【聖地巡礼】『言の葉の庭』のロケ地巡り|雨に彩る初夏の新宿御苑

新宿御苑・藤棚前の池の画像 Travel

先日、ついに1年越しの念願が叶った! 『君の名は。』を始めとするアニメーション作品を手掛けている新海誠監督の代表作、『言の葉の庭』の舞台となった初夏の新宿御苑を訪問できたのだ。

新宿御苑自体は桜の撮影などでこれまでに何度も訪れてはいるが、作中と同じ季節である初夏に訪れたのは今回が初めてだった。しかも、一般の観光客であれば通常はできるだけ避けるであろう、梅雨の雨が降りしきる日をあえて狙って訪れたのだ。

僕は新海監督の大ファンで、特に『言の葉の庭』の世界観や光と色合いが大好物だ。そんなこともあって、ぜひ一度作品の舞台となった新宿御苑を作中の季節と同じ初夏の雨の日に撮影したいと常々思っていた。

去年の今頃もちょうど良い雨の日を狙って天気予報とにらめっこしていたが、色々と多忙だったのと、雨のあまり降らない日が続いたことで、撮影に訪れられず悶々とした日々を過ごしている内に季節は過ぎてしまった。

それから1年。「今年の梅雨もなかなか雨降らないな〜。。」と若干心配していたのだが…その矢先、ついに撮影を敢行するにふさわしい日に巡り合うことができたのだ。

そして僕は、防塵防滴レンズを装着した相棒のOM-D E-M5 MarkⅡと雨天撮影用に仕入れたレインポンチョを装備し、喜び勇んで雨の日の新宿御苑に向かった次第だ。

Alan
しかし、その防塵防滴仕様の完全武装が悲劇を引き起こすフラグになるとは、この時僕はまだ知る由もなかった…

ー何はともあれ。

今回は先日訪れた初夏の(しかも雨の日の)新宿御苑の様子を、撮影した写真と共にレポートしていこう。

画像の下に「【500px】」と記載のあるものは、画像をタップすれば500px上のウェブギャラリーに移動してフル解像度の画像を鑑賞することができる。ぜひそちらも合わせて楽しんでいただけると嬉しい。

雨の日の新宿御苑

新宿御苑・千駄ヶ谷門の画像

新宿御苑には千駄ヶ谷門から入場した。新宿門や大木戸門に比べて千駄ヶ谷門を利用する人は少なく、人混みに遭遇する確率も若干少ないからだ。

狙いは的中し、しばらくの間僕以外の来訪者の姿を見ることはなかった。おそらく、開園直後で、しかも雨の日だったことも影響していたのだろう。

園内に一歩足を踏み入れると、そこには朝の静寂の中で、雨の衣をまとった初夏の木々が青々と生い茂っていた。あまりの静けさに、一瞬聖域に入ってしまったのかと錯覚した。

新宿御苑・遊歩道の画像

そんな御苑の雰囲気を味わいつつ、『言の葉の庭』の舞台となった日本庭園を目指す。

途中こんな景色にも出会った。中の池でのこと、降りしきる雨の中シロサギが佇んでいた。いとをかし。

新宿御苑・中の池

日本庭園に近づくほどに雨が徐々に強さを増し、それと比例して撮影に向けたテンションも上がってきた。

旧御凉亭を眺めて

中央休憩所を抜けると、その先はいよいよ目的地となる日本庭園のエリアだ。日本庭園に入るなり、新宿御苑のシンボルである旧御凉亭が見えてきた。

The Garden of Words 1 by Alan Drake Haller on 500px.com

【500px】

この建物は昭和天皇のご成婚記念として、中国南方地方の建築様式を取り入れて建築されたもので、東京都の歴史建造物に指定されている。そして、『言の葉の庭』の劇中にも登場する聖地のひとつだ。

草木が生い茂る緑の聖域の中で佇むその姿は幽玄の美を宿していて、とても深い趣があるように感じられた。旧御凉亭には桜の咲く春にも訪れたが、その時とはまるで違った光景を楽しむことができたことに、素直に感動した。

「初夏の新宿御苑も美しいな〜」、と静寂の中で一人悦に浸る僕であった。

ちなみに、少し後にこんな写真も撮ってみた。この時は僕以外の来訪者が若干来始めていたが、それと比例して雨足も強くなっていた。

新宿御苑・緑に囲まれた旧御凉亭の画像

こんな風に前ボケを利用して撮ってみるのも面白い。

聖地の東屋にて

そして、最大の目的地である東屋に向かった。ここは言わずと知れた『言の葉の庭』最大の聖地であり、劇中で高校生の孝雄と雪野先生が出会い、数々の言葉を交わし合った場所だ。

新宿御苑・東屋の画像

東屋に辿り着くと既に先客が来ていたようで、周りを散策しつつ待つことにした。ちなみに、この石橋も映画に登場している。

新宿御苑・東屋前の石橋の画像

しばらくすると東屋が空いたので、早速向かうことにした。

新宿御苑・東屋の画像
ちなみに、映画の劇中に登場するものと違って、現実の東屋の中央には灰皿スタンドが置かれている。このため、初めて来る観光客はこの東屋が舞台になった場所かわからず迷ってしまうこともあるようだ。実際、このとき中国からの観光客が何人か来ていたが、僕もこの東屋が舞台になった場所か何度も尋ねられた。

東屋に着くと、とりあえず中にあったベンチに座ることにした。カメラは脇に置いて、まずはそこから見える景色を堪能することにしたのだ。

新宿御苑・東屋からの眺めの画像

なるほど、これは確かに美しいな。やはり、初夏の雨の日の日本庭園というのも大変趣がある。

それからしばらくすると、一人の男子高校生が東屋にやって来た。(これはもしや?!)

嬉しい偶然だったが、その出で立ちがまさに頭に思い描いていた孝雄のイメージにとてもよく似ていたので、お願いして何枚か写真を撮らせてもらうことにした。その中の一枚がこちらである。

The Garden of Words 3 by Alan Drake Haller on 500px.com

【500px】

彼とは撮影後にしばらく話をしたのだが、彼も『言の葉の庭』の大ファンだそうな。その日はたまたま新宿に用事があったらしく、近くまできたので御苑に寄ってみたとのこと。

『言の葉の庭』のファン同士ということもあり、彼とは話がとてもはずんだので、とても楽しいひと時を過ごすことができた。ただ、惜しむらくは、僕が20代後半の女性教師ではなかったことだろうか(笑)

素晴らしい出会いを楽しんだ後、僕は東屋を後にして次の聖地に向かうことにした。

Evergreen

東屋から旧御凉亭に至る道にもう一つの聖地がある。それが次の写真の風景だ。

The Garden of Words 2 by Alan Drake Haller on 500px.com

【500px】

ここは『言の葉の庭』のキービジュアルにも使われていた場所で、画面左の藤棚から旧御凉亭を臨む孝雄と雪野先生のツーショットが記憶に残っている方も少なくはないだろう。

実際に来てみるとわかるのだが、この場所から見える景色は光の明暗差がとても大きい。前景の緑と池の反射がとても厄介で、見たままの階調をそのまま写真に収めるのには若干のテクニックが必要になる。

このとき僕は露出アンダーめに撮影した。そして、現像時に暗部を持ち上げつつ、明部を微調整してHDR調に仕上げることで、何とか見たままの階調に近い風景を収めることができた。

若干写真家泣かせのシチュエーションだったが、この場所から見える緑はとても鮮やかで瑞々しく、「Evergreen」の名にふさわしい風景が楽しめる。

新宿御苑にお立ち寄りの際は、東屋だけではなく、ぜひこの場所も訪れてみてほしい。

ちなみに、「藤棚」という名の通り、ここでは5月の上旬頃は藤の花が楽しめる。新緑の中で咲く藤の淡い紫色もまた趣があるので、その時期もまたおすすめだ。

結露の恐怖と開き直り

藤棚と旧御凉亭前の池の撮影が終わったちょうどその頃、雨足がさらに強くなってきた。気温もやや下がって、身に滴る雨水がさらに冷たく感じた。

ーそして、予想だにしなかった事態が起こる。

「あれ、おかしいな?ソフトフォーカスフィルターを付けた時みたいに画像にもやがかかってる??」

はじめは雨水がレンズに付いただけかと楽観的に考えていたが、実際の事態はさらに深刻なものだった。レンズが結露してしまったのである。

レンズの結露とは、急激な温度差により、レンズの内部の水蒸気が飽和して白いもやや水滴が付いてしまう現象のことだ。冬の寒い日の朝に窓ガラスが曇ってしまうことがあるが、原理的にはそれと同じだ。

この結露は非常に厄介だ。レンズの曇りによって撮影した画像には全てもやがかかってしまうため、緻密な描写は一切できなくなる。

そして、それ以上に厄介なことに、結露を放っておくと、レンズにカビを生えさせる原因となったり、腐食によってレンズ内部の部品に深刻なダメージを与えることになるのだ。

奇しくもこの日、僕は愛機であるOM-D E-M5 MarkⅡにレインカバーなどの類を装着せずに撮影していた。OM-D E-M5 MarkⅡは防塵防滴で、上からジョウロで水をかけても一切故障しないほど丈夫なカメラであるため、そのタフ性能に全幅の信頼を置いていたからだ。

この日主に使用していた高倍率ズームレンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 Ⅱも同等のタフ性能があったのだが…たとえ防塵防滴のレンズであっても、結露というもう一つのリスクがあることを完全に失念していた。

おそらく、レインカバーをレンズに装着せず強い雨が鏡筒に直接当たり続けたことで、レンズ表面の温度が急激に下がり、結露を生じさせる原因となってしまったのだろう。

これは完全な誤算だった。しかし、その程度のことではへこたれないのが僕である。

自分でもあきれたことに、結露で曇ってしまったレンズをソフトフォーカスフィルターだと割り切って(半ば諦めて)、新宿御苑での撮影を続行したのだ。

Alan
良い子は絶対に真似しないでね(笑)

初夏を彩る花たち

結露で曇ったレンズを携えて、僕は日本庭園から新宿門へ向かった。御苑北部にあるサービスセンター(環境省新宿御苑管理事務所)から新宿門に至るエリアにはアジサイを始めとする初夏の花々が咲き乱れているからだ。

エリア内を色々と探し回っていたところ、次のような面白い構図をみつけた。アジサイの前の葉がまるでハートのような形になっていたのだ。

新宿御苑・ハート型アジサイの画像

僕がカメラ女子だったら、即行でInstagramに投稿していたことだろう(笑)

アジサイも綺麗だが、こちらのウツギ(ウノハナ)もまた同じくらいおすすめだ。雨の中で咲く白い花がまた優美で、どこか儚なさを感じる。

新宿御苑・ウツギの画像

結露のもやでソフトフォーカスフィルターっぽくぼやけているせいか、より一層幽玄でミステリアスな感じが出ている。雪野先生のような花だ。

『言の葉の庭』の舞台になった場所だけではなく、こういった季節ならではの花々を楽しめることも、初夏の新宿御苑の魅力だ。新宿御苑にお立ち寄りの際は、季節の花を見て回るのも面白いだろう。

初夏の新宿御苑の瑞々しい緑と優美な花々に彩られ、撮影を思う存分に楽しむことができた一日だった。色々と苦労のあった撮影だったが、思い切って雨の日に来て本当に良かった。

後日談

撮影後に西新宿にあるオリンパスプラザ東京のサービスセンターでレンズの状態を診てもらった。今回のようなケースで修理を依頼する場合、まずレンズの分解清掃で10,000円、内部に腐食がある場合は部品交換で+6,000円、合計16,000円かかるらしい。

ただし、今回の症状はまだ初期段階のものだったらしく、とりあえず自宅に持ち帰ってドライボックスで乾燥させることにした。それから数日間の看病の末、レンズ内部の曇りと水滴は無事綺麗に消えてくれたので、とても安心している。

撮影に夢中になりすぎるあまり無理をさせてしまって、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 Ⅱには本当に申し訳なく思っている。次回からはレインカバーを用意していかねばと強く心から反省。。。

だけど、晴れの日とは全然違った素敵な景色と出会えるので、雨の日の撮影はやめられない。これからもOM-Dのタフ性能を生かしつつ、雨の日の撮影を楽しんでいこうと思う。

新宿御苑・水面を漂うアメリカデイゴの画像

追記:『君の名は。』聖地巡礼のレポート記事の紹介

『言の葉の庭』の次回作に当たる『君の名は。』に関しても聖地巡礼のレポート記事(新宿編)を投稿している。

【聖地巡礼】君の名は。|新宿編(四谷〜新宿)

新海作品のファンの方は、ぜひ本記事と合わせて楽しんでいただけると嬉しい。

これでもかと言うほど今回の記事以上に力を入れているので(笑)

どうぞよろしく^^