交換レンズを制するものは旅写真を制する!
ミラーレスカメラを購入してから数ヶ月ほど撮影を続けていると、意外なことに、イメージしたような写真がなかなか撮れないことに気付く。
ひどいとスマートフォンで撮影したのとあまり代わり映えのしない写真が量産されてしまうこともあるだろう。
その原因の1つが交換レンズだ。
実は、ミラーレスカメラを始めとするレンズ交換式カメラは、被写体やシーンに応じて複数のレンズを使い分けることでその本領を発揮できる。
これはつまり、その被写体やシーンの撮影が苦手なレンズをカメラに装着して使用していると、頭に思い描いたような表現の写真が撮れないことを意味するのだ。
そこで、今回は旅行先での写真撮影をさらに充実したものにするアイテムとして、OM SYSTEM(旧オリンパス)の純正品を中心に、マイクロフォーサーズ(MFT)のミラーレスカメラ専用で旅写真の撮影におすすめの交換レンズをご紹介していこう。
ぜひあなたの旅写真ライフをさらに豊かなものにグレードアップさせるための参考にしていただきたい。

- 1 キットのダブルズームだけでは限界がある
- 2 ミラーレスカメラには様々な種類の交換レンズがある
- 3 レンズの基礎知識とスペックの読み取り方
- 4 旅行には高倍率ズームレンズ・標準単焦点レンズ・+αレンズのトリオがおすすめ!
- 5 OM SYSTEM/オリンパスの純正レンズから選ぼう!
- 6 初心者におすすめの旅行向け高倍率ズームレンズ
- 7 初心者におすすめの旅行向け標準単焦点レンズ
- 8 初心者におすすめの旅行向け+αレンズ
- 9 中上級者におすすめの旅行向けレンズ
- 9.1 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO ★
- 9.2 M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO ★
- 9.3 M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
- 9.4 M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO ★
- 9.5 M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO
- 9.6 M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
- 9.7 M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO ★
- 9.8 M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO ★
- 10 レンズ貸し出しサービスのご案内
- 11 ALANが常用しているレンズの組み合わせ例
- 12 レンズ沼に陥らないために大事なこと
- 13 総評
- 14 執筆後記
キットのダブルズームだけでは限界がある
初心者向けのレンズ交換式カメラは大抵の場合、近距離〜中距離用の標準ズームと遠距離用の望遠ズームからなる2種類のズームレンズがキットとしてカメラ本体に同梱販売されている。これをダブルズームと呼ぶ。
例えば、下記に記載したOM SYSTEM(旧オリンパス)のエントリーモデルであるOM-D E-M10 Mark IVのダブルズームキットに同梱されてくる2本のレンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZとM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 Rがそれだ。
2本の交換レンズがお得に入手できることもあり、初めてミラーレスカメラを購入する際は大抵の方がこの組み合わせのキットを買っている。確かに、これらのレンズは近距離から遠距離までカバーしており、大体のシーンでほどほどに撮影がこなせるので、利便性という面では理に適っている。
しかし、キットのダブルズームは決して万能ではない。
これら2本のレンズはコストを優先するために使用できる表現や機能が大きく限定されているのが難点。そのため、ダブルズームだけで全ての被写体やシーンに対応することはおろか、イメージ通りの写真を撮ることすらも非常に困難となっているのだ。
では、ダブルズームでできないことは一体何か?交換レンズの話をする前に、まずこの項目ではダブルズームではできないことを具体的にいくつか挙げていこう。
広い範囲が撮れない
見渡す限り広がる大自然や巨大な建造物など、旅先で出会った雄大な景色を広く大きく撮りたい場合があるだろう。また逆に、室内など、スペースが限られておりそれ以上は後ろに下がることができない場所で、周囲の空間を丸ごと撮り収めたい場合もあるだろう。
しかし、そういった広い景色や空間を丸ごと記録するような撮影にダブルズームは不向きだ。標準ズームレンズで使える最も広角側の焦点距離(レンズのズームリングに記載された最も小さい数値)に設定しても、せいぜいスマートフォンのカメラと同じくらいの範囲しか撮影できない。
接写ができない
旅先では道端で可愛らしい花を見かけたり、レストランで素敵な盛り付けの料理と出会ったりすることもあるだろう。そういった被写体を印象的に撮影する際に有効なのが接写だ。カメラのレンズを被写体に近付けて撮影することで、画面に対して被写体を大きく写せるので、自分が素敵だと思った部分をより強調して伝えられる。
しかし、ダブルズームのレンズは接写が苦手だ。カメラは使用するレンズごとにピントの合わせられる有効距離(最短撮影距離)が決まっている。その距離よりも被写体に近付くとピントが正確に合わせられなくなってしまうのだ。
カメラに同梱するこれらのレンズは単体で売られている他のレンズと比べて、この距離が長めに設定されている場合が多い。そのため、被写体を拡大して写すために近付こうとすると、ピントが合わせられずピンボケの写真しか撮れないことが多々ある。
背景を綺麗にぼかせない
初めてミラーレスカメラを購入した方の大半は、スマートフォンのカメラでは表現できないような背景が大きくボケた写真が撮りたいと思っているだろう。ピントが合っている部分以外をボカすことによってテーマとなる被写体を明確に強調できるので、旅行先で自分が感動したものを写真の鑑賞者へ伝える際にもより効果的だ。
しかし、ダブルズームのレンズ、特に標準ズームレンズはボケにくいのが難点。テクニックを使えばある程度は補えるのだが、これらのレンズはそもそもが設計上ボケを作りにくい特性を持っているため、テクニックだけでカバーするのにはどうしても限界があるのだ。
夜景が鮮明に撮れない
同じ観光地であっても昼と夜とでは見える景色がガラッと変わる。暗闇に包まれた街並みを彩るネオンや煌めくイルミネーションなど夜景の魅力は絶えない。そういった夜の風景を綺麗に撮影する際にもミラーレスカメラは重宝する。
しかし、ダブルズームのレンズは夜景の撮影が苦手だ。夜景撮影ではいかに多くの光を取り込むかが重要となるのだが、これらのレンズは設計上の都合で取り込める光の量が少なく限られている。それによって、撮影に十分な光を取り込むためにはシャッター速度を落として普段より撮影に時間をかけなければならないので、暗くなるほど手ぶれが起こりやすく、高精細な夜景写真を撮るのが難しくなっているのだ。
急な天候の変化に対処できない
せっかく訪れているのだから旅先では快晴で澄み渡る青空を期待して当然なのだが、残念なことにいつも天気に恵まれるとは限らない。日程の関係で雨の中でもツアーを進めないといけない場合もあるし、場所によっては観光中に突然の豪雨や吹雪、砂嵐に見舞われることもあるだろう。
そんな時にカメラ本体と同じように交換レンズにも防塵防滴機構が搭載されていれば、雨や砂埃の侵入を効果的に防いでくれるので、急な天候の変化や厳しい環境でも故障を気にせず撮影を継続できる。また、逆に悪天候の日でないと出会えないような風景も撮影できるようになるので、旅写真の楽しみがさらに増えるのもポイントだ。
しかし、ダブルズームのレンズは基本的に防塵防滴機構は非搭載となっている。雨や砂埃に見舞われる度に故障しないようカメラを余分に気にかけなければいけなくなるので、旅行を楽しむことにあまり集中できないのが難点だ。
MFへの切換えに時間がかかる
AF(オートフォーカス)は決して万能ではない。特に、狙った位置へ高い精度でピンポイントにピントを合わせるのはあまり得意ではないので、花や昆虫の接写など限られた狭い範囲にピントを合わせるときはAFだけに頼らずMF(マニュアルフォーカス)も併用した方が楽な場合が多々ある。AFで大体の位置にピントを合わせてから、MFに変えることでピントを微調整して追い込むのだ。
しかし、ダブルズームのレンズはMFに切り換える際に手間のかかるものがほとんど。AFからMFへワンタッチで瞬時に変えられるスイッチやクラッチ機構が搭載されておらず、切換えの度にカメラのメニュー画面を開いて行わなければならない。その結果、切換えまでに時間がかかってしまうので、その間にシャッターチャンスを逃してしまうこともあるのだ。

ミラーレスカメラには様々な種類の交換レンズがある
前項で初心者向けのミラーレスカメラにキットとして同梱するダブルズームは、安価な一方で使える表現や機能が限られていることがお分かりいただけだろう。
しかし、ダブルズームだけが交換レンズの全てではない。
レンズ交換式のミラーレスカメラには、ダブルズームに含まれる標準ズームレンズと望遠ズームレンズ以外にも様々な種類のレンズが用意されている。
実は、OM SYSTEM(旧オリンパス)が採用するマイクロフォーサーズ(MFT)規格のミラーレスカメラには、パナソニック製やサードパーティ製のものも含めると、2025年5月現在で120本以上の交換レンズが提供されている。
それらは広角レンズ・標準レンズ・望遠レンズ・マクロレンズ・魚眼レンズの内のいずれかに大別されるが、ひとえに交換レンズと言っても様々な種類が存在するのだ。
では、各レンズの特徴を簡単にご紹介しよう。
広角レンズ
広角レンズとは、広範囲の風景を写すのに特化した交換レンズのこと。

ダブルズームに含まれる標準ズームレンズの広角端よりもさらに広い範囲を画面内に収められるため、風景や建築物の撮影におすすめだ。
遠近感が誇張して表現されるのも広角レンズの特徴。mmで示される焦点距離が短くなるほど、近くの被写体が実物よりも大きく、遠くのものが小さく写し出される。風景の奥行きを表現したり、狭い室内を実際より広く見せたりしたい場合などに役立つ。
広範囲にピントを合わせやすくなるのも広角レンズのメリット。後述するF値を少し絞るだけで、画面の手前から奥まで広範囲をシャープに写す「パンフォーカス撮影」が手軽に行える。観光名所の様子を鮮明に伝える観光写真の撮影にも有効だ。
標準レンズ
標準レンズとは、風景を見たままに近い描写で切り撮れる交換レンズのこと。
人間が普段見ている視野に近い範囲を画面内に収められるので、全ての基準という意味で「標準」の名称が付いている。ダブルズームの標準ズームもその一種で、交換レンズ選びでもこの標準レンズを基軸に足りないものを増やしていくことになる。
遠近感を自然に表現できるのも標準レンズの特徴。誇張効果で被写体の位置によってサイズが変わったり、圧縮効果で背景が迫ったように見えたりしないため、被写体の様子をありのままに再現できる。物撮りや商品撮影などで被写体のサイズ・形状・距離感などを忠実に伝えたい場合などにもおすすめだ。
望遠レンズ
望遠レンズとは、遠くの被写体を引き寄せて大きく写すのに特化した交換レンズのこと。
離れた場所にいる動物や、物理的に近づけない飛行機などの被写体を臨場感たっぷりに記録するのに有効だ。ダブルズームの望遠ズームもその一種に含まれる。
遠近感が圧縮して表現されるのも望遠レンズの特徴。焦点距離が長くなるほど、近くの被写体と遠くの背景との距離感が消失して、両者のサイズ比が小さくなる。結果的に、背景が奥から迫ってくるような画像が撮影できるため、スポーツや動物などの撮影に多用されている。
ボケ表現が活用しやすくなるのも望遠レンズのメリットだ。広角や標準の交換レンズと比べて、F値を小さくするだけでも前景や背景に大きく豊かなボケが作りやすく設計されている。ポートレート撮影で被写体を立体的に強調したい場合にも役立つ。
マクロレンズ
マクロレンズとは、小さな被写体を画面一杯に大きく写すことに特化した特殊な交換レンズのこと。

最も大きく被写体を写せる倍率がダブルズームのレンズよりも大きく設計されている。ミクロの世界の被写体も実寸以上のサイズでイメージセンサー上に記録できるため、花の一部や昆虫などを撮影する場合にもおすすめだ。
至近距離まで近寄って撮影できるのもマクロレンズの特徴。ダブルズームのレンズではピントが合わない近接距離からでも合焦できるように設計されているので、接写用としても重宝する。テーブルフォト撮影にも向いており、レストランやカフェで出された料理も座ったままで楽に撮影が可能だ。
魚眼レンズ
魚眼レンズとは、画面全体が大きく歪んで写る性質を持つ特殊な交換レンズのこと。

魚の目を通して水中から地上を見たように歪んだ風景が撮影できることが名称の由来になっている。
画面の端に向かうほど直線や被写体が大きく歪んで写るのが魚眼レンズの特徴。水平線や高いビルを画面の中心から離れた位置に置くと弧を描くように曲がるため、肉眼で見るのとは大きく違った異世界風の演出も楽しめる。
広角レンズ以上に広い範囲を記録できるのも魚眼レンズのメリット。広角レンズでも収めきれない全天の様子もカバーできるので、星景撮影でも多用されている。
レンズの基礎知識とスペックの読み取り方
交換レンズにも様々な種類がある。
豊富なラインアップの中から自分が撮影したい被写体やシーンに適した交換レンズを選ぶためには、交換レンズのスペックを正確に読み取れるようになる必要がある。
この項目では交換レンズの基礎として、最適な交換レンズ選びに必要な知識をまとめて解説しておこう。

レンズ名の構成
まずはレンズの名前を見てみよう。初心者にとっては意味不明な暗号の羅列に見えるかもしれない。しかし、どのレンズの名前も一定の法則で名付けられており、名前を見るだけでそのレンズが持つ特徴が大体分かるようになっている。
では、具体的にレンズを1本取り上げて詳しく見てみよう。このレンズはオリンパスから発売されている高倍率ズームレンズだ。レンズの名称を要素ごとに区切ると下記の画像のようになる。

①「M.ZUIKO DIGITAL」はレンズのブランド名、②「ED」は色にじみやコントラスト低下を抑える特殊レンズを使用していること、③ 「12-100mm」はこのレンズで使える焦点距離、④「F4.0」はこのレンズで使える最小のF値(開放F値)、⑤「IS」は手ぶれ補正機構を搭載していること、そして⑥「PRO」はレンズのグレードをそれぞれ示している。
各メーカーによって名称の規則に若干の差異は見られるが、③・④に関してはどのメーカーも概ね共通して表記している。これらの項目はレンズが持つスペックの一部を示しているものに過ぎないが、これらだけでもレンズが持つ基本的な特徴は大体把握できるので、まずはこの2つの項目:「焦点距離」と「F値(絞り値)」をチェックするのがおすすめだ。
これらの項目も含めて、次項からはさらに具体的にレンズのスペックを紐解いて解説していこう。
焦点距離
焦点距離とは、レンズの中心である「主点」からイメージセンサーまでの距離のこと。mmという単位が用いられ、「14mm」、「25mm」、「50mm」などというように表記される。

この数値が小さくなるほど焦点距離は短くなり、レンズの写せる範囲(画角)が広くなっていく。それと同時に、焦点距離が短くなるほど遠近感の誇張が大きくなる特性があり、撮影者から近いものほど大きく写り、遠いものほど小さく写る。
逆に、数値が大きくなるほど焦点距離は長くなり、レンズの画角は狭くなっていく。それと同時に、焦点距離が長くなるほど遠近感の圧縮が大きくなる特性があり、撮影者から近い位置にあるものと遠くの位置にあるものとの距離感がなくなる。
焦点距離によるレンズの分類
使える焦点距離に応じてレンズの種類が分類されるのもポイント。マイクロフォーサーズ(MFT)規格では焦点距離25mm前後(20〜30mm)のレンズを「標準レンズ」と呼ぶ。
それを基準に、焦点距離のより短いレンズは「広角レンズ」、逆により長いレンズは「望遠レンズ」として大まかに分けられる。加えて、これらの分類のレンズも焦点距離に応じてさらに細分化できる。
大まかだが、広角側の焦点距離では、12mmから17mmまでが広角レンズ、11mm以下が超広角レンズとなる。望遠側では、35mmから60mmまでが中望遠レンズ、75mmから150mmまでが望遠レンズ、そして200mm以上が超望遠レンズとなる。
ちなみに、ズームレンズでは「12-100mm」というような表記が名称に見られる。これは「このレンズで使用できる焦点距離は最も広角側(広角端)が12mmで、最も望遠側(望遠端)が100mm」であることを示している。
補足:35mm判フルサイズ換算とは?
レンズのスペック表を見ていると、焦点距離に「35mm判換算」という文言が表記されていることに気付くだろう。これはレンズが持つ焦点距離を35mm判フルサイズ規格のカメラで使用した場合の焦点距離に換算して表記したものだ。
なぜこのような表記が焦点距離の項目に併記されているのか?
それは、銀塩フィルムの時代からカメラを長く使い続けた世代からすると、当時主流だった35mm判フィルムと同等の撮像面積を持つ35mm判フルサイズ規格の焦点距離が画角を見極める際の基準となっているからだ。また、フルサイズ規格のデジタルカメラを主に使用している人にとってもこれは同様だ。
つまり、35mm判フルサイズに換算した場合の焦点距離も併記しておけば、それらのカメラを主力の機材として使用している人もレンズで使用できる画角が把握しやすくなるというわけだ。
ただし、これはセンサーサイズの異なる複数のカメラシステムを併用する人の場合に限った話。マイクロフォーサーズ(MFT)規格のミラーレスカメラだけを主に使用していくのであれば、取り立てて気にかける必要はないだろう。
ちなみに、マイクロフォーサーズ規格では、レンズの焦点距離を2倍すれば35mm判フルサイズ規格と同等の画角が得られる焦点距離に換算できる。
例えば、MFTで焦点距離25mmのレンズは、フルサイズ換算だと50mm相当の画角を持つ標準レンズになる、という感じだ。参考に覚えておくといいだろう。
F値(絞り値)
F値とはレンズの焦点距離を有効口径で割った数値であるが、簡単に言うと、レンズの明るさを決める数値のこと。レンズ内にある絞りという機構が深く関わっていることから、絞り値という名称でも呼ばれている。
画像を記録するためにはレンズからイメージセンサーへ光を通す必要がある。その際、絞りで光を通す穴のサイズを調整することで、取り込む光の量をコントロールしているのだ。
レンズのF値が小さくなるほど絞りが大きく開き、一度に多くの光を取り込めるようになる。これによって暗いシーンでも十分な光量を取り込めるので、夜景や暗い室内でも画面全体に光が十分に回った鮮明な写真が撮れるようになる。また、F値が小さくなるほどピントが合う範囲(被写界深度)が狭くなるので、背景や前景が大きくボケやすくなる性質も持っている。
逆に、F値が大きくなるほど絞りが小さく閉まり、取り込める光の量が制限される。これによって低速シャッターが利用できるので、滝や人混みなどの動きをぶらしながら撮影するなどの動感表現が使えるようになる。また、F値が大きくなるほど被写界深度が広くなるので、画像の手前から奥までピントを合わせたパンフォーカス撮影がしやすくなるという特性も持っている。
F値は人間の目と同じ明るさとなるF1.0が起点になっている。そこからF1.4、F2.0、F2.8、F4.0…というように√2倍ずつ上昇していき、数値が上がるほどイメージセンサーに取り込む光の量は減っていく。
開放F値(開放絞り値)
レンズの名称などに表記されるF値は開放F値(開放絞り値)というもので、「そのレンズで使用できる最小のF値」を示している。その数値よりも絞りを開けることはできないので、綺麗な夜景の写真や大きなボケ味の写真を撮影したい場合は注意して見ておこう。
ズームレンズでは「14-42mm F3.5-5.6」というように表記されている場合が多い。これは「広角端14mm時の開放F値はF3.5で、望遠端42mm時の開放F値はF5.6」ということを意味するのだが、望遠側にシフトするほどレンズが取り込める光量は減少するため、暗所では利便性が低下し、ボケの大きさも小さくなる。
ちなみに、先述したM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROのように、中上級者向けのものにはズーミングしても開放F値が変化しないレンズも存在する。これらのレンズは高価だが、使用する焦点距離に関わらず一定の光量が確保できるため、暗所でもクオリティの高い写真が撮影でき、大きなボケ味も期待できる。
大口径レンズ
開放F値が小さめに設計されているレンズのことを大口径レンズと呼ぶ。F値にかなり余裕があるので、暗所撮影やボケ撮影が難なくこなせることはもちろん、被写体の動きを完全に写し止めるのに必須となる高速シャッターが使用できるので動物や鉄道などの撮影でも重宝する。
レンズの種類に応じて「大口径」の冠が付く条件は微妙に異なる。ズームレンズの場合はズーム全域で開放F2.8以下のものを、単焦点レンズの場合は開放F2以下のものを目安として見ていけばいいだろう。
最短撮影距離
最短撮影距離とは、イメージセンサーを基点として、ピント合わせのために最低限確保しておく必要のある被写体との間合いのこと。この間合いよりも内側では、AFやMFなどの合焦方式に限らず、どうやっても狙った被写体にピントが合わせられなくなってしまうので注意が必要だ。
最短撮影距離が短いレンズは「寄れるレンズ」とも言われるが、被写体との間合いを縮めても合焦状態を維持しながら撮影できるので、構図選択のバリエーションが増やせる。逆に、最短撮影距離が長いレンズだとピント合わせに必要な間合いが大きくなるため、被写体に大きく接近することができず、撮影できる構図のバリエーションも限られてしまうのだ。
ちなみに、「寄れるレンズ」の目安としては次の通り。広角レンズの場合は最短撮影距離が25cm以下のもの、標準レンズの場合は30cm以下のもの、望遠レンズの場合は50cm以下のものがおすすめだ。
ワーキングディスタンス
ワーキングディスタンスも最短撮影距離と同様、ピント合わせのために最低限確保しておく必要のある被写体との間合いを示している。異なるのは基点となる位置で、ワーキングディスタンスではレンズの先端部から被写体までの距離が測られる。

このワーキングディスタンスは、花に止まる昆虫の撮影などある程度の間合いを取る必要のある撮影で主に使われる。レンズの先端からどのくらいの距離にピントが合うかが事前に分かっていれば、被写体を狙う際にピントを合わせるために過剰に接近する必要がなくなる。結果的に被写体を逃さず撮り収めることができるようになるのだ。
最大撮影倍率
最大撮影倍率とは、最短撮影距離まで近付いて撮影した際のイメージセンサーに写された像の大きさと実際の被写体の大きさの比率のこと。レンズが持つ接写性能の高さを示す目安としても使われている。
最大撮影倍率は「0.25倍」や「1:4」というように表記される。「1.0倍」(または「1:1」)だと、1cm四方の被写体を接写した場合、イメージセンサー上にも1cm四方の像として写し出される。最大撮影倍率が半分となる「0.5倍」(または「1:2」)では、イメージセンサー上には0.5cm四方の像が写し出される。
つまり、最大撮影倍率の数値が大きくなるほどイメージセンサー上に被写体を大きく写し出せるので、花や小物などの接写を行う際に迫力のある画像が撮影できるというわけだ。そのため、フラワーフォトやテーブルフォトの撮影で画面に対してなるべく被写体を大きく写したい場合は最大撮影倍率が大きなレンズを選ぶといいだろう。
ちなみに、最大撮影倍率が1.0倍以上のレンズをマクロレンズ、0.5倍以上のレンズをハーフマクロレンズと呼ぶ。 ただし、一般的なレンズの場合は最大撮影倍率が0.3倍以上あればマクロ撮影で不便さはあまり感じないので、基本的には0.3倍以上を目安にするといいだろう。
なお、マイクロフォーサーズ(MFT)規格のミラーレスカメラは、より面積の大きなイメージセンサーを搭載するAPS-Cやフルサイズのものよりも接写に強いと言われている。焦点距離と同じ倍数が最大撮影倍率にもかかるため、MFTで最大1倍のマクロレンズでは、フルサイズに換算すると最大2倍相当の拡大撮影が可能だ。
つまり、同じ大きさの被写体を同じ最大撮影倍率のレンズで撮影する場合、MFT規格のカメラやレンズの方がより大きく撮影できるということになる。
手ぶれ補正機構の有無
手ぶれとは、腕や体の微細な振動がカメラに伝わり、撮影時にそれらが画像に反映されることで画像が不鮮明に写ってしまう現象のことだ。初心者が失敗写真を量産してしまう主な原因の1つとなっている。
最近のミラーレスカメラには、ボディ内手ぶれ補正機構を搭載している機種が多い。手ぶれの方向とは逆にイメージセンサーを動かして相殺することで手ぶれを抑えられるので、初心者でも簡単に安定した鮮明な写りの画像が撮れるようになっている。
しかし、望遠側の焦点距離になるほど補正効果が反映されにくくなる弱点があるのがボディ内手ぶれ補正機構の難点。だが、手ぶれ補正機構が搭載された交換レンズをカメラのボディ内手ぶれ補正機構と併用できれば、相乗効果によって補正効果がさらに向上できる。400mmを超える超望遠域の撮影でも手ぶれを抑えつつ安定したフレーミングで撮影が可能になるのだ。
2025年5月現在、OM SYSTEM(旧オリンパス)純正のマイクロフォーサーズ用交換レンズには、手ぶれ補正機構を内蔵したレンズが6本提供されている。旅行先でより確実に手ぶれを抑えたい場合や、野鳥や飛行機などの撮影を楽しみたい場合は、レンズ内手ぶれ補正機構を搭載した交換レンズを選ぶといいだろう。
グレード
グレードとは、レンズを製造しているメーカーの中でそのレンズが位置付けられているランクのこと。各社によってグレードの分け方は異なるが、概ねレンズの高級感や性能に応じて2〜4種類に分けられており、グレードごとに独自のブランドが付けられていることが多い。
例えば現在のOM SYSTEMでは、自社のマイクロフォーサーズ用交換レンズを2種類のグレードに分けている。高画質と高機能をリーズナブルな価格で実現したコスパ重視の「M.ZUIKO」と、最高クラスの画質と強力な耐候性を備えたプロ向けの「M.ZUIKO PRO」(通称:PROレンズ)だ。
ちなみに、OM SYSTEMでは「M.ZUIKO PRO」グレードのレンズにのみ、レンズの名称に「PRO」の銘が入っている。
基本的には、PROの銘があるレンズの方がないものより価格が高くなるが、比例して画質や機能性も上がっていく。グレードを目安として、予算や目的に応じて自分が必要とするレンズを選ぶのがいいだろう。
なお、旧オリンパス時代はこれら2つのグレードの他に、小型軽量で高画質な単焦点レンズシリーズの「M.ZUIKO PREMIUM」というものも存在した。しかし、OM SYSTEMにブランド名を変えた現在では、これらのレンズは「M.ZUIKO」グレードに吸収される形で含まれている。
旅行には高倍率ズームレンズ・標準単焦点レンズ・+αレンズのトリオがおすすめ!
ここまで見てきたように交換レンズには様々な種類がある。マイクロフォーサーズ(MFT)規格のミラーレスカメラ用のものだけ見ても、サードパーティ製を含めて120本以上の交換レンズが提供されている。(2025年5月現在)
それぞれ得意とする被写体やシーンが異なるので、それらの中から旅行に最適な交換レンズを選ぶのは初心者の方にとって至難の業だろう。
だが、心配は無用!
結論から伝えると、旅写真の撮影には「高倍率ズームレンズ」と「標準単焦点レンズ」の組み合わせがおすすめだ。さらに、目的に応じた「+αレンズ」をそれらに付け足しトリオで臨めば、大半のシーンでより満足感の高い撮影が楽しめる。
まずは、それぞれどんなレンズなのかを詳しく見ていこう。
高倍率ズームレンズとは?
高倍率ズームレンズとは、ズーム倍率が5倍以上あるズームレンズのこと。レンズ1本だけでダブルズーム2本分以上の焦点距離をカバーできるという特徴を持っている。
高倍率ズームレンズの魅力
高倍率ズームレンズは広角から望遠まで幅広い焦点距離を1本のレンズだけで使えるので、旅先で出会うあらゆる被写体やシーンに柔軟に対応できる。
例えば、広角側の焦点距離で街角のスナップ撮影をしている際に遠くで珍しい鳥を見かけたような場合でも、高倍率ズームレンズならば望遠レンズに交換をすることなく目的の被写体を大きく引き寄せて撮影できる。ダブルズームの場合は被写体ごとにレンズを交換しなければいけないので、その間にシャッターチャンスを逃してしまう恐れがある。
また、レンズ交換時はイメージセンサーが露出するのでゴミやホコリが侵入しやすくなるというリスクがある。それらがイメージセンサーに付着すると画像にはその部分が影として写ってしまうので厄介だ。しかし、高倍率ズームレンズを使用する場合はレンズ交換の頻度が減るので、必然的にゴミやホコリが侵入するリスクも減少する。
高倍率ズームレンズの弱点
ここまで見ると高倍率ズームレンズは万能レンズのように思うかもしれないが、弱点もちゃんと存在する。一般的なモデルは、望遠側へズーミングするほど開放F値が大きくなるので、多くの光量を必要とする暗所での撮影や高速なシャッター速度が必要な動体撮影はやや苦手なのだ。
ただ、全体的に考えれば、高倍率ズームはとても使い勝手の良いレンズだ。OM SYSTEMのラインアップ中で旅行用や登山用として特に人気の高いOM-5でも、キットレンズの1つとして高倍率ズームレンズが同梱されている。
標準単焦点レンズとは?
標準単焦点レンズの前に、まずは単焦点レンズそのものについて解説しておこう。
単焦点レンズの基礎
単焦点レンズとは、1種類の焦点距離のみに対応する交換レンズのこと。ズームレンズではズームリングを回すことで焦点距離を自由に変更できるが、単焦点レンズではズーム機能が搭載されていないため焦点距離を変えて複数の画角を使い分けることができない。
一見不便なレンズと思うかもしれないが、単焦点レンズにはズームレンズにはないメリットがある。それは、圧倒的に低い開放F値だ。
ズームレンズの場合は一般的なもので開放F値がF3.5から、高級レンズの場合でもF2.8からスタートする。対して、単焦点レンズは開放F値がF2.0以下のものが一般的で、中にはF1.2やF0.95など別次元の明るさを持つレンズも存在する。
つまり、単焦点レンズでは、圧倒的に低い開放F値によって、綺麗な夜景の画像や大きなボケ味の画像、高速に動く乗り物や動物の画像などを有利に撮影できるのだ。
また、写真の撮影スキルを上達しやすいという魅力も単焦点レンズにはある。ズームに一切頼れない分、単焦点レンズを使った撮影では、イメージに近い構図を探すために自分のフットワークを生かして動く習慣を身に付けられる。結果的に便利なズームレンズだけを使い続ける場合よりも上達速度が段違いに上がるのだ。
また、ズームレンズと比べてとても小型軽量でかさばらないのも単焦点レンズのメリット。持ち運びが苦にならないので、高倍率ズームレンズとも組み合わせやすい。普段は高倍率ズームレンズを使い、ここぞという時に単焦点レンズに換装するという運用が旅行先でも簡単にできるのだ。
標準単焦点レンズの魅力
ここで標準単焦点レンズに話を戻そう。
標準単焦点レンズとは、焦点距離25mm前後の標準域を採用する単焦点レンズのことを指す。普段の視野に近い範囲を自然な遠近感で撮影できるという特徴を持っているため、旅行先で出会った被写体を忠実に再現して伝えるのに秀でている。
標準単焦点レンズは高倍率ズームレンズとは真逆の性質を持っている。双方の弱点を補い合う存在なので、コンビとしても組ませやすい。また、遠近感やボケ味など描写のクセが少ないため、初心者でも比較的扱いやすいというメリットもある。
旅行先で高倍率ズームレンズと一緒に持ち歩くのに、標準単焦点レンズはこれ以上はないパートナーだと言える。
+αレンズとは?
+αレンズとは、撮影した被写体やシーンに応じてコンビに追加する最適な交換レンズのこと。高倍率ズームレンズと標準単焦点レンズの2本以外から選んだものが該当する。
+αレンズのススメ
+αレンズは特定のレンズを指すものではない。
高倍率ズームレンズや標準単焦点レンズのコンビとは別に選んだその1本こそが、ここでいう「+αレンズ」になる。
つまり、旅行での主な撮影目的に応じて+αレンズの中身は変わっていくのだ。
例えば、旅行先の風景や夜景をより広くダイナミックに撮りたい場合は、広角ズームレンズを選ぶ。旅程中で寄る予定の自然公園で花や昆虫を画面一杯に大きく記録したい場合は、中望遠マクロレンズを選ぶという感じだ。
+αレンズには決まり事や基準がないため、高倍率ズームレンズや標準単焦点レンズのコンビとは別に、旅行の主目的に応じて最適な1本を自由に選んで追加すればいい。
+αレンズを加えるメリット
旅行、特にLCCを使った海外旅行では持って行ける機材の重量や数がかなり制限される。カメラ2台に、広角・標準・望遠の大口径ズーム、単焦点レンズ数本という機材フルセットで渡航しようものなら、あっという間に重量オーバーになるだろう。
しかし、高倍率ズームレンズや標準単焦点レンズのコンビに、+αレンズを加えた3本だけという最小限の機材構成ならば、LCCの重量制限もクリアしやすくなる。小型軽量なレンズが多いマイクロフォーサーズ(MFT)規格ならなおさらだ。
最小限の機材構成であってもこの組み合わせなら、旅行先で出会う大半のシーンや被写体をカバーできるのはもちろん、主な目的とする撮影対象にもしっかりと対応できる。身軽に動ける機動力を維持したまま撮影での対応力を高く確保できるというわけ。
重量制限のあるLCCを利用するから…と、旅行先で自分が本当に撮りたいものを諦める必要はなくなるのだ。
レンズトリオの使い分け例
旅行先に持って行くレンズトリオを運用しやすいように、実際の使い分け例を最後に挙げておこう。
目的地に着いたら、最初は高倍率ズームレンズをカメラに装着しておく。このレンズは主に初めて訪れる場所での観光や、日中の屋外での撮影に使用する。1本で複数の画角をカバーできるという対応力の高さを生かせば、多彩なシーンに柔軟に対応できる。
屋内や夕方以降の撮影では、標準単焦点レンズに換装する。高倍率ズームレンズの弱点をしっかり補えるので、暗いシーンでも鮮明に記録できる。また、よりボケを作りやすい性質も備えているため、撮影表現の幅も大きく広げられる。
そして、上記以外のシーンで主に撮影した被写体が他にある場合は、+αレンズの出番だ。旅のハイライトが綺麗な星空なら大口径の広角単焦点レンズを、サファリツアーで野生動物と出会うなら超望遠ズームレンズを1本選んで持って行こう。
このような運用方法で旅行撮影に臨めば、3本の交換レンズだけでも主目的も含めた大半の被写体やシーンに十分に対応できる。
OM SYSTEM/オリンパスの純正レンズから選ぼう!
ミラーレスカメラに使用する交換レンズを選ぶ場合は、できるだけカメラと同じメーカーが製造した純正レンズを選ぶのがおすすめだ。
OMシリーズやPENシリーズのカメラのユーザーなら、同じくOM SYSTEM(旧オリンパス)製の純正レンズから選んだ方が断然いい。
その理由は次の3点になる。
- AFが問題なく動作できる
- 特殊機能が制限なく利用できる
- トラブル時も円滑にサポートが受けられる
順に解説していこう。
純正品をおすすめする理由①:AFが問題なく動作できる
カメラメーカー純正の交換レンズを選ぶメリットの1つ目は、動作に支障なくAFがしっかり使えること。
マイクロフォーサーズ(MFT)規格では対応する120本以上の交換レンズが提供されているが、その中にはAFに対応していないMF専用レンズも少なくない。(2025年5月現在)
MF専用レンズでは当然ながらAFを使用できないため、ピント合わせの操作や感覚にある程度慣れていないと円滑に撮影を進めることはできない。特に、スポーツや乗り物など動く被写体の撮影を行うのは至難の業になるだろう。
AFに対応した交換レンズの場合でも、所有するカメラとは別のメーカーの製品を選ぶ場合も注意が必要だ。
MFTは複数のメーカーが賛同する統一規格のため、同じ規格同士なら異なるメーカーが作ったカメラとレンズでも装着して使用できる。ただし、純正品同士を組み合わせる場合と違って、一部の機能が制限される場合もある。
その1つがAF動作だ。
LUMIXを手掛けるパナソニックはMFT規格のミラーレスカメラも取り扱っているが、つい最近までコントラストAFにのみ特化した製品を開発していた。
そのため、最新機種やOM SYSTEM機のように像面位相差AFに対応したカメラでは、AF動作が完全に噛み合わないリスクがある。つまり、カメラ側の高速性能を生かし切ることができず、AF動作に不自由を感じることがあるのだ。
純正品をおすすめする理由②:特殊機能が制限なく利用できる
OM SYSTEMのカメラには特殊機能が多数搭載されている。どれもとても便利なので僕も普段から積極的に活用している。
ところが、他社製の交換レンズを使用した場合、それら特殊機能の一部が使えなくなる場合があるので注意が必要だ。
具体的には、星空AFとプロキャプチャーモードが該当する。
星空AFとは、AFで星へのピント合わせが可能になる機能のこと。本来はMFで細かくピントを追い込んでいくのだが、OM SYSTEM機ではAFで手軽に合焦できる。
プロキャプチャーモードとは、レリーズボタンを押す直前から記録を始めて撮影後に時間を遡れるプリ連写機能のこと。鳥の飛び立ちや落雷など人間の反応速度では対応するのが難しいシーンでもベストな瞬間のショットが簡単にものにできる。
どちらも便利な機能だが、使用できるのは原則的にOM SYSTEM製のマイクロフォーサーズレンズを装着している場合のみに限定されている。
また、OM SYSTEMが最近目玉にしている機能の1つに、コンピュテーショナルフォトグラフィ(CP)機能というものがある。
これは、本来はパソコンを使わなければ実現できないような高度な撮影技法がカメラ側だけで完結できるというもの。ライブコンポジット・深度合成・ハイレゾショット・ライブND・ライブGNDなどの機能が該当する。
この中で注意が必要なのが深度合成だ。
深度合成とは、手前から奥までピントをずらしつつ撮影した画像グループをカメラ内で合成することで、パンフォーカス撮影を再現する機能のこと。特殊なレンズを使わなくても画面の広範囲をまとめて合焦できるため、花や昆虫のマクロ撮影のほか、最近では風景撮影に活用するユーザーも増えている。
ただ、この深度合成、実は対応するレンズがかなり限られている。
他社製レンズでは利用不可なのはもちろん、同じOM SYSTEM製のものであっても、対応するのはPROレンズ・マクロレンズ・一部の超望遠ズームレンズのみに限定されている。
そのため、これらの特殊機能を存分に活用したい場合は、OM SYSTEM製の交換レンズから厳選する必要があるのだ。
純正品をおすすめする理由③:トラブル時も円滑にサポートが受けられる
OM SYSTEMの純正レンズを使っていれば、万一のトラブル時も点検や修理などのサポートが受けやすくなる。
対応が必要なトラブルが発生しても、八王子にある修理センターにレンズをカメラごと送るだけで適切な処置がスムーズに受けられるだろう。
ただし、他社製の交換レンズを使う場合はそう上手くはいかない。
OM SYSTEMのカメラ本体は修理センターで対応してもらえるが、一緒に使っていた他社製のレンズはその開発元で別に対応してもらうことになる。
点検や修理に出す手間が1つ余計に増えるし、費用もより嵩むことになるだろう。
また、単に安いからといって、マイクロフォーサーズ(MFT)規格の公認を受けていないメーカーのレンズを使ってトラブルが発生した場合、最悪修理を受けられなくリスクも十分に考えられる。
修理を受けられたとしても費用は高額になるだろう。
カメラ本体と交換レンズの両方を長く大切に愛用していきたいなら、できるだけカメラと同じメーカーの純正品から選んで使うことを強くおすすめする。
まぁ、純正レンズのラインアップだけでは対応しきれないこともあるので、そういう場合は最低でもMFT規格の公認を受けた交換レンズを選ぼう。

初心者におすすめの旅行向け高倍率ズームレンズ
まずは、最初の1本としておすすめな高倍率ズームレンズを紹介していく。1本だけで広角から望遠まで幅広い焦点距離をカバーできるのが魅力だ。
なお、選ぶ際の目安としては次の通りになる。
- 携帯性を最重視したい方 → M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II
- ズーム倍率は高いほどいい方、動画も撮りたい方 → M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II ★
- 幅広い被写体やシーンに対応できる10.7倍の高倍率ズーム
- 重さわずか285gという軽量コンパクト設計
- 望遠端でも33cmまで寄れる優れた近接撮影性能
- アウトドアでも安心の防塵・防滴性能
OM-5のキットズームとしても人気のある高倍率ズームレンズ。広角端14mmから望遠端150mm(フルサイズ換算:28-300mm相当)までカバーしながら、重さわずか285g、全長83mmと軽量コンパクト。風景から街中でのスナップ撮影、さらには中距離以上のポートレートや猫の撮影も1本だけで幅広くこなせるので利便性がとても高い。
近接撮影性能が高いのもポイント。望遠端150mmでもワーキングディスタンスが33cmと短く、最大撮影倍率が0.22倍(フルサイズ換算:0.44倍相当)と高いので、望遠マクロレンズの代わりとして花や昆虫の接写も楽しめる。
優れた防塵・防滴性能を備えているのもポイント。鏡筒内の各所に密封シーリングが施されており、激しい豪雨や砂埃が舞う中でも故障を恐れず撮影に没頭できる。(ただし、温度差で生じる結露には注意!)


M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
- 圧倒的なズーム比を誇る16.6倍の超高倍率ズーム
- 広角端で10cmまで寄れる驚異の近接撮影性能
- ピント変更による画角変動が少なく、動画用レンズとしても優秀
- アウトドアでも安心の防塵・防滴性能
「隠れPROレンズ」とも評される高画質な防塵・防滴仕様の超高倍率ズームレンズ。ミラーレスカメラ用の交換レンズの中で最高倍率となる16.6倍ズームを搭載しており、広角端12mmから望遠端200mm(フルサイズ換算:24-400mm相当)までを1本だけでカバーできる。風景や街並みをよりダイナミックに撮影できることに加えて、野生動物や飛行機の撮影にも挑戦できるポテンシャルの高さを持っている。
近接撮影性能も優秀。ワーキングデイスタンスが広角端で10cm、望遠端で50cmとかなり短めに設計されている。最短撮影倍率も望遠側では0.23倍あるので、望遠マクロレンズの代わりとしても活用できる。
ピント位置を変えても画角変動(フォーカスブリージング)が少ないのも特徴。通常のレンズはピント位置を変更すると写る範囲が若干変わってしまうのが難点だが、本レンズにはその影響がほとんどない。動画の撮影でピント位置を変更しながら記録する際などに重宝する。


初心者におすすめの旅行向け標準単焦点レンズ
続いて紹介するのは標準単焦点レンズ。ズーム機能には対応していないが、暗いシーンや動きの速いシーンに強く、豊かなボケ表現も手軽に楽しめる。
加えて、画角が人間の普段の視野に近く、遠近感などの描写も自然のため、ここぞという時に使うとっておきとして役立つ。クセが少ないので初心者でも比較的簡単に使いこなしやすく、高倍率ズームレンズの相棒としても最適だ。
なお、選ぶ際の目安としては次の通りになる。
- 少し広めに撮りたい方 → M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
- 汎用性の高さを重視したい方 → M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II
- テーブルフォト撮影も積極的に楽しみたい方 → M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro
性質が比較的近いことから、厳密には広角レンズの一種に含まれる焦点距離17mmの交換レンズも、本記事では「標準単焦点レンズ」として分類している。
M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II ☆
- 最初の単焦点レンズにおすすめ!
- 眼前の景色をラフに切り撮れる準広角
- 開放F1.8がもたらす高い表現力
- 高級感溢れるデザインの金属鏡筒
- アウトドアでも安心の防塵・防滴性能
主にスナップ撮影で強い人気を持つ大口径準広角単焦点レンズの改良モデル。景色を漠然と眺めているときの視野に近い17mm(フルサイズ換算:34mm相当)の画角が得られるのが特徴で、街中の散策時などはこちらの方が感覚的にしっくりくる場合が多いことから「もう1つの標準レンズ」とも言える。25mmの標準レンズでは画角に少し窮屈さを感じる方にもおすすめだ。
開放F値がF1.8と明るいのもポイント。暗所での撮影に強いので旅先での夜景やナイトスナップ撮影にも最適だ。また、背景を広く取り込んだ人物のポートレート撮影にもおすすめで、背景も適度にボカせるので旅先で印象的な記念写真が楽しめる。さらに、最短撮影距離も25cmと短いので、テーブル上に置いた料理や雑貨の全体像を写す場面でも重宝する。
高級感溢れるデザインの金属鏡筒も魅力。触れたときの「ヒヤッ」とする金属特有の質感も撮影を盛り上げてくれること間違いなしだ。さらに、II型へのリニューアルの際に、旧型と違って防塵・防滴構造を採用した点にも注目。登山やキャンプなどのアウトドアシーンでも気兼ねなく使えるように進化している。


新旧モデルの違いについては、以前投稿したこちらの記事を参考にしてほしい↓
【徹底解説】OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II! 旧型との違いは?買い替えるべきか?
撮影できる画像の画質自体は新旧モデルで全く同じなので、必要な機能や予算に応じて選んでもらうといいだろう。
旧型の方を購入する場合はこちら↓
M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II ☆
- 最初の単焦点レンズにおすすめ!
- 汎用性の高い標準画角
- 開放F1.8がもたらす高い表現力
- アウトドアでも安心の防塵・防滴性能
入門用の単焦点レンズとしても最適な汎用性の高い大口径標準単焦点レンズ。 25mm(フルサイズ換算:50mm相当)の画角は人間が対象物に軽く注意を向けたときに近い視野と自然な遠近感で撮影できるため古くから「標準画角」として愛されてきた。また、被写体から距離を置けば広角的に表現でき、逆に寄れば望遠的にも表現できることから、幅広いシーンの撮影に活用できるのも人気の理由だ。
開放F値がF1.8と明るいのもポイント。暗所での撮影に強いので旅先での夜景やナイトスナップ撮影にも最適だ。また、大きく綺麗なボケ味が得られることと最短撮影距離が25cmと短いことも魅力。親しい人やペットのポートレート、テーブルフォト、スナップなど、幅広いシーンで活躍できる。
II型へのリニューアルの際に防塵・防滴構造が採用された点にも注目。加えて、鏡筒の材質も金属へ変更されたことで、耐久性や信頼性も向上している。旧型と違ってアウトドアでも安心して使えるように改良されている。


新旧モデルの違いについては、以前投稿したこちらの記事を参考にしてほしい↓
【徹底解説】OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II! 旧型との違いは?買い替えるべきか?
撮影できる画像の画質自体は新旧モデルで全く同じなので、必要な機能や予算に応じて選んでもらうといいだろう。
旧型の方を購入する場合はこちら↓
M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro ★
- 最初の単焦点レンズにおすすめ!
- テーブルフォトで扱いやすい標準域の画角
- 実物よりも大きく写せる驚異のマクロ撮影性能
- 気軽に購入できるサービス価格
テーブル上に置いた料理や花、小物の撮影に最適な標準マクロ単焦点レンズ。マクロレンズというと扱いがやや難しいイメージがあるかもしれない。しかし、本レンズは30mm(フルサイズ換算:60mm相当)という標準画角に近い焦点距離が得られるので、初心者にも使いやすいのが特徴だ。
マクロレンズの中でハイレベルとなる1.25倍(フルサイズ換算:2.5倍)の最大撮影倍率を持つのもポイント。小さな被写体も画面一杯に実寸よりも大きく写せるので、肉眼では捉えられないミクロの世界をより大迫力に楽しめる。最短撮影距離もわずか9.5cmなので、テーブルフォトの撮影では引きも寄りもスムーズにこなせる。
コストパフォーマンスの高さもポイント。ハイレベルのマクロ撮影性能を備えているにも関わらず、実売で3万円を切る低価格で入手できるので、入門用のマクロレンズとしてもおすすめだ。通常時は標準単焦点レンズとしても活用できる。


初心者におすすめの旅行向け+αレンズ
ここからはシーンや被写体ごとにおすすめの+αレンズを紹介していく。旅行での主な撮影目的に合わせて1本を選んで、高倍率ズームレンズや標準単焦点レンズと一緒に持って行くといいだろう。
なお、選ぶ際の目安としては次の通りになる。
- 風景・建築物向け → M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 II
- スポーツ・飛行機・動物園向け → M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II
- 飛行機・野生動物・野鳥向け → M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II
- 夜景・星景向け → M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
- ネイチャー向け → M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
- スナップ向け → BCL-0980
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 II
- 超広角の描写が手軽に楽しめる
- 軽量コンパクトで持ち運びやすい
- リーズナブルな価格設定
肉眼の視野を超えた広範囲が写せる超広角ズームレンズ。超広角9mmから準広角18mm(フルサイズ換算:18-36mm相当)という広大な画角が利用できる。遠近感の誇張を活かした表現も得意としているため、旅行先の風景をダイナミックに記録したい場合や、教会や広間などを実際より広く見せたい場合にも有効だ。
重さ154gと軽量に設計されているのもポイント。加えて、沈胴構造の採用によって、撮影での使用時以外は鏡筒を全長わずか49.3mmまで短く縮めて収納できる。カメラや他のレンズと一緒でも持ち運びが苦にならないので、広大な風景や巨大な建築物を記録するための+αレンズとしても使いやすい。
本レンズはOM SYSTEM純正の超広角ズームレンズとしては価格が安い。初心者でも気軽に試しやすい価格帯で提供されているので、超広角レンズの入門用としてもおすすめだ。


M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II
- 超望遠の描写が手軽に楽しめる
- 軽量コンパクトで持ち運びやすい
- リーズナブルな価格設定
離れた位置にある被写体を迫力たっぷりに記録できる超望遠ズームレンズ。望遠75mmから超望遠300mm(フルサイズ換算:150-600mm相当)をカバーしており、ダブルズームの望遠レンズと比べて最大2倍の望遠効果が利用可能だ。屋外スポーツや動物園での撮影に重宝するほか、飛行機の撮影にも挑戦できる。
重さわずか423g、全長116.5mmと軽量コンパクトで持ち運びやすいのも魅力。フルサイズ用だと最大600mm相当の超望遠レンズは重量が2kgを優に超えてしまうことを考えると、このレンズの機動性の高さが理解できるだろう。旅行先でも軽快なフットワークを活かして超望遠撮影を楽しみたい方におすすめだ。
超望遠ズームレンズとしては驚くほど価格が安いのも本レンズが人気の理由。初心者でも気軽に入手しやすいので、入門用の超望遠レンズとしてもピッタリだ。


M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II ☆
- 本格的な超望遠撮影が存分に満喫できる
- 機動性と操作性に優れたデザイン
- 超望遠撮影に役立つ充実したサポート機能
- 純正テレコンでさらなる望遠化が可能
- アウトドアでも安心の防塵・防滴性能
機動性に優れた設計もポイント。三脚座を含めても重量は1300g、全長は205.6mmと、800mm相当の超望遠ズームレンズとしては比較的軽量コンパクトに仕上げられている。また、三脚座の着脱機構などの操作性も細かい部分まで使いやすく設計されているので、超望遠撮影の初心者でも慣れやすくなっている。
超望遠域の作品撮りに欠かせない機能が充実している点にも注目。手持ちでも安定した超望遠撮影を実現する手ぶれ補正機構や、狙った距離にAF動作を効率化できるフォーカスリミッターなどが搭載されている。
さらに、本レンズはOM SYSTEM純正のテレコンバーターにも対応している。1.4倍テレコンと併用すると最長1120mm相当に、2倍テレコンだと最長1600mm相当までの望遠化が可能だ。小さな野鳥をもっと画面内に大きく写したいというニーズにも応えられるようになっている。
信頼性の高い防塵・防滴設計が採用されているのも魅力。特に、防滴性能はIPX1のテストをクリアしているため、雨ざらしの状態でも気にせず撮影に没頭できる。野山や森林に分け入って撮影する野鳥を探し回る場合にも重宝するだろう。


旧型レンズの詳細なレビューはこちら↓
【レンズレビュー】OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS!超望遠域での飛行機と野鳥の撮影作例も公開
新旧モデルの違いについては、以前投稿したこちらの記事を参考にしてほしい↓
【徹底解説】OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II! 旧型との違いは?買い替えるべきか?
撮影できる画像の画質自体は新旧モデルで全く同じなので、必要な機能や予算に応じて選んでもらうといいだろう。
旧型の方を購入する場合はこちら↓
OM SYSTEM純正テレコンはこちら↓
M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 ★
- 超広角の入り口となるダイナミックな画角
- 夜景撮影で本領を発揮するF2.0の開放F値
- スナップショットフォーカス機構
- 高級感溢れるデザインの金属鏡筒とフード
風景や夜景をダイナミックに切り撮るのに最適な大口径広角単焦点レンズ。人間の両目の視野よりも少し広く、超広角の入り口となる12mm(フルサイズ換算:24mm 相当)の焦点距離が得られる。広大な画角で見渡す限りの風景をダイナミックに写せるのが特徴だ。被写体に接近すれば遠近感を活かした表現も楽しめる。
広角レンズとしては明るいF2.0の開放F値もポイント。OM SYSTEMの強力な手ぶれ補正機構と組み合わせれば、ナイトスナップも手持ちで楽しめるポテンシャルを持っている。また、広い画角と明るさを生かすことで夜景や星空風景(星景)の撮影にも活躍が可能。入門用の星景レンズとしても最適だ。
独自のスナップショットフォーカス機構にも注目。あらかじめピント位置を設定した上でフォーカスリングを手前に引くと、その位置に瞬時にピントが合うため、昔ながらの目測を使ったスナップ撮影スタイルが手軽に楽しめる。また、パンフォーカスも狙いやすいので、風景撮影にも重宝する。
高級感溢れるデザインの金属鏡筒とフードも魅力。特におすすめなのが別売りの角型金属フードだ。やや高価な品ではあるのだが、装着するとカメラとレンズの佇まいが戦闘モードに変貌するので写欲がふつふつと湧いてくる。


M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro ★
- 自然の草花・昆虫の撮影に重宝する中望遠の画角
- 本格的なマクロ撮影が楽しめる等倍の最大撮影倍率
- フォーカスリミッター付き
- アウトドアでも安心の防塵・防滴性能
ネイチャーフォトの撮影に最適な中望遠マクロ単焦点レンズ。60mm(フルサイズ換算:120mm相当)の画角が得られるのがポイントで、花に止まる昆虫などを狙う際も、適度な間合いを維持しながらも遠近感の圧縮効果によって大きく撮影できる。
最大撮影倍率は等倍(フルサイズ換算:2倍相当)。画像には被写体を実物と同じ大きさに写し出せるため、接近すれば迫力のあるマクロ写真が撮影できる。最短撮影距離も19cmと短いので、レンズの先端部すれすれまで接近できるのもポイントだ。
フォーカスリミットスイッチが搭載されているのもポイント。スイッチを任意の位置に合わせることでAFが駆動する距離の範囲を制限できるので、範囲外にピントが迷ってしまう動作を防げる。これにより、近接距離にいる昆虫だけにピントを合わせたいときなど、タイムロスのない効率的なAF操作が可能となっている。


M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8 ★
- スナップポートレートに最適な望遠の画角
- 最高クラスと評される極上のボケ味
- 高級感溢れるデザインの金属鏡筒とフード
最高クラスの描写性能を誇る大口径望遠単焦点レンズ。望遠の入り口となる75mm(フルサイズ換算:150mm相当)の画角が得られるのがポイントで、この画角は自然の草花やポートレートの撮影で多用される。また、自分の存在感を隠しつつ少し離れた場所にいる人物を撮影する際にも絶大なので、市井の人々の営みをありのままに記録する場合にも有効だ。
F1.8の明るい開放F値もポイント。綺麗な形の大きなボケが得られるので、夜景やイルミネーションを背景にしたポートレート撮影にも向いている。ちなみに、本レンズは上位シリーズであるM.ZUIKO PROレンズとほぼ同等の描写力を備えているため、本格的な作品撮りにも十分に対応できる。
スタイリッシュな金属製の鏡筒とフードを採用しているのもポイント。M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0と同様、高い質感のデザインを楽しめるので、本レンズをカメラに装着するだけで撮影のテンションも上がってくるだろう。


BCL-0980 (9mm F8.0 Fisheye) ★
- 魚眼のデフォルメ効果が手軽に楽しめる
- おもちゃとして侮れない高画質
- 気軽に試せる超サービス価格
魚眼のデフォルメ効果が手軽に楽しめる廉価な対角魚眼単焦点レンズ。本レンズはカメラのマウント部を保護するボディキャップに対角線画角140°の簡易魚眼レンズを埋め込んだもので、魚の目で覗いたように周囲の景色を大きく歪曲させつつ広く撮れるのが特徴だ。
撮影できる画像のクオリティはおもちゃと侮れないほど高い。ただし、F値がF8固定で変えられないため、暗所での手持ち撮影にはあまり向かないのが難点。とはいえ、明るい日中のスナップ撮影であれば十分すぎる画質の写真が期待できる。
魚眼レンズはそれほど使用頻度が高いレンズではないため、初めから何万円も投資するのは億劫かもしれない。しかし、本レンズの価格は実売で1万円台とお小遣いでも買えるので、入門用の魚眼レンズとしてもおすすめだ。


中上級者におすすめの旅行向けレンズ
ここからは中上級者向けに作られた「M.ZUIKO PRO」のレンズシリーズの中から、旅行におすすめの交換レンズを紹介していく。
大半のPROレンズはここまで紹介してきたモデルの上位互換になっている。「M.ZUIKO」シリーズと比べてやや値の張るものが多いが、旅行先での本格的な作品撮りにも十二分に活躍してくれる。
僕も現在の主力として愛用しており、価格に見合う以上の価値はあると断言できる。なので、中級や上級へのステップアップ時に是非とも選んでほしいと思う。
なお、選ぶ際の目安としては次の通りになる。
- 広角から望遠まで満遍なく使いたい方 → M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
- 広角域を重視したい方 → M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
- 少し広めに撮りたい方 → M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
- 汎用性の高さを重視したい方 → M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
- ユニークな画角を楽しみたい方 → M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO
- 鉄道・飛行機向け → M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
- スナップ・星景・水中向け → M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
- ネイチャー向け → M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO ★
- 全域で開放F4通しの8.3倍ズーム
- ワーキングディスタンス1.5cmの優れた近接撮影性能
- 最高7.5段分の補正効果を持つ5軸シンクロ手ぶれ補正に対応
- MFクラッチ機構とFnボタン
- 悪天候をものともしない優れた防塵・防滴・耐低温性能
PROグレードの称号を冠するマイクロフォーサーズ最強の高倍率ズームレンズ。フルサイズでいう24-70mm F4の標準ズームと70-200mm F4の望遠ズームを一本にまとめるというコンセプトで設計されている。このレンズを使いたいからという理由でMFTに乗り換えるユーザーも多くおり、「神レンズ」の名を欲しいままにしている名玉中の名玉だ。
561gの小型軽量ボディに広角端12mmから望遠端100mm(フルサイズ換算:24-200mm相当)の幅広い焦点距離をカバーする8.3倍の高倍率ズームを搭載しながらも、ズーム全域で開放F4通しを実現しているのが人気の理由。本レンズ1本だけで旅行先で出会うありとあらゆる被写体やシーンに対応できる。
近接撮影性能も優秀。ワーキングディスタンスは広角端でわずか1.5cm、望遠端でも27cmと極めて短い。また、最大撮影倍率も広角端0.3倍、望遠端0.21倍を確保しているので、ハーフマクロ撮影も十分にこなせる。
手ぶれ補正機構が内蔵されているのもポイント。カメラ側の手ぶれ補正機構と連動して働く「5軸シンクロ手ぶれ補正」にも対応するので、OM SYSTEMのカメラと組み合わせれば最高7.5段分の補正効果を叩き出す。1秒を超える超低速シャッターも手持ちで手ぶれすることなく撮り切れるので、夜間に走る車の光跡や滝の流れを絹のように滑らかに写す表現も難なく楽しめる。
MFクラッチ機構の採用によりMFへの変更が簡単なのも便利。フォーカスリングを手前に引くだけで即座にAFからMFへの移行がワンタッチでできる。AFで大まかにピントを合わせた後の微調整や置きピンによるピント位置の固定などに重宝する。また、任意の機能を割り当てられるファンクションボタンも搭載されている。
ちなみに、本レンズを含む、OM SYSTEMのPROグレードのレンズは全て優れた防塵・防滴・耐低温性能を持っている。撮影環境を選ばないので、過酷なアウトドアシーンでも撮影にとことん没頭したい方におすすめだ。


M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO ★
- 全域で開放F4通しの3.1倍ズーム
- 軽快なフットワークをサポートする小型軽量設計
- 先端にレンズフィルターが取り付けられる
- MFクラッチ機構とFnボタン
- 悪天候をものともしない優れた防塵・防滴・耐低温性能
広角側を重視した設計が採用されたPROグレードの高倍率ズームレンズだ。M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROと同じコンセプトで作られた兄弟レンズ的存在。広角域を多用するシーンで無双の活躍をする神レンズになっている。
ズーム倍率は3.1倍と超広角ズームレンズとしては高い。超広角8mmから標準25mm(フルサイズ換算:16-50mm相当)という幅広い画角を1本でカバーできるため、風景撮影はもちろん、観光や街歩きにも重宝する。加えて、ズーム全域で開放F4通しの明るさも備えているので、室内や黄昏時などのやや暗めのシーンにも有効だ。
高倍率ながら軽量コンパクトに設計されているのもポイント。本レンズには撮影時以外に鏡筒を縮められる沈胴機構が採用されており、全長88.5mmまで収納できるので携帯時もかさばらない。さらに、重量が411gと軽いため、旅行先で早朝から夕方まで1日を通して歩き回る場合にも重宝する。
先端に口径72mmのフィルターアタッチメントを搭載しているのも便利。目的に応じてPLフィルターやNDフィルターなどのフィルターを自在に取り付けられるので、フィルターを駆使したワンランク上の風景表現も楽しめる。
他のPROレンズと同様、MFクラッチ機構やFnボタンも完備。加えて、IP53というハイレベルな防塵・防滴性能や、-10℃での動作を保証する耐低温性能、水滴や汚れを弾くフッ素コーティングも施されている。


M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
- 眼前の景色をラフに切り撮れる準広角
- 開放F1.2がもたらす美しくにじむボケ
- 優秀な近接撮影性能
- MFクラッチ機構とFnボタン
- 悪天候をものともしない優れた防塵・防滴・耐低温性能
究極の描写性能を堪能できるPROグレードの超大口径準広角単焦点レンズ。風景を漠然と見たときに近い範囲が撮影できる17mm(フルサイズ換算:34mm相当)の画角で撮影できる。1本で風景からスナップ、ポートレート、料理、花まで多彩なジャンルの撮影に対応できるので、使い勝手の優れた最高画質のレンズを探している方にもおすすめだ。
F1.2という極めて明るい開放F値が使えるのも特徴。暗いシーンでも十分過ぎるほどの光量を確保できるので、夜景やナイトスナップの撮影でも大活躍してくれる。また、合焦部から外れるにつれて滑らかに溶ける「美しくにじむボケ」にこだわって設計されているため、極上のボケ味が堪能できる。
最短撮影距離が20cmと短いのもポイント。被写体に接近すれば、背景を広く取り込みつつぼかすという広角レンズならではの接写表現が楽しめる。テーブルフォトや自然の草花の撮影で活用しているプロも多い。
本レンズにもMFクラッチ機構と防塵・防滴・耐低温構造が搭載されている。また、レンズ鏡筒の側面には任意の機能を割り当てられるファンクションボタンも設置されているので、操作性に優れているのもポイントだ。


M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO ★
- 汎用性の高い標準画角
- 開放F1.2がもたらす美しくにじむボケ
- 優秀な近接撮影性能
- MFクラッチ機構とFnボタン
- 悪天候をものともしない優れた防塵・防滴・耐低温性能
究極の描写性能を堪能できるPROグレードの超大口径標準単焦点レンズ。人間が対象物に注意を向けた時に近い視野と自然な遠近感で撮影できる25mm(フルサイズ換算:50mm相当)の画角で撮影できるため、様々な被写体やシーンに対応できる汎用性の高さが魅力だ。
F1.2という極めて明るい開放F値が使えるのもポイント。マイクロフォーサーズはボケにくいと揶揄されることもあるが、本レンズはフルサイズ用レンズに匹敵する豊で大きなボケ味が得られる。また、ピント面から外れるにかけてとろけるように「美しくにじむボケ」が味わえるので、ポートレートや花の撮影などで被写体の立体感をさらに強調できるのも魅力だ。
兄弟レンズの17mm F1.2 PROと同様、本レンズも最短撮影距離が30cmと短い。加えて、最大撮影倍率が0.11倍(フルサイズ換算:0.22倍相当)と良好なので、花や雑貨などのテーブルフォト撮影にも大いに活躍する。
本レンズにもPROグレードレンズではおなじみのMFクラッチ機構と防塵・防滴・耐低温構造が搭載されている。また、レンズ鏡筒の側面には任意の機能を割り当てられるファンクションボタンも設置されているので、操作性に優れているのもポイントだ。


M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO
- 広角と望遠の間になるユニークな画角
- 開放F1.4による美しくにじむボケ
- 軽快に持ち歩ける小型軽量設計
- 悪天候をものともしない優れた防塵・防滴・耐低温性能
- リーズナブルな価格
ユニークな画角で新感覚のスナップ撮影が楽しめるPROグレードの大口径標準単焦点レンズ。20mm(フルサイズ換算:40mm相当)の画角を採用しており、自然な遠近感を保ちつつ標準レンズよりも少し広い範囲が切り撮れる。スナップ撮影との相性も良好なので、日常や旅行の記録を残すのにおすすめの1本だ。
開放F1.4の明るさを備えているのもポイント。F1.2シリーズで好評をだった美しくにじむボケも継承しているため、ポートレートやテーブルフォトなどボケの美しさが重要になる撮影にも役立つ。また、明るさを生かすことで、室内や夜間などの暗いシーンも手ブレを抑えた状態で鮮明に撮影できる。
携帯性にこだわった軽量コンパクト設計にも注目。重さ247g、全長61.7mmと、F1.2シリーズと比べて一回り以上も小さく軽いため、持ち運びが苦にならない。軽快なフットワークで旅行先での街歩きやスナップ撮影を楽しみたい場合にも重宝する。
これほど充実した性能を持ちながら、実勢価格が8万円程度に抑えられているのも本レンズの魅力。M.ZUIKO PROシリーズの単焦点レンズとしては安い価格で入手できるため、PRO単焦点レンズの描写を試したい方にも最適だ。


M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
- 望遠域で使用頻度の高い画角をカバー
- 全域で開放F2.8通しの明るさを実現
- 優秀な近接撮影性能
- 純正テレコンでさらなる望遠化が可能
- 悪天候をものともしない優れた防塵・防滴・耐低温性能
OM SYSTEMが誇る大三元ズームの1本であるPROグレードの大口径望遠ズームレンズ。多くのプロ写真家やハイアマチュアから長く愛用されている。
本レンズは中望遠40mmから望遠150mm(フルサイズ換算:80-300mm相当)という望遠域で使用頻度の高い画角カバーしている。対応する画角こそダブルズームキットの望遠ズームと同じだが、ズーム全域で開放F2.8の明るさを実現しているのが特徴。そのため、明るさの乏しいシーンでの撮影や、高速シャッターが必要な鉄道や飛行機など動く被写体の撮影にも難なく対応できる。
近接撮影性能が優れているのもポイント。ワーキングディスタンスがズーム全域で約50cmと短い。さらに、最大撮影倍率が0.21倍(フルサイズ換算:0.42倍相当)と高く、ハーフマクロレンズに迫るマクロ性能も備えている。自然の草花や昆虫などのネイチャー撮影も十分にこなせる。
OM SYSTEM純正のテレコンバーターでさらなる望遠化が可能なのも本レンズの魅力。1.4倍テレコンとの併用で112-420mm F4相当の、2倍テレコンとの併用で160-600mm F5.6相当の超望遠ズームレンズとして使用が可能になる。鉄道や飛行機などの撮影でより大きく画面に写すために望遠端を延ばしたい場合に重宝する。
MFクラッチ機構やFnボタンなどの便利機能も充実。また、ハイレベルな防塵・防滴・耐低温構造も完備しているので、過酷なアウトドアシーンでも頼りになる。


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M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO ★
- 肉眼を遥かに超えた対角180°の撮影画角
- 魚眼レンズとしては最高クラスの開放F1.8
- 周辺部でも星を点像で描写できる比類ない光学性能
- 専用アクセサリーで水中撮影にも対応
- カメラ側の設定で通常の超広角レンズとしても使用可能
新しい表現領域を切り開くPROグレードの大口径対角魚眼単焦点レンズ。本レンズはフルスペックの対角魚眼レンズのため、肉眼を遥かに超えた180°の対角線画角で撮影が可能だ。風景も夜景もより広い範囲をダイナミックに切り撮れる。
開放F値は魚眼レンズとしては最高クラスとなるF1.8。 明るさを生かして夜景やナイトスナップも手持ちで楽しめる。加えて、通常レンズは広角のものほどボケにくい性質があるのだが、本レンズは超広角レンズの一種でありながら背景を大きくボカすこともできる。
点像の復元性が高いのもポイント。星景写真の撮影では星を点像として写し出すことが求められる。本レンズは画面の周辺部でも点を点として描ける高い描写力を持っているため、星を自然な形状で記録できる。全天の星空を撮影する際の切り札としておすすめだ。
本レンズには専用の防水レンズポートも用意されている。カメラ用の防水プロテクターと併用すれば、水中でもデフォルメ効果を活かした広大な風景撮影が楽しめる。本格的なダイビング撮影でも主力として重宝するだろう。
ちなみに、OM SYSTEMのミラーレスカメラが搭載する「フィッシュアイ補正」機能を使えば、デフォルメ効果を抑えた通常の超広角レンズとしても活用可能だ。焦点距離は5.5mm、7mm、9mm(フルサイズ換算:11mm、14mm、18mm相当)の3段階から選べるので、超広角レンズを3本持ち歩いているのと同じような感覚で運用もできる。


M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO ★
- 昆虫や小動物の撮影に重宝する望遠の画角
- トップクラスの接写性能
- 純正テレコンでさらなる拡大撮影が可能
- マクロ撮影に役立つ充実したサポート機能
- 悪天候をものともしない優れた防塵・防滴・耐低温性能
未知のマクロ表現が体験できるPROグレードの望遠マクロ単焦点レンズ。望遠90mm(フルサイズ換算:180mm相当)の画角を採用しており、数m以上離れた位置にある被写体に有効だ。自然の草花の撮影はもちろん、警戒心の強い昆虫や小動物を適度な間合いを保ちつつ記録する場合にも重宝する。
トップクラスの接写性能を備えているのも特徴。本レンズは通常時でも最短撮影距離が25cmと短く、高倍率マクロ撮影が可能な「S-MACRO」モードでは22.4cmまで近寄れる。一方、レンズ先端からのワーキングディスタンスは9.3cmと長めに確保されているので、昆虫や小動物にあまり近付かなくても画面一杯に撮影が可能になっている。
実寸以上の拡大マクロ撮影が可能なのもポイント。通常モードの最大撮影倍率はフルサイズ換算で2倍相当だが、「S-MACRO」モードに設定してより接近すると最大4倍相当まで拡大できる。さらに、純正テレコンと併用すれば、最大8倍相当の高倍率マクロ撮影も実現可能。顕微鏡を使った時と同じように、花の花粉や微生物などミクロの世界も迫力いっぱいに記録できる。
マクロ撮影に役立つ便利機能が充実しているのも魅力。本レンズに搭載された「5軸シンクロ手ぶれ補正」は、接写時に影響が大きくなるシフトぶれも強力に補正するため、手持ちでも安定したマクロ撮影が楽しめる。また、フォーカスリミッターも装備しており、接写時も効率的に動作するAFが使用できる。
アウトドアシーンで欠かせない防塵・防滴・耐低温構造も完備。鏡筒にはMFクラッチ機構やFnボタンも付いている。なお、本レンズは開放F値をあえてF3.5に抑えることで小型軽量化が図られており、片手でも楽に手持ち撮影が可能だ。


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レンズ貸し出しサービスのご案内
ここまで旅行先での撮影におすすめのレンズを紹介してきたが、是非使ってみたいと思うレンズがいくつかあったことだろう。
しかしながら、ミラーレスカメラ用の交換レンズは決して安いものではない。それはOM SYSTEMを含むマイクロフォーサーズ陣営の交換レンズも例外ではなく、中にはカメラ本体の価格を大きく上回るものも存在する。
例え気になるレンズがあったとしても、一般の方がいきなり購入に踏み切るのはとてもハードルが高いと思う。(撮影を生業にするプロや、趣味で写真やカメラに長年触れてきた猛者なら話は別だろうが…)
そんな方におすすめしたいのが、OM SYSTEMが提供する「レンズ貸し出しサービス」だ。
このサービスは、実際に購入するよりも大幅に少ないコストで希望するレンズを一定期間レンタルできるというものだ。
まずはこのサービスで気になったレンズを試用して使用感を確認し、気に入ったら購入するという流れが、レンズ選びに失敗するリスクが少ないのでいいだろう。
OM SYSTEMのレンズ貸し出しサービスの詳細については、以前に利用レポートという形で下記の記事にまとめたので、気になる方はぜひ参考にしてほしい。
【レポート】OM SYSTEMの「レンズ貸し出しサービス」を使ってみた!お得に利用できる方法は?申込みから返却までの手順は?
ALANが常用しているレンズの組み合わせ例
このパートでは、僕が普段の撮影で実際に常用している交換レンズの組み合わせ例をいくつか紹介しよう。
各レンズについて使い分けのポイントについても触れていくので、あなたがレンズシステムを構築していく際の参考にしてもらえればと思う。
初期装備
- M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II
- M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8

これは僕が他社の一眼レフから旧オリンパスのミラーレスカメラへ乗り換えたばかりの頃に使っていた組み合わせだ。現在の主力であるE-M1系にステップアップするまで、OM-5の先々代機であるOM-D E-M5 Mark IIと一緒に3年ほど使っていた。
日中や屋外での大半の撮影は14-150mm IIで行っていた。広角から望遠まで使用頻度の高い画角を一通り網羅できるため、ほとんどのシーンの撮影はこのレンズで事足りていた。
周囲が暗くなり始める時間帯からは25mm F1.8の出番。また、構図がある程度決まっており、大きなボケや高速シャッターがほしいと思った場合は、日中・屋外の撮影でもこのレンズを使う頻度が多かった。
残念ながら14-150mm IIはE-M5 Mark IIと一緒に手放してしまったが、25mm F1.8との組み合わせは非常にバランスの取れた名コンビだったと今でも思う。後継モデルである現行のOM-5でも十分に有効な組み合わせだろう。
そして、この高倍率ズームレンズと標準単焦点レンズの組み合わせが、基本の型としてその後の僕へ受け継がれていったのだ…
お散歩スナップ
- M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
- M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro
- M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0

これは僕が近所での散歩や街歩き、撮影が主な目的でないお出かけによく持っていく組み合わせだ。サブ機であるPEN E-P7と一緒に持っていくことが多い。
メインレンズになるのが17mm F1.8。モニターを見ながら少し引き気味で撮影するE-P7との組み合わせでは、見たままに近い範囲が直感的に切り撮れるので不思議なほど使いやすい。事実上の標準レンズとして活用している。
大きな建築物や、室内や広場などの空間を撮影する場合は12mm F2に換装する。肉眼の視野よりも広い範囲をカバーできるため、17mmでは収め切れない場合に役立つ。また、遠近感を活かしたい場合にもこのレンズはよく使う。
このトリオで望遠側を担当するのが30mm F3.5 Macro。標準レンズながらやや望遠寄りの画角設定なので、レストランやカフェで注文した料理や、散策中に見つけた魅力的な雑貨を寄り気味で撮るのに重宝している。
旅行取材・作品撮り
- M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
または、 M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO - M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
- ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro


これは最近僕が旅行の取材や撮影に持って行くことが多い主力のトリオだ。メイン機であるOM-D E-M1 Mark IIIと一緒にセットで運用している。
大半の撮影は8-25mm F4 PROまたは12-100mm F4 PROでこなす。ズーム全域で開放F4の明るさが使えるので、多少は暗くなっても困ることはほとんどない。ちなみに、どちらを持って行くかは撮影の目的によって変わる。街中での散策が主な場合は8-25mm、公園など自然が多く絡む場合は12-100mmを選ぶ。
ここぞという時の勝負レンズが25mm F1.2 PRO。高倍率ズームで撮影していて、もっとボケや高速シャッターがほしいと思った時に換装する。普段の視野に近い標準画角のレンズなので、夕方以降のスナップ撮影で直感的にサクサク撮影を進めたい場合にも重宝している。
街角スナップ・花・雑貨などの撮影でもっと寄りの画がほしい時は50mm F2 Macroの出番。このレンズは本記事で紹介していないものだが、フォーサーズ一眼レフ時代に作られた名玉の1本だ。僕はマウントアダプターを介して使っているが、現代のミラーレスカメラでも上質な画を出力してくれるので気に入っている。
欲を言うと、本来はこのトリオに加えて引きの画担当として14mm(フルサイズ換算:28mm相当)の大口径広角レンズがほしいところだが…OM SYSTEMの現行ラインアップにはないので仕方がない。現状はF4ズームで代用する形で対処している。
レンズ沼に陥らないために大事なこと
これまで様々な種類の交換レンズを紹介してきた。ここで最後の締めくくりとして、大事なことをお伝えしておこう。
忘れないでほしい。高級な交換レンズを入手したからといって、写真の技術は必ずしも上達するものではないということを。
冒頭でお伝えしたように、その被写体やシーンに苦手な交換レンズを使用しているとイメージ通りの写真を撮るのにひどく苦戦することになる。
それは確かに真実ではあるのだが、だからといってその被写体やシーンを得意とする新しい交換レンズを入手すれば全てが解決するかというと、そういうことでは決してない。
交換レンズはただ入手するだけでは意味がないのだ。交換レンズは実践で何度も何度も繰り返し撮影に使って熟練度を上げることで、初めてその本領を発揮できるようになる。
重要なことは、交換レンズを次々と闇雲に増やすことではなく、新しく入手するものも含めて手持ちのレンズの性能をしっかりと熟知し、自分の手足のように使いこなせるようになること。
なので、新しい交換レンズが欲しくなったときは、ひとまず立ち止まって、今持っているレンズでできることがまだ他に残っていないかを考えよう。
もしできることがまだ残っているならば、まずは手持ちのレンズでできることは隅々まで熟知したと思えるまで撮影に没頭しよう。
こうすれば1本1本の交換レンズを大事に使っていける。レンズ沼に陥って闇雲に新しいレンズを次々と生やさなくても(増やさなくても)、自分のペースで写真生活を楽しんでいけるだろう。
その上で、写真の表現領域を広げるために新しいレンズがどうしても必要だという結論に至ったのであれば…おめでとう。
そのときこそがあなたがそのレンズを買うべきときだ。ぜひそのレンズを入手して、新しい写真表現にどんどんチャレンジしていってほしい。
このサイクルを繰り返している内に、あなたの写真のスキルはみるみると上達していく。旅先での写真撮影でもあなたにしか切り撮れないような傑作が生み出せるようになっているはずだ。
総評
今回はOM SYSTEM(旧オリンパス)純正のレンズを中心に、旅行先での撮影におすすめのマイクロフォーサーズ用の交換レンズを紹介してきた。
ミラーレスカメラには購入時に付属するキットのダブルズーム以外にも様々な種類の交換レンズが用意されていることがお分かりいただけただろう。
もし気になる交換レンズが1本でも見つけられたならば幸いだ。手頃なものからでも構わないのでぜひとも入手していただいて、ダブルズームでは味わえない写真表現の奥深さを堪能してほしい。
それを繰り返している内に表現のバリエーションが増えてくるので、あなたの旅写真はより印象的な作品となっていくであろう。
これらの交換レンズと共に、あなたがより充実した旅写真ライフを満喫してくれることを願っている。
ただし、レンズ沼に陥らないようにご注意を(笑)。
執筆後記
本記事に掲載した交換レンズで所有経験のあるものについては、改めて個別で詳細なレビュー記事を執筆しようと思っている。
これから続々と追加していく予定なので、ぜひ本記事をレンズを選ぶの際のデータベースとしても活用してもらえれば幸いだ。