都会の中でも花や植物に気軽で触れられる場所として人気なのが植物園。
千葉県の稲毛にも「花の美術館」として市民から長く親しまれてきた植物園「三陽メディアフラワーミュージアム」があったのだが、2022年の春から長期の休館になっていた。
実は、その花の美術館が大規模な改修を終えて、この度2025年3月29日にリニューアルオープンされた。
その名は、BOTANICA MUSEUM(ボタニカミュージアム)。
大規模な改修を遂げた新しい花の美術館では、五感をフルに活用することで花を通じて自然の奇跡を体感できる場所になっていた。
先日僕もこの生まれ変わった花の美術館を鑑賞してきたので、今回はその時のレポートをお送りする。
花のある暮らしを身近に感じていただければ幸いだ。

BOTANICA MUSEUMの概要
まずは、訪問前に知っておきたいBOTANICA MUSEUMの基本情報について解説しておこう。
リニューアルされた花の美術館
BOTANICA MUSEUMは稲毛南部の海辺にある稲毛海浜公園内に建てられている。
元々この植物園は三陽メディアフラワーミュージアムという名称で営業されており、長年に渡って市民から「花の美術館」として親しまれてきた。
その花の美術館は惜しまれながらも2022年の春に閉館し、長期間の改修工事が行われていた。
そして、2025年3月29日。
大規模な改修を経て新しく生まれ変わったのが、今回ご案内するBOTANICA MUSEUMだ。
美術館の基本コンセプト
リニューアルを遂げた花の美術館「BOTANICA MUSEUM」では、「自然という奇跡を思い出す場所」というのが基本コンセプトだ。
最先端のフラワーアートが楽しめる
今回の大改修に当たって、花の美術館は世界的に活躍する日本人フラワーアーティスト:HIKARU SEINO氏をプロデューサーとして起用している。
館内には、自然の植物だけではなく、彼が花をモチーフにデザインした個性的な世界観のフラワーアートも数多く配置されている。
海外でも高く評価されるフラワーアーティストの作品が間近で体感できるのはとても貴重な機会になるだろう。
フラワーアーティストを目指す方にはぜひとも訪れていただきたいが、僕のように花撮影を嗜むだけの者にとっても一見の価値はあると思う。
五感で自然の魅力を感じられる
一般的な植物園と違って、五感をフルに活用して花を始めとする自然の魅力に触れられるのもBOTANICA MUSEUMの大きなポイントだ。
単に目で見て楽しむ「視覚」だけではなく、作品をモチーフに作曲された音楽で「聴覚」を、香りに焦点を当てたオブジェクトで「嗅覚」も刺激しつつ花が楽しめる。
さらに、フラワーアレンジメントのワークショップを通して植物に触れることで「触覚」を、自然と一体になったレストランで「味覚」を通しても花を身近に感じられる。
つまり、このBOTANICA MUSEUMは、単なる植物園に留まらない、多彩な観点から自然の美しさを楽しめる場所になっているということだ。
営業時間と入場料
最後に、BOTANICA MUSEUMの営業時間と入場料についてまとめておこう。
営業時間
開園時間は次の通りだ。
- 火〜木曜日・・・9:45〜16:30
- 金・土・日・祝日・・・9:45〜21:30
開園日時には前庭・後庭とレストランが開放されており、前庭と後庭に関しては一般の公園と同じように無料で入場・利用できる。
本館の中に入るには入場券の購入が必要になるが、本館の営業時間は次の通りだ。
- 火〜木曜日・・・10:00〜16:00(最終入館15:30)
- 金・土・日・祝日・・・昼の部 10:00〜16:00(最終入館15:30)、夜の部 17:00〜21:00(最終入館20:30)
金〜日曜日と祝日は昼と夜の2部営業になっており、夜の部では館内がライトアップされるので昼間とは違った趣で植物や作品の鑑賞が楽しめる。
なお、休館日は月曜日になっている。(月曜日が祝日の場合は翌平日が休館。)
詳細に関しては、下記にBOTANICA MUSEUMの公式サイトを貼り付けておくので、そちらで確認しておくといいだろう。

入場料
本館の中に入るには入場券の購入が必要になるが、入場料は次のようになっている。
- 大人:
¥1,000→ オープン価格 ¥600 - 子供(4歳〜小学生):
¥500→ オープン価格 ¥300 - 3歳以下:無料
- 大人:
¥2,000→ オープン価格 ¥1,200 - 子供(4歳〜小学生):
¥1,000→ オープン価格 ¥600 - 3歳以下:無料
年齢によって金額が変わるほか、昼の部と夜の部とで異なる料金体系が採用されているため、利用の際は注意したい。
なお、オープンから1年間はオープン価格での提供が予定されており、4割引きの特別価格で入場できるようになっている。
オープン価格の終了期間は上記の公式サイトで案内されるとのこと。
少なくとも2026年の3月末まではオープン価格で入場券の購入が可能だと思われるので、未訪問の場合は安く入場できるこの機会を有効活用してもらうといいだろう。
ちなみに、夜の部も営業している金〜日曜日と祝日には1つ注意点がある。
館内は入れ替え制を採用しているため、同日に購入したものであっても昼の部の入場券のまま夜の部の館内に入場することはできない。
同じ日に昼の部と夜の部の両方を楽しみたい場合は気を付けたい。
ただし、入場券に記載された有効な営業時間内に限り回数制限なしで本館への再入場は可能になっている。
退館時に入口のカウンターでスタッフに入場券に打刻してもらう必要はあるが、本館の外にある前庭やレストランを休憩で利用したい場合などに重宝するだろう。
BOTANICA MUSEUMへの行き方
それでは、ここからBOTANICA MUSEUMまでの行き方をご案内しよう。
植物園には駐車場があるので車での来訪も可能だが、今回は電車とバスを利用する場合の行き方を解説する。
BOTANICA MUSEUMの最寄駅はJR稲毛海岸駅またはJR稲毛駅になっており、どちらの駅からもバスで向かうことができる。
下記にバスを使う場合の行き方を整理しておこう。
「海浜公園行き」に乗車→ 「海浜公園入り口」で下車→徒歩5分
「海浜公園プール行き」に乗車→ 「花の美術館」で下車→徒歩1分
※18:00以降に利用する場合は乗車・下車するバス停が異なる↓
「高浜車庫行き」に乗車→ 「高浜車庫」で下車→徒歩5分
今回は稲毛海岸駅からの道のりを案内しよう。
JR稲毛海岸駅の改札を抜けたら、海側にある南口から出よう。

南口の先にはロータリーがあるのだが、そこからはBOTANICA MUSEUMに向かうバスも出ている。

今回利用するバスは2番停留所から出る稲毛海浜公園入口行きになる。

下記にバスの時刻表を貼り付けておくので、訪問でバスを利用する際の参考にするといいだろう。

「海浜公園入口」というバス停に着いたら、バスから下車しよう。
目の前の大きな通り(海浜大通り)を挟んだ向かい側には、稲毛海浜公園の入口がある。

なお、視線を右側に向けるとガラス張りになった円柱状の建物が見える。

これはBOTANICA MUSEUMの館内にある温室なので、目的地がすぐ近くにあることがわかるだろう。
その温室の方へ向かうようにして交差点を右→前へとL字に渡り、稲毛海浜公園の入口へ進もう。

海浜公園の中に入るとすぐに別のバス停が見えてくる。

「花の美術館」という名前で、日中にJR稲毛駅から乗ってくる場合はこのバス停で下車することになる。また、このバス停はJR稲毛海岸駅やJR稲毛駅へ戻る際に利用するバスが止まる停留所でもあるので場所を覚えておこう。
ちなみに、JR稲毛駅から18:00以降に来る際は、ここから海浜大通りを少し東に行ったところにある「高浜車庫」という名前のバス停で下車して向かうことになる。
バス停「花の美術館」を後にすると1分も経たずすぐにBOTANICA MUSEUMの正門が見えてくる。

これがBOTANICA MUSEUMの正門だ。

開園時間になるとスタッフがゲートを開けにくるので、ここから中に入ろう。
前庭
BOTANICA MUSEUMの正門を抜けると、眼前には広大な前庭が広がっている。

庭の中央にはリニューアルされた花の美術館のシンボルである青リンゴの巨大なオブジェが置かれており、その先にBOTANICA MUSEUMの本館や温室が配置されている。

この前庭はシンメトリーに配置された花壇と噴水を備えたフランス式庭園を模して設計されている。

園内の花壇に植えられている花は季節が変わるごとに入れ替えられているので、訪れる度に異なる彩の花風景が楽しめるようになっている。

また、前庭にはベンチも豊富に配置されているため、鑑賞の合間に休憩する際にも重宝する。

そして、特に強調してお伝えしたいのが、これほどの美しい庭園が無料で利用できること。
前庭で過ごす分にはお金はかからないので、季節ごとに植え替えられる多彩な花々を相手に花撮影の練習を行うのにちょうどいいだろう。
本館
それでは、BOTANICA MUSEUMの本館へご案内しよう。

前庭からBOTANICA MUSEUMの建物を正面に見ると、左側にレストランの入口が、右側に本館の入口があるので、まずは建物の右側へ向かおう。
ちなみに、この入口を始めとして館内には複数箇所にスロープが設けられているので、ベビーカーや車椅子を利用する方でも手軽に入場・鑑賞が楽しめるようになっている。
本館への入口前は整列しやすいようにロープで区切られている。

入口前のスペースからは中庭や温室の様子が垣間見られるため、列に並んでいる間も視覚的に飽きさせられることはないだろう。

本館の内部に入ると、まず正面にお土産売り場が見えてくる。すかさず視線を部屋の入口の上部へ向けると、花人間の巨大なポートレート作品があることに圧倒されるだろう。

この入口の時点で既にもう、この植物園が単なる植物園ではないことを再認識させられることになる。
お土産売り場には最後に寄るのでここではまだ入らない。
ここではまず左側にある受付カウンターで入場券を購入しよう。
入場券は現金で購入できるのはもちろん、クレジットカードやPayPayなどの各種キャッシュレス決済にも幅広く対応している。
入場カウンターを抜けると、右側の小さなブースにBOTANICA MUSEUMのコンセプトやプロデューサーであるHIKARU SEINO氏についての紹介が配置されている。

そして、改めて受付カウンターの先に視線を向けると、そこには花をモチーフにしたオブジェで飾られたワンダーランドが広がっていた。

最初見た時は「おお!?」と思わず驚きの声が漏れてしまった(笑)
上の方を向くと次の驚きが待っていた。

何、この異星感(笑)?
おそらく花の本体はプラスティックやリボンで作られているのだろうが、苔やススキのような植物が基礎に使われているため、妙にリアルな感覚が得られる。
まるで異星に降り立ったような幻覚に陥らされることだろう。
次のオブジェはこの入口の位置からも既に見えているが、より近くで見るために先へ進んでいこう。
すると眼前に現れるのが、この色とりどりの樹木のオブジェ。

これもプロデューサーのHIKARU SEINO氏が手掛けたフラワーアートで、「MIRACLE TREE(ミラクル・ツリー)」というものらしい。
館内にあるこういったフラワーアートの側には、下記のような案内板が配置されており、これを読めば作品の背景にある世界観が簡潔に理解できるようになっている。

案内板に掲載されたQRコードをスマホで読み取れば、SEINO氏のInstagram上で制作者本人による作品の詳しい解説も閲覧できる。作品にかける想いや表現について掘り下げる内容になっているので、作品への見え方や感じ方がより一層深まることだろう。
また、案内板の下部にはQRコードがもう1つある。これを読み取ると、SEINO氏のYouTubeチャンネルで自然の中の周波数を取り入れて制作された音楽が視聴できるようになっている。
つまりは、「聴覚」の要素まで取り入れた展示になっているというわけだ。イヤフォンやヘッドフォンを持ち合わせているのなら、ぜひこの音楽を聴きながら館内を回ってみてほしい。
ミラクル・ツリーの先にはCASIOの電子キーボードが配置されている。

花に囲まれた空間の中で奏でる音楽というのも趣があっていいだろう。ピアノの心得がある方は是非とも1曲弾いてみてはいかがだろうか?
そして、電子キーボードを弾く演奏者を見守るようにして奥に配置されているのが、次のフラワーアート、「BOTANICALIEN(ボタニカリアン)」だ。

ジャングルが鬱蒼と茂る未開の惑星に生息していそうな外観をしている。改めてこの空間が異世界なのだということを実感させられるような展示になっている。
この作品の側には案内板があるので、作品についての詳細や考察については実際にこの場所に訪れてから楽しんでもらうといいだろう。
ボタニカリアンの奥には次のフラワーアート、「MOSSMOSS(モスモス)」がある。

これはまた珍妙なものが現れた(笑)
コケで覆われた枝のようなものを蜘蛛の足のように上階まで伸ばしている。24mm相当の広角レンズを使って目一杯引くことでやっと全身を収めることができたほどのサイズ感なので、最初見た時は圧倒されることだろう。
そして、その体には青リンゴのオブジェが無数に付いているのだが、これが次の展示と合わせてこの美術館でとても重要な意味を持っている。
モスモスが広げた足の真下には次の画像のような小部屋が設けられている。

ここではフィボナッチ数列について解説されている。
フィボナッチ数列とは、0,1,1,2,3,5,8,13,21,34…と続く数列のことで、前2つの数を足した合計が次の数になるというものだ。
実はこのフィボナッチ数列、この花の美術館に隠されたテーマを紐解くのに欠かせないヒントになっている。
パネルの内容をものすごく簡潔に要約して解説すると次の通りだ。
自然界にある植物は成長効率を高めるためにフィボナッチ数列に準じた花びらの数を採用している。
また、枝葉や種子に至る形状も全てフィボナッチ数列に基づいている。
つまり、フィボナッチ数列こそが花などの植物を形作った「自然の奇跡」に他ならないということ。
なお、ここまで巡ってきて気付いた方もいるかもしれないが、この花の美術館の敷地内には至る所に大小様々な青リンゴのオブジェがあったと思う。
実は青リンゴの葉の数や実の形状もフィボナッチ数列に基づいて形成されたものなので、美術館全体のテーマである「自然の奇跡」を体現する象徴として配置されているのだとか。
そう考えると、館内の見方が大きく変わっていくと思う。
モスモスの奥で視線を右側に向けると、SEINO氏がデザインしたフラワーアレンジメントの写真作品が5点展示されている。

これらはそれぞれ味覚・触覚・聴覚・嗅覚・視覚の五感をテーマにして制作されたとのこと。
そして、正面には本館内で最後のフラワーアートが展示されている。

それがこの「BOTA Hz(ボタヘルツ)」だ。

部屋の入口に入ると世界が一変する。
青白く照らされた薄明かりの中にスピーカーが埋め込まれた樹木がある。
音に敏感な植物生命体という設定のためか、室内では奇妙な反響音のようなものも微かに聞こえた。
いずれにしろ、怪しげな美しさのある光景は一見の価値があるだろう。
ボタヘルツの鑑賞を終えたら、左側へ延びる回廊を通って次のエリア「温室」へ移動しよう。

温室
回廊の先は洞窟を模したトンネルになっており、温室はその奥に控えている。

温室の入口手前の左側には次のようなパネルが埋め込まれている。

ここは植物園「BOTANICARIUM(ボタニカリウム)」という場所で、熱帯や亜熱帯の植物を集めた温室になっているとのこと。
ガジュマルやハイビスカスが生育しているほか、時季が合いさえすればヒスイカズラやブーゲンビリアなどの珍しい植物の数々も間近で鑑賞できるらしい。
この規模の温室は新宿御苑にある大温室を除いて目にしたことがないので、全国的にもとても貴重な施設なのだと思う。
ちなみに、この温室は2階建ての構造なのだが、入口の右奥にはエレベーターが用意されている。

ここでもバリアフリー設計が徹底されているので、ベビーカーや車椅子を使用する方も安心して観察を楽しんでほしい。
それでは、温室の探検を始めよう!
入口を抜けると熱帯の風景が眼前に広がってくるため、ジャングルの中に迷い込んだ錯覚を覚えるかもしれない。

正面には小さな滝が流れる岩場が配置されている。
視点を右側に向けると岩場から延びる橋のようなものも見えるので、この温室のスケールの大きさにワクワク感が止まらなくなるだろう。

まずは左側にある通路から温室の奥に向かって進んでいこう。

僕の訪問時は早速、白く美しいコチョウランの花が出迎えてくれた。

東南アジア原産のラン科の植物で、日本では贈答品や展示会の装飾としても人気がある。
先へ進むとバラ園にあるようなアーチ状のゲートが見えてくるが、この辺りからハイビスカスの花が現れ始める。

アーチの手前には2階部分へ続く階段があるので、そのまま上がっていこう。

階段の途中、右脇にはフィリピンバナナの木があったのだが、それに寄り添うようにして綺麗なハイビスカスの花が咲いていた。

沖縄でも見られるアオイ科の植物なので、日本人にとっても比較的馴染みのある熱帯の花だと思う。
また、この場所ではこちらの花も僕の興味を引いた。

南アメリカが原産地のクマツヅラ科の植物、ランタナだ。咲き進むに連れて花の色が黄色・オレンジ・赤へと徐々に変化していくことから、和名ではシチヘンゲ(七変化)と呼ばれているらしい。
残念ながら時季が少し遅かったため僕はお目にかかれなかったが、4月の下旬頃までならヒスイカズラもここで見られたらしい。
熱帯の植物が年中楽しめる温室と言っても、時季によって見られる植物は変わるため、度々訪れて咲いている植物の違いを確かめてみるのも面白いだろう。
階段を上がり切ると、温室の2階部分に辿り着く。

奥に進むと下から見上げた時に目にした橋があるので、橋を渡ってさらに奥へ進もう。

橋の上からは下記の画像のような風景が楽しめる。

この橋の上こそが熱帯のジャングルに迷い込んだ感が最も強く体験できる場所だと思う。
橋を渡り切ると温室の出口が見えてくるので、ここから本館に戻ろう。

温室から連絡通路を渡って本館に戻ろう。

通路を奥まで進むとモスモスの側にある階段に辿り着く。

この階段を降りるとフィボナッチ数列の解説パネルがあった場所の裏に出てくる。
ここにはトイレもあるため、次のエリアに進む前に寄っておくといいだろう。
中庭
最後のエリアとして、中庭を紹介しておこう。
本館の1階に降りたら受付カウンターの付近まで一旦戻ろう。
最初のオブジェがあった場所の左脇に中庭に続くドアがあるので、そこから中庭へ進もう。

中庭に入ると、右奥には先ほど訪問した温室が望める。

左側には植物園に併設されたレストランが配置されており、食事客はこの中庭の風景を楽しみながら食事が楽しめる作りになっている。

中庭自体は回遊式の遊歩道のような構造になっているため、道の両脇に咲いた花を楽しみながら散歩するのもいいだろう。
また、ベンチなどの座れる場所も豊富に用意されているので、疲れたらここで小休止もできる。
個人的におすすめの場所が中庭の入口から右奥に進んだ場所にある階段の上。

本館と温室の間にある連絡通路の前に当たる場所なのだが、ここでは花壇とベンチが階段状に配置されている。
少し高い場所から中庭の様子を一望できるため、鑑賞の合間の気分転換にちょうどいいだろう。

GANON BOTANICA LAB
ここまでで主な展示エリアは紹介してきたが、実はこの植物園には忘れてはいけない体験型コンテンツがもう1つ残っている。
それが、HANA ASOBIだ。
プロデューサーであるHIKARU SEINO氏が代表を務めるフラワーショップ「GANON」が主催する花のワークショップになっている。
この花の美術館の中にはGANONの支店(GANON BOTANICA LAB)が設けられており、そこで簡単なフラワーアレンジメントの制作を体験できるようになっている。
まずは、その受付場所となるGANONの店舗までご案内しよう。
本館の北側、受付カウンターから右奥へ進むとGANON BOTANICA LABの入口がある。HANA ASOBIの受付はここで行うことになる。

入口の前にはHANA ASOBIの詳細を伝える看板がある。

生花コース(2,200円)とドライフラワーコース(3,300円)の2種類があるので、制作を体験したい方のコースを選んで中の店員に伝えよう。
なお、受付は昼の部が11:00〜15:00まで、夜の部が17:30〜20:00までとなっているため、体験を希望する場合は時間に余裕を持って申し込むのがおすすめだ。
こちらはGANONの店舗内の様子。

天井から手提げビニール袋に入れられた小さなブーケが吊り下がっているのが見えると思うが、ワークショップではこのようなブーケを作っていくことになる。
店舗内にも数多くのフラワーアートが展示されているので、フラワーアーティストは目指す方には一見の価値があるだろう。
こちらは美術館のシンボルでもある青リンゴをテーマにしたディスプレイらしい。

ちなみに、店員さんに聞いたところによると、店内に配置されている花器は北欧製のものをチョイスしているのだとか。
受付を終えたら、実際にワークショップが開催される場所となる隣の部屋「HANA ASOBI」に移動しよう。
「HANA ASOBI」は店舗から中庭(光庭)を挟んだ向かい側にある。

なお、この場所は開放的な空間に椅子が置かれているため、一息につく場所としてもいいだろう。
ワークショップ室「HANA ASOBI」の中に入ると、ブーケ制作に使用する色とりどりの豊富な花材が置かれている。

向かって右側が生花の花材、左側がドライフラワーの花材になっている。


コースに適したものを選んだら、店員によるガイドを受けながらブーケの制作を進めることになる。
ちなみに、この「HANA ASOBI」では、もう1つのコンテンツも用意されている。
それが、HANANINGEN(花人間)だ。
頭にフラワーアレンジメントを活けてもらった上で、ポートレートを撮影してもらえるというユニークなサービスになっている。
また、アレンジメントを頭に乗せたまま館内を回遊もできるため、花との一体感を味わって見たい方にもおすすめとのこと。
詳細はGANON BOTANICA LABの公式サイトに掲載されているので、興味がある方はそちらを見ていただくといいだろう。
その他の利用施設
BOTANICA MUSEUMの園内にあるその他の施設についても簡単に紹介しておこう。
まずは、本館の入口を入った場所の真正面にあるお土産物売り場。

ここにもプロデューサーのHIKARU SEINO氏が手掛けたフラワーアートが展示されているので、すぐにそれとわかるだろう。
この場所ではシャツやパーカー、観葉植物の鉢植えなどが販売されている。

中にはセール品もある。気に入った品があった場合は近くにいるスタッフに声掛けするといいだろう。
次に、本館の隣に併設されているレストラン。

ここでは花のような見た目で盛り付けられた2種類のフラワーガーデンパスタが堪能できる。

味覚でも花の魅力を味わってほしいという主旨なのだろう。
また、7個の小さなスイーツの盛り合わせや、青リンゴのスカッシュも注文できるので、館内鑑賞の合間に休憩がてら利用するのもいいかもしれない。
後庭
BOTANICA MUSEUMの敷地内には後庭という別の庭園が存在する。
最後にそちらも簡単に触れておこう。
後庭はBOTANICA MUSEUMの本館や温室の背後、西側に位置している。
前庭から後庭に向かうにはまず、本館の建物を正面に見て向かって左側の奥にあるもう1つの出入口から敷地を一旦出よう。

そこから西に少し進むと、バーベキュー場の先に花で飾られた日時計のオブジェと花壇が配置された広場に出る。

日時計の後ろには温室の建物が見えるが、その手前に後庭へ続く入口がある。
この後庭はリニューアルオープン後に「サンクチュアリガーデン」と改名されたらしい。
ちなみに、僕が訪問した5月中旬頃には庭園内のバラがちょうど見頃になっていた。
同じ時季に植物園を訪れる際、時間に余裕があるならこの後庭にも寄ってみるといいだろう。
なお、最初に訪れた前庭と同様、この後庭も開園時間内なら無料で入場できるようになっている。
BOTANICA MUSEUMからの帰り方
BOTANICA MUSEUMでの鑑賞や観察が終わったら後は帰路に着くだけだ。
しかし、バスで駅まで帰る場合は1つ注意点があるので、最後にそれを解説しておこう。
まず帰りのバスは、入口の近くにあった「花の美術館」という名前のバス停から乗車する。

時刻表は下記の通りだ。

ここから出るバスに乗れば、JR稲毛駅とJR稲毛海岸駅のどちらにも向かえる。
ただし、JR稲毛海岸駅に向かう場合は注意が必要だ。
このバスはJR稲毛海岸駅には直接止まらないため、帰りの際は駅から最も近い場所にある「高洲第2」というバス停で下車することになる。
そこから10分ほど歩いてJR稲毛海岸駅に戻ることになる。
なお、JR稲毛駅に向かう場合は、そのまま「稲毛駅」のバス停まで乗って行けばいいので注意点は特にない。
ちなみに、夜の部を訪問した帰りにバスを利用する場合にも注意だ。
18:30以降はこの停留所にはバスが止まらないので、ここから海浜大通りを少し東に行った場所にある「高浜車庫」というバス停で乗車することになる。
では、「高洲第2」の停留所からJR稲毛海岸駅までのルートを案内しておこう。
バス停に着いたら下車して、海岸のある南側へ少し戻る。

最初の十字路を右折して直進する。

突き当たりにイオン・マリンピアの建物が見えるので右折する。

少し歩くと正面に自転車置き場が見えてくる。そしたら左折してマリンピアの建物に沿って進む。
すると、やがて視界が開けてJR稲毛海岸駅の駅舎が見えてくる。

総評
今回は、この春に稲毛海岸でリニューアルオープンした新しい花の美術館「BOTANICA MUSEUM」についてのレポートをお送りした。
この花の美術館にはフラワーアートの要素も取り込まれているため、従来の単なる植物園とは違って、多彩な観点から花のある暮らしを体感できるようになっている。
花などの植物そのものが好きな方はもちろん、フラワーアーティストを目指す方にとってもおすすめの施設になっていると実感した。
ぜひこのBOTANICA MUSEUMを訪れて自然の奇跡を体感してもらえれば幸いだ。
なお、今回は昼の部の様子を紹介したが、夜の部はライトアップによって昼間とは全く異なる雰囲気の美しさが楽しめるとのこと。
僕も次回は夜の部をチョイスして行こうと思う。
とても楽しみだ。
今回の取材で使用したカメラ機材
ミラーレスカメラ
OLYMPUS E-M1 Mark III ↓
現行の後継モデルはこちらのOM SYSTEM OM-1 Mark II ↓
交換レンズ
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO ↓
M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO ↓
M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO ↓