M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8は、オリンパス(現OM SYSTEM)が手掛けたマイクロフォーサーズ(MFT)用純正レンズの中でも、やや異質な存在感を放つ望遠単焦点レンズだ。
フルサイズ換算で150mm相当という画角は汎用性が高いとは言えない。しかし、その距離感だからこそ、被写体との関係を整理し、不要な情報を排した描写が可能だ。ある程度の慣れは必要だが、ポートレートはもちろん、スナップ・花・飛行機などの撮影でも使いこなせれば強力な武器になる。
また、本レンズは上質なボケ描写が味わえる大口径の望遠単焦点としては非常に小型軽量で、機動力を重視するMFTの思想ともよく合致している。PROレンズではないが、描写性能や外装の質感に妥協はなく、今なお評価の高い一本だ。
本記事では、M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8の特徴や使用感を詳しく解説していく。後半にはこの大口径望遠単焦点レンズを使って撮影した作例もたっぷり掲載するので、レンズ選びの一助となれば幸いである。

M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8ってどんなレンズ?
まず初めに、M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8の概要を簡単に整理しておこう。
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8を一言でまとめると、「距離感とボケ味で物語を演出するキラーレンズ」という表現がしっくりくる。
特徴を次の3点に分けて見ていくと、このレンズの概要が把握しやすくなるだろう。
なお、焦点距離やF値、最短撮影距離などの専門用語に関しては、以前共有した下記の記事で詳しく解説しているので、そちらを参照してほしい↓
【2026年版】脱・初心者!OM SYSTEM/オリンパスで旅行におすすめのマイクロフォーサーズ用交換レンズまとめ 20選
数メートル先のドラマを切り取る望遠レンズ
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8は、数メートル先の被写体との距離感を前提に成立する望遠単焦点レンズである。
フルサイズ換算150mm相当という画角は、被写体に近づかずとも画面を整理し、主題だけをすくい取ることができる。街中でのスナップ撮影においても、周囲の雑多な情報を切り捨て、出来事をさながら舞台上の物語のように演出することが可能だ。
本レンズでは一歩引いた位置から状況を観察し、狙いを定めてシャッターを切る撮影スタイルが自然と求められる。人の流れや光の当たり方、背景の整理具合などを冷静に見極めることで、被写体との距離そのものが写真表現の一部として機能する。
一方で、この画角は決して扱いやすいものではない。フレーミングや立ち位置を誤れば、被写体との距離が中途半端になり、意図の見えない写真になりやすい。
しかし、レンズの特性と撮影状況がうまく噛み合ったとき、その制約は一転して大きな武器となる。余計な要素を排した画面構成と、適切な距離感が生み出す緊張感が相まって、極めて印象の強い一枚が完成する。このピーキーさこそが、本レンズを「キラーレンズ」と呼ぶにふさわしい所以である。

大口径設計が作り出す極上のボケ味
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8の大きな魅力の一つが、大口径設計によって生み出される上質なボケ描写である。75mm(フルサイズ換算150mm相当)という望遠域とF1.8という明るさの組み合わせは、単に背景を大きくぼかすためのものではない。被写体と背景の関係性を整理し、主題を際立たせるために機能する。
本レンズのボケは量よりも質に重きが置かれており、前ボケ・後ボケともにクセが少なく、被写体の輪郭が破綻しにくい。そのため、被写体の存在感を損なうことなく、自然な立体感を描き出すことができる。背景が主張しすぎることなく、被写体そのものの形や色を引き立てる描写が得られるので、花撮影で一輪の花を美人画のように品のある印象で表現したい場合にも有効だ。
ボケを含めた描写性能という観点で見れば、本レンズはOM SYSTEMの最高峰であるM.ZUIKO PROレンズと比べても遜色ない水準にある。防塵防滴構造やFnボタンといった装備こそ省かれているものの、純粋な描写力においては同等と評価して差し支えないだろう。開放から安心して使える実用性の高さも相まって、このレンズが「極上のボケ味」を持つと評される理由がここにある。
望遠レンズとは思えない小型軽量ボディ
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8は、フルサイズ換算150mm相当という画角から想像される重量感とは裏腹に、非常にコンパクトかつ軽量なボディを備えている。
というのも、驚くべきことに本レンズの重量はわずか305gしかないのだ。フルサイズミラーレス用の近似レンズと比べると、1/3以下の重さにすぎない。大口径の望遠単焦点レンズでありながら、持ち運びや取り回しの良さを強く意識した設計は、マイクロフォーサーズ(MFT)らしさを端的に体現していると言ってよい。
実際にカメラへ装着すると、サイズや重さが撮影時の負担になることはほとんどなく、散策やスナップ撮影にも無理なく持ち出せる。望遠レンズは「構えて撮るもの」という固定観念を良い意味で裏切り、必要な場面でさっと構え、迷わずシャッターを切れる機動力を備えている点は大きな魅力だ。特に、被写体との距離を取りながら状況を観察する撮影スタイルと相性が良く、レンズの存在が行動を制限することはない。
また、PROレンズではないものの、金属製の外装による質感は高く、安価なレンズに見られがちな簡素さは感じられない。防塵防滴構造やFnボタンといった装備こそ省かれているが、その分、サイズと重量のバランスが最適化されており、実用性という観点では十分以上の完成度を誇る。望遠単焦点レンズを日常的に持ち歩ける存在にした点こそ、本レンズが長く支持されてきた理由の一つである。
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8の外観と機能
次に、M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8の外観と機能について確認していこう。
はじめにこちらがレンズフードを逆付けに収納した状態だ。

フードとキャップを取り外した状態はこちら。

以前紹介したM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8やM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0と同様、鏡筒などの外装には金属素材が使われている。
レンズ先端には口径58mmのフィルターアタッチメントを搭載。NDフィルターやソフトフォーカスフィルターなどの各種レンズフィルターが装着できるので、ポートレートやスナップの撮影でもフィルターワークを駆使した多彩な表現が楽しめる。
なお、本レンズのフィルター径は、OM-5系のキットレンズに採用されているM.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 IIの口径と同じになる。既に口径58mmのレンズフィルターを所有していれば、双方のレンズで共用が可能だ。
こちらは別売りの専用レンズフード「LH-61F」をレンズ本体に装着したところ。

レンズ本体と同様、レンズフードの素材にも金属が使われている。同シリーズのレンズと同じ高い質感を維持したまま、望遠レンズに最適化させた形状に仕上げられている。
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8をサブ機のPEN E-P7に装着した状態が次の画像。

サイズ感は他のF1.8シリーズの単焦点レンズと比べると一回り大きいが、散歩や小旅行などで使うのに十分なほど許容範囲に収まっている。E-P7やOM-5のような小型ミラーレスと組み合わせる場合にも無理なく扱える。
鏡筒にはフォーカスリングのみが搭載されている。滑らかな動きで回せるため、マニュアルフォーカス(MF)時にピントを追い込む際にも操作しやすい。
なお、本レンズには上位に位置するM.ZUIKO PROレンズに見られるような特殊装備が搭載されていない。具体的には、Fnボタン・フォーカスリミッター・MFクラッチなど望遠撮影時の利便性を高める機能が一切付いていないのだ。
加えて、防塵防滴に非対応となっている。PROレンズの使用が要求されるような過酷なシーンでの撮影には向かないので、アウトドアでの運用には注意したい。
しかし、機能をシンプルにした分、換算150mm相当の望遠レンズとは思えないほど小型軽量に設計されている。望遠域ならではの距離感とボケ味を作品撮りで軽快に活用できる点にこそ本レンズの意義はある。
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8のグレートなところ
このパートでは、僕が実際に使ってみて、M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8で素晴らしいと思った点を共有しよう。
M.ZUIKO PROレンズに匹敵する本格画質
僕はM.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8を「隠れPROレンズ」の一本だと思っている。装備や位置づけこそ違うものの、その描写性能はM.ZUIKO PROレンズに匹敵する水準にある。解像力、立体感、ボケの質といった要素のバランスが非常に高く、撮影結果を見れば単なる中級レンズとは明らかに一線を画していることが分かるからだ。
特に印象的なのは、開放F1.8から安心して使える描写の安定感だ。被写体の輪郭は明瞭でありながら硬さはなく、背景との分離も自然で破綻がない。ボケを含めた描写全体の完成度が高く、被写体を主役として成立させる力を確実に備えている。これは、単なるスペック上の優秀さではなく、実写を通して実感できる画質の高さと言えるだろう。
防塵防滴構造やFnボタンといったPROレンズ特有の装備は省かれているが、純粋な描写性能という一点においては、作品撮りに十分耐えうる本格的なクオリティを備えている。画質を最優先するユーザーにとって、本レンズはPROレンズの代替ではなく、独立した価値を持つ一本だ。
望遠域でのスナップ撮影に最適
僕はM.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8をスナップ撮影にもよく使う。一般的にスナップ撮影には不向きとされがちな望遠域でありながら、条件が整えば非常に高い適性を発揮するからだ。換算150mm相当という画角は、被写体に近づかずとも画面を構成できるため、街中での自然な一瞬や、被写体の動きを邪魔せずに切り取る撮影スタイルと相性が良い。
特に、人の流れや背景が複雑になりがちな都市部では、不要な情報を整理し、主題だけを浮かび上がらせやすい点が強みとなる。距離を保ったまま被写体を観察し、ここぞというタイミングでシャッターを切ることで、広角や標準レンズでは得られない緊張感のあるスナップが成立する。
もちろん、万能なスナップレンズではなく、フレーミングや立ち位置の選択には慣れが必要だ。しかし、レンズの特性と撮影状況がうまく噛み合ったとき、望遠域ならではの距離感とボケ味が相まって、極めて印象の強い一枚が生まれる。使いこなしは決して楽ではないが、スナップ撮影における「切り札」として用意しておく価値は大いにある。
高品位で美しい金属外装
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8は、外装に金属素材を採用した高品位な仕上がりによって、所有する喜びを強く感じさせるレンズである。M.ZUIKO PROレンズではないものの、鏡筒全体に安価なレンズに見られがちな簡素さはなく、手に取った瞬間に道具としての確かさが伝わってくる。質感の高さは、撮影時だけでなく、カメラバッグから取り出す何気ない瞬間にも満足感を与えてくれる。
別売りの専用レンズフードを含め、F1.8シリーズとしてのデザインの統一感が保たれている点も好ましい。実用一点張りではなく、外観の美しさにもきちんと配慮されており、長く使い続けたいと思わせる佇まいを備えている。小型軽量な望遠単焦点レンズでありながら、軽薄さを感じさせない点は、本レンズの完成度の高さを端的に示している。
機能面ではPROレンズのような特別な装備こそ持たないが、その分、構造はシンプルで迷いがない。撮影に集中できる実用性と、所有すること自体が満足につながる質感を両立している点こそ、本レンズが長年支持されてきた理由だと言える。

M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8のイマイチなところ
良い点だけを紹介してもフェアではないので、「これはちょっと不満」と気になった点についても忖度なしで共有しておこう。
防塵防滴に非対応
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8は、防塵防滴構造を備えていない点が明確な弱点として挙げられる。
OM SYSTEM(旧オリンパス)の交換レンズと聞くと、高い耐候性を期待するユーザーも多いが、本レンズはその例外に当たる。雨天や砂埃の舞う環境など、過酷なアウトドアシーンでの使用を前提とした設計は採用されていないのだ。
この点は、同社のM.ZUIKO PROレンズとの思想の違いが最も分かりやすく表れる部分でもある。悪条件下での撮影が多いのであれば、迷わずM.ZUIKO PROレンズを選ぶべきだろう。 特性はかなり変わってしまうが、耐候性を重視するのであれば、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROが現実的な選択肢になる。
一方で、街中や天候の安定した環境での撮影が中心であれば、実用上大きな支障になる場面は限られる。晴れた日中の街中でのスナップ撮影や、イルミネーションを背景にしたポートレート撮影など、用途を見極めたうえで使うことが、このレンズと上手く付き合うための前提条件と言える。
使いどころが少々限られる
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8は、換算150mm相当という画角ゆえ、使いどころがやや限られるレンズでもある。
室内や狭い場所では十分な撮影距離を確保しにくく、被写体との位置関係によってはフレーミング(構図作り)が困難になる場面も少なくない。何でも撮れる万能レンズではない点は、あらかじめ理解しておく必要がある。
一方で、この制約は本レンズの欠点であると同時に個性でもある。被写体や撮影シーンを選ぶからこそ、撮影意図が明確になり、写真表現に集中しやすい。距離感を活かせる場面では、他の画角では得られない整理された画面と印象的な描写が成立する。
使いどころは決して広くないが、条件が噛み合ったときの表現効果は非常に高い。常用レンズではなく、明確な目的を持って持ち出す一本としてこそ、このレンズは真価を発揮する。
接写性能はあまり高くない
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8は近接性能が高いレンズとは言えない。…というより、正直に言ってしまうと、このレンズは接写がひどく苦手なのだ。
本レンズの最短撮影距離は84cmで、広角レンズや標準レンズと比べるとかなり長い。しかも、望遠レンズにも関わらず、最大撮影倍率も0.1倍(フルサイズ換算0.2倍相当)とあまり高くない。
被写体にぐっと寄った撮影や、細部を大きく写し取るような表現には不向きだ。花撮影においても、マクロレンズのように花芯や質感を強調する撮り方は難しく、近接撮影を前提としたレンズではないことを理解しておく必要がある。
ただし、この点も本レンズの設計思想と矛盾するものではない。本来は被写体との距離を取り、その空間ごと切り取ることに主眼が置かれているため、無理に寄らず、引いた構図で被写体を捉える使い方が求められる。 距離感を活かした描写に専念することで、本レンズの持ち味はより明確になるだろう。
近接性能を求める場面ではマクロレンズなど別のレンズに任せたい。なお、もし焦点距離の近いマクロレンズを探しているのなら、M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroや、M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PROがおすすめだ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8におすすめの方
メリットとデメリットが一通り把握できたところで、このパートではM.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8におすすめの方を考察していこう。
物語性の高いスナップ撮影に挑戦したい方
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8は、被写体との距離感を活かし、情景そのものを語るようなスナップ撮影に挑戦したい方に適したレンズだ。換算150mm相当という画角は、被写体に近づかずとも状況を整理しやすく、街中で起こる自然な一瞬や人の営みを俯瞰的に切り取る撮影スタイルと相性が良い。
広角や標準レンズでは写り込みが多くなりがちな場面でも、本レンズであれば余計な情報を排し、主題だけを浮かび上がらせやすい。祭りや舞台、路上パフォーマンスといったイベント撮影においても、演者との適切な距離を保ちながら、観客としての視点を失わずに情景を描写できる点が強みとなる。
また、F1.8という大口径設計により、夜間や室内、劇場といった光量の限られた環境でも有利に撮影を進められるのも魅力だ。暗所でも高速なシャッタースピードを確保しやすく、ISO感度を過度に上げずに済む。その結果、場の雰囲気を損なわずに記録できるため、物語性を重視するスナップ撮影において大きなアドバンテージとなる。
扱いは決して容易ではないが、距離感とボケ味、大口径ならではの表現力が状況に噛み合ったとき、単なる記録を超えた一枚が生まれる。意図を持って瞬間を狙うスナップ撮影に取り組みたい方にとって、本レンズは心強い表現の道具となるだろう。
自然の花を美人画のように演出したい方
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8は、自然の花を美人画のように品よく演出したい方に適したレンズである。本レンズは接写を得意とするタイプではなく、花芯や細部を克明に写し取る用途には向かない。しかし、その一見して不利な特性こそが、美人画のような表現で花の佇まいや雰囲気を強調する際に大きな強みとなる。
本レンズでは、被写体と適度な距離を取り、背景を大きく整理することで、主役となる花だけを静かに浮かび上がらせることができる。大口径ならではの上質なボケは、花の輪郭を過度に崩すことなく、柔らかな立体感と奥行きを与えてくれる。その結果、写実的な記録写真とは異なる、情緒的で落ち着いた印象の一枚が成立する。
公園や野に咲く花、山野草など、屋外で自然に佇む被写体と本レンズの相性は良い。花を「寄って描く」のではなく、「引いて演出する」ことで、その場の空気感まで含めて写し取りたい方にとって、M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8は頼もしい表現の道具となるだろう。
駐機中の飛行機を迫力いっぱいに表現したい方
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8は、空港の展望デッキから駐機中の飛行機を力強く、存在感のある描写で記録したい方にも適したレンズだ。換算150mm相当という画角は、機体全体を収めるのではなく、胴体の一部を大胆に切り取るような表現と相性が良い。不要な背景を整理しながら、被写体そのものの造形美を際立たせることができる。
飛行機撮影においては、ボケ味よりも機体のディテールをいかにシャープに写し取るかが重要になる場面が多い。本レンズはF1.8という大口径設計により、暗所でもシャッタースピードを確保しやすく、ISO感度を抑えた撮影が可能だ。その結果、明け方や夕方以降の光量が限られた時間帯でも、ノイズを抑えつつ、機体表面の質感やラインを鮮明に描写できる点は大きな強みと言える。
高速連写や超望遠による動体撮影向きのレンズではないが、駐機中の機体を被写体として「形」や「質感」を丁寧に表現する用途においては非常に有効である。望遠ズームほどの装備を必要とせず、気軽に持ち出せる点も含め、静の飛行機撮影を軽快に楽しみたい方にとって魅力的な選択肢となるだろう。

M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8で撮影した作例の紹介
ここからはM.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8を使って実際に僕が撮影した写真の作例を掲載していく。
作例画像にはRAW現像時に露出の微調整は施してあるが、色合いや収差補正には極力手を加えていないため、レンズ本来のものに近い仕上がりが確認できるだろう。

OM-D E-M5 Mark II/絞り優先AE(F3.5・1/250秒)/-0.5EV/ISO 200/分割測光/WB曇天/75mm(換算150mm相当)

OM-D E-M5 Mark II/絞り優先AE(F4・1/180秒)/-0.5EV/ISO 400/分割測光/WB曇天/75mm(換算150mm相当)

OM-D E-M5 Mark II/絞り優先AE(F1.8・1/500秒)/ISO 200/分割測光/WB晴天/75mm(換算150mm相当)

OM-D E-M5 Mark II/絞り優先AE(F2・1/4000秒)/ISO 200/分割測光/WB晴天/75mm(換算150mm相当)

OM-D E-M1 Mark III/絞り優先AE(F1.8・1/180秒)/-0.5EV/ISO 200/分割測光/WB太陽光/75mm(換算150mm相当)

OM-D E-M5 Mark II/絞り優先AE(F2.8・1/180秒)/-0.5EV/ISO 200/分割測光/WB曇天/75mm(換算150mm相当)

OM-D E-M5 Mark II/絞り優先AE(F2・1/180秒)/-0.5EV/ISO 400/分割測光/WB曇天/75mm(換算150mm相当)

OM-D E-M5 Mark II/シャッター速度優先AE(F8・1/200秒)/-0.5EV/ISO 200/分割測光/WB曇天/75mm(換算150mm相当)

OM-D E-M5 Mark II/絞り優先AE(F4・1/750秒)/ISO 200/分割測光/WBオート/75mm(換算150mm相当)

OM-D E-M5 Mark II/絞り優先AE(F4・1/1500秒)/ISO 200/分割測光/WBオート/75mm(換算150mm相当)
総評
今回の記事では、OM SYSTEM(旧オリンパス)の大口径望遠単焦点レンズ、M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8についてのレビューをお届けした。
万人向けの万能レンズではないが、使いどころが明確な分、強い個性と高い表現力を備えた一本になっている。換算150mm相当という画角が生む距離感、大口径設計による描写の安定感、そしてPROレンズに匹敵する画質は、撮影者の意図を的確に画面へ反映してくれる。
防塵防滴非対応や低い接写性能といった制約はあるものの、それらは本レンズの設計思想と表裏一体の関係にある。被写体との距離を意識し、構図を練り、瞬間を選び取る撮影スタイルに向き合える方にとって、本レンズは非常に頼もしい表現の道具となるだろう。扱いは容易ではないが、ハマったときの一枚は格別である。
ぜひOM-5系やPENシリーズなどのコンパクトなカメラと組み合わせて、スナップ・花・飛行機といった撮影でPROレンズ譲りの描写を手軽に楽しんでもらえればと思う。
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8のレンズ本体はこちら↓
専用の別売り金属レンズフード「LH-61F」はこちら↓












