。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0の外観と機能

次に、M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0の外観と機能について見ていこう。

はじめにこちらがレンズフードを逆付けに収納した状態だ。

OM SYSTEM オリンパス 交換レンズ 大口径広角単焦点レンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0の外観。専用の金属レンズフードを逆付けにした状態。角型なので一見かさばると思われがちだが、丸型のものとさほど変わらずコンパクトに収納できる。

フードとキャップを取り外した状態はこちら。

OM SYSTEM オリンパス 交換レンズ 大口径広角単焦点レンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
レンズキャップとフードを外した状態。レンズ先端には46mm径のフィルターアタッチメントが搭載されている。

以前紹介したM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8と同様、鏡筒などの外装には金属素材が使われている。

鏡筒のフォーカスリングの上方には被写界深度目盛が付いており、リングを手前に引くと距離指標目盛も現れる。

OM SYSTEM オリンパス 交換レンズ 大口径広角単焦点レンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 スナップショットフォーカス
フォーカスリングを手前に引いて「スナップショットフォーカス」に切り替えたところ。リング下に隠れていた距離指標目盛が現れて、ピント位置に指定が可能になる。

ちなみに、本レンズの被写界深度目盛の間隔は17mm F1.8と比べるとかなり広めに取られているため、シャープに写る範囲がより正確に把握しやすくなっている。スナップショットフォーカスを使う時にも重宝するだろう。

レンズ先端には口径46mmのフィルターアタッチメントを搭載。PLフィルターやNDフィルターなどの各種レンズフィルターが装着できるので、自然風景や星景の撮影を行う場合もフィルターワークを駆使した多彩な表現が楽しめる。

こちらは別売りの専用レンズフード「LH-48」をレンズ本体に装着したところ。レンズ本体と同様、レンズフードの素材にも金属が使われている。

OM SYSTEM オリンパス 交換レンズ 大口径広角単焦点レンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
別売りの専用金属レンズフードを装着したところ。撮影時は基本的にこの状態で使用する。角型フードがとにかくカッコいい!

この金属レンズフードで特筆すべきなのが、デザインの美しさだ。最近はあまり見かけることがなくなった角型のフード形状を採用しているため、レンズに装着することで高級オールドレンズのようなシャープで洗練された外観を楽しむことができる。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0をサブ機のPEN E-P7に装着した状態が次の画像。

OM SYSTEM オリンパス 交換レンズ 大口径広角単焦点レンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 PEN E-P7
サブ機のPEN E-P7に装着したところ。小型のミラーレスカメラとの相性が非常に良い。F1.8シリーズの単焦点レンズを取り付ける時と同様、「レンズ交換式コンパクトカメラ」の感覚で使える。

サイズ感は他のF1.8シリーズの単焦点レンズとほぼ同じなので、軽量コンパクトなミラーレスカメラともベストマッチ。PENシリーズのカメラを高級コンデジ的に運用したい場合にも好適だ。

主な機能は鏡筒のフォーカスリング周辺に集約されている。被写界深度目盛や距離指標目盛が付近に配置されており、リングを手前に引くとスナップショットフォーカスの使用も可能になっている。

とはいえ、スナップショットフォーカスさえ使わなければ、ただの小型軽量のAFレンズとしても使える。加えて、スイッチやボタンなどはなく、操作性がシンプルなため、カメラを始めてまだ日の浅い初心者でもあまり戸惑わずに使えるだろう。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0のグレートなところ

このパートでは、僕が実際に使ってみて、M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0で素晴らしいと思った点を共有しよう。

スナップから夜景まで多目的に活用できる

僕はこのM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0が持つ汎用性の高さをとてもよく気に入っている。というのも、換算24mm相当の画角は広角域の基本として、最も広角レンズらしい描写が得られるため、使い勝手が非常に良いからだ。

肉眼よりも少し広い範囲をダイナミックに写せるという本レンズの特性は、様々なシーンの撮影で役立つ。広大な風景や巨大な建築物を臨場感たっぷりに写せるのはもちろん、ストリートスナップ撮影でも迫力のある構図で魅せる作品が記録できる。

加えて、開放F2の明るさもを最大限に活用すれば、日没後の撮影でも非常に頼りになる。ビルの高層階から都市夜景を写す場合や、夜の街中を散策しながらスナップを行う場合にも、手持ちでも安定した美しい仕上がりの夜間撮影が手軽に楽しめる。

軽量コンパクト設計かつ手頃な価格帯の広角レンズではあるが、本レンズは守備範囲がとても広い良作といえるだろう。

スナップショットフォーカスが使いやすい

僕はスナップショットフォーカスの操作が行いやすい点もM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0で高く評価している。

元々スナップショットフォーカスは、本レンズが2011年に登場した際に初めて実装された機能だ。その翌年の2012年には、同じ機能を搭載したM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8が発売された。

だが、M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0はより焦点距離の短い広角レンズということもあり、17mm F1.8に比べて被写界深度目盛の間隔が広めに開けられている。そのため、シャープに写る範囲(被写界深度)を被写界深度目盛でより正確に把握しやすいようになっている。

対して、17mm F1.8の被写界深度目盛は間隔をやや狭めて配置されているので、目盛で確認できる被写界深度は実際のものと比べてかなりの誤差がある。(正直あまり当てにはできない。)

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0に関しては、目盛で確認できる被写界深度の範囲と実際の範囲との誤差がより少なく抑えられるため、体感的にスナップショットフォーカスが17mm F1.8よりもさらに使いやすくなっている。

まぁ、元々広角レンズは被写界深度が深いので、操作時に多少設定を外しても深い被写界深度でピンボケを回避できるというアドバンテージもあるのだが。

いずれにしろ、スナップショットフォーカスを駆使して目測を使ったスナップ撮影やパンフォーカス撮影を楽しむなら、本レンズの方がずっと難易度は低いといえる。

スタイリッシュな金属外装が写欲を刺激する

外観の項目で解説したように、金属外装を採用しているのもM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0の魅力だ。プラスティック外装のレンズにはないスタイリッシュな外観が楽しめる点が非常に気に入っている。

しかも、本レンズには別売りオプションとして、今となっては珍しい角型の金属レンズフードが用意されている。このレンズフードを装着した時の、高級オールドレンズのような佇まいが本当にカッコいい!!

フードを装着したこのレンズを見ているだけでバゲット1本はいけるだろう(笑)

また、以前投稿したM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8のレビュー記事でも書いたが、鏡筒に指で触れた時にヒヤッと来る金属外装ならではの質感も本レンズでは楽しめる。

指で触れる→冷たい→金属外装→ハイグレードなレンズ→写欲覚醒!、というようにM.ZUIKO PROレンズを持った時に近い一連の流れが僕の中で起こる。要するに、金属外装のレンズを手に持つと撮影に対するテンションが段違いに上がるのだ。(※個人の感想です。)

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0のイマイチなところ

良い点だけを紹介してもフェアではないので、「これはちょっと不満」と気になった点についても忖度なしで共有しておこう。

防塵防滴に非対応

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0は非常に完成度の高いレンズなのだが、数少ない欠点として防塵防滴構造が採用されていないことが挙げられる。

故障を防ぐには雨粒や砂ぼこりから避けなければならないので、キャンプや登山などのアウトドアシーンで気兼ねなく使うにはハードルが少々高い。実際にこのレンズが存分に使えるのは、晴れや曇りの日の屋外や、室内での撮影に限られるだろう。

強力な防塵防滴性能を持つOM-5系やOM-1系などに本レンズを装着する場合も気を付けなくてはならない。レンズ側から浸水や塵混入のリスクがあるため、防塵防滴カメラのアドバンテージが活かせなくなる。カメラ側だけ防塵防滴対応でも意味がないのだ。

本レンズは街中でのスナップ撮影や夜景撮影にはちょうどいいのだが、アウトドア用としては正直あまりおすすめできない。

レンズヒーターが装着しにくい

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0で困った仕様の1つが、レンズヒーターが取り付けにくいこと。

レンズヒーターとは、夜間に星景やタイムラプスなどの長時間撮影を行う際、レンズが結露するのを防ぐために使用するレンズアクセサリーのこと。

例えば、こちらのようなものを指す↓

レンズの鏡筒に巻き付けて装着し、電力で外側から保温することで結露が発生したい温度状況を保つというものだ。なお、電源にはモバイルバッテリーなどを使用する。

レンズヒーターを使用するにはレンズの鏡筒に取り付ける必要があるのだが、如何せん本レンズの鏡筒はレンズヒーターを巻き付けるのに細く幅が狭すぎるのだ。

市販のレンズヒーターで本レンズの鏡筒サイズに合うような品はまず見かけない。結果的に結露に対する予防策は満足には取れないので、撮影中に結露でレンズ表面が曇ってしまうリスクが高くなる。

そのため、僕個人に関しては、本レンズを夜間の長時間撮影に使うのは敬遠してしまいがちなのが実情だ。

小型軽量であることはスナップ撮影用途では疑う必要のないアドバンテージだが、夜景や星空の撮影ではかえって不利になりかねないという典型的な事例だろう。

星景撮影の主力とはいえない

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0で個人的に最も不満を感じているのが、星景写真の本格的な作品撮りには力不足であるという点だ。

まず、本レンズは画像周辺部の点像再現性がイマイチ弱い。

点像再現性とは、街灯や星などの点光源を点のまま忠実に再現できる能力のこと。点像再現性の低いレンズだと、例えば星空を写した時に、画面の周辺部に配置した星が点ではなく羽を広げたような形状で写ってしまう。(これをコマ収差と呼ぶ。)

本レンズは点像再現性があまり高くはないので、画像周辺部に配置した星の写り方の不自然さに不満を感じる場合も多々ある。この辺りが星景撮影向けに開発されたレンズとの決定的な違いなのだろう。

また、前項で触れた通り、長時間の星景撮影で必須のレンズヒーターが本レンズではまず使用できないと考えていい。満足な結露対策はほとんど取れないため、星の軌跡を記録するために野外で一晩中カメラを回すような用途にはあまり使う気にはなれない。

このように、星景撮影に求められる重要な抑えどころを本レンズはカバーしていないので、星景写真の本格的な作品撮りで主力にはなり得ないのだ。

もし星景撮影における描写力と機能に完璧さを求めるなら、M.ZUIKO PROシリーズが誇る超広角ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO 」や、魚眼レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」を選んだ方が絶対にいい。

とはいえ、画角や開放F値などのスペックだけでいえば、本レンズも星景撮影に必要な最低要件を一応は満たしているため、全く使えないというわけではない。

旅行やキャンプのついでに星空が出ていれば軽く撮ってみる――そんな風にして気軽に楽しむ”ついで星景撮影”には十分に役立ってくれる。その意味で考えると、星景撮影の入門レンズとして悪くはない選択肢といえるだろう。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0におすすめの方

メリットとデメリットが一通り把握できたところで、このパートではM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0におすすめの方を考察していこう。

広角レンズらしい表現を楽しみたい方

「The 広角レンズ」的な描写を求めている方にM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0はおすすめだ。

換算24mm相当のレンズは「超広角レンズの入口」と呼ばれることもあるが、その呼び名のとおり、本レンズでは28mmや35mmのものよりも広角レンズらしい特徴が目立って現れる。

具体的には、広範囲を画面に収められる広い画角と適度に誇張された遠近感によって、広角レンズならではのダイナミックな風景描写が楽しめる。キットズームでは諦めていた広大な風景や荘厳な大聖堂の撮影も手軽に可能になるのだ。

もっと広く撮りたい、もっと臨場感たっぷりに表現したいといった要求にも、本レンズは目に見える分かりやすい形で応えてくれる。本レンズは初心者が初めて使う本格仕様の広角レンズとしてもちょうどいいだろう。

夜景や星景の撮影を始めたい方

夜景や星景(星空風景)の撮影に挑戦してみたい方にもこのM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0はおすすめだ。

ここまで見てきたように、本レンズが持つ開放F2の明るさを活用すれば、日没後の暗いシーンでも絞りを開けるだけで鮮明に記録できる。街明かりで印象的に照らされた都市夜景はもちろん、わずかな街灯しかない夜の路地裏でも綺麗に撮影が可能だ。

また、OM SYSTEMのカメラが搭載する強力な手ぶれ補正と併用すれば、三脚に頼る必要もない。高層ビルに設置されたビュースポットのように、三脚の使用が制限されている場所でも、手持ちで十分に安定した夜景の撮影が楽しめる。

暗所でもこういった恩恵が得られるのは、カメラ付属のキットズームでは考えられないことだ。これから本格的に夜景の撮影を始めたいと思っているなら、本レンズを最初の勝負レンズとして迎える価値は十分にある。

それは星景撮影でも同じこと。

周辺部の再現性があまり高くない、レンズヒーターが巻けないなどの欠点はあるが、本レンズはスペックだけなら星空を写すのに必要な条件は揃っている。

何より本レンズは大口径の広角レンズとしては価格が安い。星景撮影に必要なスペックを備えながら、純正レンズにも関わらず5万円を切る価格で購入できるものは、LUMIX製のレンズも含めて他にはない。

試しに星景撮影もやってみたいという初心者にとって、本レンズはおあつらえ向きの選択肢となるだろう。

スナップ撮影で新境地を開きたい方

撮影経験をある程度積んだ方で、スナップ撮影の表現力をもっと広げたいと思っている方にもM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0はおすすめだ。

スナップ撮影というと、フルサイズ換算で35mm相当や50mm相当の画角がメジャーだろう。それに対して、本レンズは24mm相当という、スナップ撮影には少し珍しい画角を採用している。

同じ広角レンズのカテゴリに属する35mmと比べて、ずっと広い画角と強烈な遠近感という効果が撮影した画像に適用されることに最初は戸惑いを覚えるかもしれない。

しかし、使いこなしていけば、街中で出会った瞬間や旅行先の風景を臨場感あふれるダイナミックな描写で記録できることに快感を覚えるだろう。いつも見慣れていた光景でも新鮮な気持ちで撮影に臨めるようになるはず。

24mmという画角はスナップ撮影のスタイルに新しい風を取り入れるのにちょうどいい存在となるだろう。

また、本レンズではオリンパス独自のスナップショットフォーカス機構も搭載されている。シンプルな操作で目測撮影やパンフォーカス撮影が手軽に行えるように設計されているので、スナップ撮影における表現のレパートリーを増やすのにも有効だ。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0はスナップ撮影で新境地を開けるレンズといっても過言ではない。マンネリ化から脱却して、スナップ撮影を楽しむ心を取り戻したいと思っている方に、本レンズはぜひとも試してほしい1本となっている。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0で撮影した作例の紹介

ここからはM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0を使って実際に僕が撮影した写真の作例を掲載していく。

作例画像にはRAW現像時に露出の微調整は施してあるが、色合いや収差補正には極力手を加えていないため、レンズ本来のものに近い仕上がりが確認できるだろう。

OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 作例 スナップショットフォーカス
東京・秋葉原にて。アニメ『シュタインズ・ゲート』にも登場したラジオ会館で、前を通り抜けた通行人をスナップショットフォーカスで撮り収めた。スナップ特化型レンズだけあってスムーズな操作で撮影が楽しめる。
OM-D E-M5 Mark II/M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0/絞り優先AE(F2.8・1/2000秒)/ISO 200/分割測光/WB晴天/12mm(換算24mm相当)
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 作例
東京・高田ののぞき坂にて。数々のアニメに登場した急坂の険しさを、広角レンズが持つ遠近感の誇張効果で強調表現した。
OM-D E-M5 Mark II/絞り優先AE(F5.6・1/750秒)/-0.5EV/ISO 200/分割測光/WB晴天/12mm(換算24mm相当)
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 作例
市原・国分寺台にある史跡「上総国分尼寺跡」にて。現在寺の跡地には復元された回廊と中門が建てられている。広角レンズの遠近誇張によって回廊の奥行きと広さを強調し演出した。
OM-D E-M5 Mark II/絞り優先AE(F5.6・1/500秒)/ISO 200/分割測光/WB晴天/12mm(換算24mm相当)
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 作例
東京・上野の国立西洋美術館にて。世界遺産にも登録された名建築を前庭から撮影。カメラ搭載の「デジタルシフト機能」を使うことで広角特有の上すぼまりを抑えて記録した。
OM-D E-M5 Mark II/絞り優先AE(F4・1/500秒)/-0.5EV/ISO 200/分割測光/WB晴天/12mm(換算24mm相当)
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 作例
千葉市中央区にある千葉神社にて。おみくじの括り付け場所から奥にある拝殿を撮影。前景を入れつつ、大きな建物を丸ごと収められるのは広角レンズだからこそなせる技だ。
OM-D E-M5 Mark II/絞り優先AE(F4・1/3000秒)/-0.5EV/ISO 200/分割測光/WB晴天/12mm(換算24mm相当)
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 作例
東京・新宿にあるカフェ「ベルク」にて。1日30食限定で提供されているスペシャルランチプレートを撮影。F値と撮影距離を調整しさえすれば、ボケにくいと言われる広角レンズでもボケ演出が適度に楽しめる。
OM-D E-M5 Mark II/絞り優先AE(F2.8・1/30秒)/ISO 320/分割測光/WBオート/12mm(換算24mm相当)
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 作例 スナップショットフォーカス
東京・南千住にて。商店街を散策した直後に、都電荒川線(東京さくらトラム)の三ノ輪橋のホームに入るトラムをスナップショットフォーカスで撮影。あらかじめピント位置を5mに設定しておくことで、突発的な瞬間にも素早く対処できた。
OM-D E-M5 Mark II/M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0/絞り優先AE(F8・1/500秒)/-1EV/ISO 200/分割測光/WBオート/12mm(換算24mm相当)
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 作例
東京・丸の内にある東京駅丸の内駅前広場にて。日が沈んだばかりの黄昏時に皇居のある行幸通りへカメラを向けて記録。本レンズは日没後のナイトスナップでも快適に撮影が楽しめる。
OM-D E-M1 Mark III/絞り優先AE(F2.5・1/180秒)/+0.5EV/ISO 800/分割測光/WB晴天/12mm(換算24mm相当)
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 作例
東京・西新宿にて。クリスマスシーズンを迎えた55HIROBAの様子を背後にある都庁ビルと一緒に撮影。本レンズは大口径ながら小型軽量なので、散策しながら行う都市夜景の撮影にもとても重宝する。
OM-D E-M5 Mark II/プログラムAE(F2・1/30秒)/-0.5EV/ISO 1000/分割測光/WBオート/12mm(換算24mm相当)
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 作例
東京・西新宿、新宿警察署の裏にある交差点にて。ここは新海誠監督のアニメ作品『君の名は。』にも登場したスポットでもある。遠近感が強調されることで迫力が増すため、こういった構造物を下から見上げて撮影する場合にも本レンズは重宝する。
OM-D E-M5 Mark II/絞り優先AE(F2・1/30秒)/-0.5EV/ISO 1250/分割測光/WBオート/12mm(換算24mm相当)

総評

今回の記事では、OM SYSTEM(旧オリンパス)の大口径広角単焦点レンズ、M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0についてのレビューをお届けした。

小型軽量ながら、ダイナミックは風景描写はもちろん、夜間の撮影にも対応できる明るさも備えた本レンズの魅力がお分かりいただけたと思う。スナップ撮影で新境地を開きたい方や、夜景や星景の撮影に挑戦したい方にもおすすめの1本となっている。

ぜひOM-5系やPENシリーズなどのコンパクトなカメラと組み合わせて、軽快なフットワークでスナップや夜間の撮影を楽しんでもらえればと思う。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0のレンズ本体はこちら↓

専用の別売り金属レンズフード「LH-48」はこちら↓

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ABOUT US
Alan Drake HallerTravel Photo Journalist / Photographer
千葉県在住、40代独身のトラベルフォトジャーナリスト兼光画作家。【旅行の写真作品と情報発信で人と地域を元気にする!】を信条に、ブログやウェブメディアで活躍中。地元の千葉を中心に散歩や旅行の道中で撮影した写真作品のほか、街歩きやカメラ生活が楽しくなるお役立ち情報なども公開しています!総合旅行業務取扱管理者およびフォトマスター検定1級の所持者。