梅雨や夏場などの高温多湿な環境ではカビが発生するリスクが格段に高まるため、高い品質を保ったままカメラやレンズなどの機材を保管するには対策が欠かせない。
そんな時に重宝するアイテムが防湿庫だ。
僕は2年ほど前に買い替えた時から、Re:CLEANブランドのRC-50LとRC-80Lという2台の防湿庫を愛用している。(※RC-80Lは生産完了。)
リーズナブルな価格ながら機材の保管に必要な機能が充実しており、デザインも素晴らしいので、書斎の脇に置いていつも重宝している。
今回の記事では、このRe:CLEANのRC-50LとRC-80Lを長期使用したレビューをお届けする。
また、本記事の最後では、後継の新シリーズに当たるRe:CLEAN NEXTのRCN-50DとRCN-70Dに関する変更点についても紹介していく。
コスパの優れた防湿庫を探している方はぜひとも参考にしてほしい。

防湿庫の基本
レビューを始める前にまず、防湿庫の基本について復習しておこう。防湿庫を初めて購入する方も知っておくといいだろう。
防湿庫とは?
防湿庫とは、カメラやレンズといった精密・光学機器の保管に特化した、除湿機能を備える専用の保管庫のこと。
庫内の湿度を一定に保つことができるように設計されており、電子制御によって自動的に湿度調整が行われる。これにより、大切なカメラ機材を湿気によるカビやサビ、電子部品の劣化から守ることが可能となる。
高価なカメラ機材を長く良好な状態で使用し続けるためには、適切な湿度管理が欠かせない。それを効率よくサポートするためのツールとして防湿庫は重宝する。
ドライボックスとの違い
ちなみに、類似の保管アイテムとして下記のようなドライボックスがある。
しかし、こちらは使い捨て式の乾燥剤を使用するため、手動で乾燥剤の定期的な交換が必要になる。
一方、防湿庫は電源に接続することで半永久的に除湿機能を維持できるため、乾燥剤を交換するなどの手間がかからない。機材保管に関する煩わしさをできるだけ省きたい方におすすめだ。
とはいえ、ドライボックスに比べると高価なのが防湿庫の難点。
しかし、防湿庫は写真家にとって大切な機材コレクションをあらゆる環境リスクから保護し、撮影ライフをより一層豊かなものにするための賢明な投資と言える。
防湿庫は機材ディスプレイとしても有効
防湿庫の魅力は機材保管の効率化だけに留まらない。
単に機材を効率よく保管するだけでなく、お気に入りのカメラやレンズを美しく陳列する機材ディスプレイとして活用できる点も魅力だ。
コレクションを眺める喜びを与えてくれるだけでなく、出し入れもしやすくなるため、撮影意欲の向上にも繋がるだろう。
防湿庫を導入する必要性
防湿庫は本当に必要なのかと疑問に思う方もいることだろう。
その疑問に関しても改めてお答えしておこう。
結論から言うと、日本に居住して写真やカメラを長く楽しみたいなら防湿庫は極力導入した方がいい。
多湿な環境では機材にカビが生えやすい
多湿な環境下でカメラ機材を何日も放置し続けることは非常に危険。生成AIのGeminiで再現した下記の画像のレンズのように、カビが発生する温床になりやすいからだ。

ちなみに、カビの発生したレンズで撮影すると、下記のような写りになる。

こちらもGeminiで生成した画像だが、実際の場合もこのように、画面全体が白っぽく曇ったり、カビの白い影が写り込んだりする。
日本の気候は機材にとって年中厳しい
カメラの本体内部や交換レンズにカビが発生する主な条件は、湿度70%以上の多湿な状態と気温10〜30℃の常温が3日以上継続すること。
このカビの生育に適した気候は、日本では特に5月から10月にかけての半年間も続く。これは梅雨や盛夏だけでなく、春先や秋口といった季節にも対策が必須であることを意味する。
また、冬場のように極端に乾燥しすぎた状態も、機材の可動部やゴム部品には良くない。例えば、レンズのヘリコイドグリスが固着したり、ゴムパーツが劣化したりする可能性もあるからだ。
湿度を適切に管理できる防湿庫は年間を通して決して無駄にならない。
カビた機材の修理費用は高額、買取代金は大減額
一度カメラ機材にカビが生じてしまうと、その除去には数万円以上の高額な修理費用が必要となる場合が多い。
特にレンズ内部のカビは分解清掃が必要となるが、その費用は時にレンズの買い替えを検討するほどの負担になることもある。
また、機材に生えたカビは機材を売却する際にも注意が必要。例えば、どんなに高性能で高価なレンズであったとしても、わずかでもカビが生えていると、査定時に大幅に減額されてしまうことがよくある。
将来の買い替えや売却も視野に入れつつ、機材のパフォーマンスを長期間高く保つためには、防湿庫を使った適切な機材保管は欠かせない。
カビは他の機材にも伝染する
機材に生えたカビで最も深刻なことは、他の機材にも伝染するということ。
一度発生したカビはその近くに保管されている他の機材にも胞子を飛ばす。その結果、周りに置いてある機材にもカビの侵食が徐々に進み、気付いたら取り返しのつかないことになっていたということも十分に考えられるのだ。
必死に働いて貯めた大金で購入したカメラや、祖父から受け継いだ大事なレンズなどをそのような目に遭わせてしまうことは絶対に避けたい。
こうした事態を防ぎ、高価なカメラ機材をカビの発生から確実に保護するためには、適切な湿度のもとで管理できる防湿庫は必須のアイテムといえる。
日本という高温多湿な季節が多い環境で、長く写真やカメラを楽しんでいきたいなら、機材の保管用として防湿庫を用意しておくことを強くおすすめする。
僕が最初に購入した防湿庫
ここまでで防湿庫の基本や必要性について改めて理解してもらえたと思う。
そんなわけで、今から約6年前、僕が最初に導入したのがこちらの防湿庫だった。
その詳細については以前に上記の記事で解説したので、興味がある方は目を通してもらうといいだろう。
現在この防湿庫は知人に譲渡してしまったため僕の手元にはもうないが、手頃な価格ながら品質が良く使いやすかったのでとても気に入っていた。
さて、それから4年が経った2023年の初夏頃、1つの問題が起きていた。
メイン機材がE-M5系からE-M1系に移ってからしばらくが経ち、M.ZUIKO PROレンズを中心に所有するレンズの数も大幅に増えてきたことで、それまで使っていた容量50Lの防湿庫では保管が追いつかなくなっていたのだ。
そこで防湿庫を増設しようと、再びIDEXで探していたのだが…
なんと、IDEXの防湿庫は以前と比べてラインアップが大幅に減った一方で、価格が全体的に大幅に値上がりしていた。そのため、もはやIDEXという選択肢は現実的ではないと判断し、IDEXで防湿庫を追加購入するのは断念して他を探すことになった。
その矢先に見つけたのが次のブランドだった。
僕が選んだ乗り換え先はこれだ!
IDEXに替わる乗り換え先として僕が見つけたのは、Re:CLEAN(リクリーン)というブランドの防湿庫だった。
日本発の防湿庫ブランド「Re:CLEAN」
最初に、このRe:CLEANについて簡単に紹介しておこう。
ちなみに、このRe:CLEANは、埼玉県の川越市に本社を置くLINTECT(リンテクト)という日本企業が展開しているらしい。つまり、日本発の防湿庫メーカーというわけだ。
なお、LINTECTは防湿庫以外にも、BROOKLYN FACTORY(ブルックリンファクトリー)というブランド名でスタイリッシュなカメラバッグやストラップを、BESSON(ベッソン)というブランド名でワインセラーなども取り扱っている。
同社の公式オンラインショップ:INNEUTRAL(インニュートラル)や、各種ECサイトで販売されているので、興味がある方はそちらも見てみるといいだろう。
INNEUTRAL | LINTECT公式オンラインショップ
僕が新たに選んだ防湿庫
さて、そのRe:CLEANブランドで僕が新たに選んだのが次の防湿庫だった。
収納容量50Lを持つスリム設計の中型防湿庫、Re:CLEAN RC-50Lだ。
まず2023年の初夏にRe:CLEAN RC-50Lを購入。それから約1年経った2024年の初夏に、1サイズ上となる収納容量80LのRe:CLEAN RC-80Lを追加で購入した。(※ Re:CLEAN RC-80Lは生産完了。)
そのため、2025年6月現在、Re:CLEAN RC-50Lは2年以上、Re:CLEAN RC-80Lは1年以上使い続けてきたことになる。
Re:CLEAN RC-50L/RC-80Lのおすすめポイント
僕がRe:CLEANのRC-50LとRC-80Lを購入するに当たり、着目したのは次の項目だった。
- 日本製のペルチェ式除湿ユニットを採用
- 日本製の高精度な湿度計を搭載
- 付属品が充実したフルセットを用意
順番に詳しく紹介していこう。
日本製のペルチェ式除湿ユニットを採用
まず僕の目を引いたのが、Re:CLEANのRC-50LとRC-80Lでは、防湿庫の心臓部となる除湿機構に日本製のペルチェ式除湿ユニットを採用しているということ。
防湿庫が採用する除湿方式には、ペルチェ素子方式と乾燥剤方式の2種類が存在する。
- ペルチェ素子方式:半導体の一種であるペルチェ素子が持つ、電流を流すと一方の面が吸熱し、反対の面が発熱するという冷熱特性を除湿に利用する方式。除湿ユニットの内側の冷却板で庫内の湿気を結露させて吸着し、外側の放熱板で水分を庫外へ排出することで除湿を行う。
- 乾燥剤方式:シリカゲルなどの乾燥剤を使って除湿を行う方式。基本的な原理はドライボックスと同じだが、庫内で定期的に加熱して水分を蒸発させることで乾燥剤を自動再生できるため、半永久的に使用できる。
ペルチェ素子方式のメリットをまとめると次のようになる。
- 連続的に除湿を行うため除湿スピードが格段に速い→ 庫内の湿度を素早く下げられる
- 駆動部分が少なく音や振動がほとんど発生しない→書斎や寝室でも快適に使える
- 本体の価格が比較的安価→乾燥剤方式のものと比べて約半値程度で購入できる
このように、ペルチェ素子方式の防湿庫には様々なメリットがある。
そして、今回僕が選んだ防湿庫のRC-50LとRC-80Lでは、その心臓部となるペルチェ式除湿ユニットに、累計生産台数160万台を誇る日本メーカーが開発したものを搭載している。2年以上使った現在でも動作が非常に安定していることから品質には間違いがないので、初めての方でも安心して使用できるだろう。
しかも、このペルチェ式除湿ユニットはハイパワー設計を採用している。機材を取り出すために扉を開け閉めした後でも即座に素早く除湿が進むため、防湿庫から頻繁に機材を取り出すことが多い方にもおすすめだ。
日本製の高精度な湿度計を搭載
Re:CLEANのRC-50LとRC-80Lで次に着目したのが、日本製の高精度な湿度計を搭載していること。
防湿庫にとって除湿ユニットと同じくらい重要なパーツが、庫内の湿度を計測する湿度計だ。
精度が悪くて庫内の湿度を正確に計測・表示できないと、機材を保管する上で非常に困る。防湿庫を使用する場合は、季節に応じて除湿ユニットの効果を調整する必要があるのだが、その元となる指標に誤差が多いと適切な調整ができない。
また、万一防湿庫の除湿ユニットに異常が発生した場合も同様だ。異変に気付くのが遅れるため、結果として大切な機材を好ましくない環境に置いてしまう時間が長くなってしまう。
湿度計が防湿庫にとってどれだけ重要なものかお分かりいただけただろう。
今回僕が選んだRe:CLEANのRC-50LとRC-80Lでは、アナログ式の湿度計が採用されている。
低価格帯の防湿庫で見かけることが多いデジタル式のものと違って、アナログ式の湿度計は計測した湿度と表示する湿度の誤差がより少ない。デジタル式のものは最大20%もの誤差が出ることもあるのに対し、アナログ式の湿度計は実測値と表示湿度の誤差が±3%以内までに抑えられている。
この誤差が少ないというアナログ式の特性は航空業界でも長年にわたって信頼されており、飛行機の計器類にもアナログ式のものが主に使われているのだとか。
しかも、このRe:CLEAN RC-50L/RC-80Lでは、創業50年以上を誇る日本の老舗メーカーと共同開発したものが採用されている。
湿度計という細かなパーツまでおろそかにしない、この徹底した品質へのこだわりも大事な機材を信頼して預けられるという安心感に繋がっているのだろう。
加えて、本防湿庫に搭載されているアナログ湿度計はデザインがシンプルで洗練されている点にも触れておきたい。
LCDの表示がうるさいデジタル湿度計と違って、防湿庫を部屋に置くと控えめながらもスタイリッシュな佇まいになる。中に保管した機材の雰囲気を妨げないので、機材ディスプレイとしても違和感なく活用できる。
付属品が充実したフルセットを用意
他社と違って、購入時に付属品が充実したフルセットが選択できるのもRe:CLEAN RC-50L/RC-80Lの魅力だ。
Re:CLEANの防湿庫では、基本的に4種類のコースが用意されており、それぞれでセットに含まれる付属品の内容が異なる。
例えば、RC-50Lを例にとると、各コースで次のようなセット内容が用意されている。
- 標準機能:本体のみ
- ライト機能付き:本体、庫内ライト
- ライト充電機能付き:本体、庫内ライト、庫内充電
- フルセット:本体、庫内ライト、庫内充電、追加トレー、追加マット
Re:CLEAN RC-50Lは初期状態ではスライドトレーが2枚付属しており、3段構造の防湿庫として使えるのだが、人によっては所有している機材が多く4段構造で使いたいという方もいることだろう。
そんな場合に初めからフルセットを選んでおけば、追加のスライドトレーとスポンジマットが付属するため、1回の買い物で必要なものが全て揃えられる。
しかも、後から個別でトレーやマットを単体で追加購入する場合よりも金額がお得で、送料も節約できるので、お財布にも優しい。
ちなみに、他社の場合はフルセットが用意されておらず、必要なオプション品を割高な価格で別途追加購入しなければならないことが多々あった。
対して、このRe:CLEANの販売スタイルは、コスパの面でも非常に理に適っているので、これから購入する方も非常に助かることだろう。
いざ、開封の儀!
では、ここからはお待ちかねの開封の儀だ。
Re:CLEAN RC-50Lを購入した当時の開封画像が残っていたので、その様子を一緒にプレイバックしていこう。
ちなみに、1サイズ上のRe:CLEAN RC-80Lも、サイズ以外の仕様や同梱品はRC-50Lと全く同じとなっている。Re:CLEAN RC-80Lの購入を検討している方にも参考になるだろう。
さて、下記は届いた直後の様子だ。防湿庫の入った外箱はこのようなデザインになっている。

外箱から防湿庫本体を取り出すとこんな感じ。

この時はフルセットで注文したのだが、庫内には追加のものも含めてスライドトレー(棚板)が3枚、平型スポンジマットが4枚、レンズ用の波型スポンジマットが3枚入っていた。

外箱の中には本体とは別にもう1つ小さな箱が入っており、その中には湿度計・人感センサー付き庫内ライト・庫内充電ケーブル・ACアダプター・鍵などが梱包されていた。

こちらは岩手に工場を持つ老舗メーカーが作ったアナログ湿度計が入った箱。

蓋を開けると簡単なメッセージ書きが中に入っていた。こういう細かなところにも品質へのこだわりが感じられる。

こちらはフルセットにも含まれる人感センサーを内蔵した庫内ライト。

横のメタルプレートの裏面はシールになっており、防湿庫の天井裏などに貼り付ける。庫内ライトの裏側にはマグネットが付いているため、プレートに近づけるとビタっとくっ付いて固定できる。
こちらもフルセットに含まれる庫内充電用のUSBケーブル。

庫内上段の奥にある除湿ユニットに挿し込むと使用できるようになる。ただし、機器側の仕様がUSB Type-Aポートになっているので、充電に使えるカメラ本体やバッテリー充電器が少々限られる。
アナログ湿度計をガラス扉の裏側に取り付けたところ。

全体としては主張の少ないシンプルで洗練されたデザインになっているが、アナログ湿度計が良いアクセントになっている。とてもクールだ。
収納する機材のサイズに合わせてスライドトレーの取付位置を調整し、各段にスポンジマットを敷いたところ。

最上段の奥には除湿ユニットが搭載されている。駆動中であることを示す緑色のランプがしっかり点灯しているので、運転も正常のようだ。
これにて設置の準備は完了。あとは設置場所に防湿庫を置いて、中に保管する機材を入れるだけだ。
ちなみに、Re:CLEAN RC-50L/RC-80Lの外寸は次のようになっている。
- Re:CLEAN RC-50L:幅29×奥行33.5×高さ58cm
- Re:CLEAN RC-80L:幅38×奥行40.5×高さ60cm
配置場所を決める時の参考にしてほしい。
設置後の様子
ここからは全ての設置を終えてから1〜2年経った現在のRe:CLEAN RC-50L/RC-80Lの様子を、実際の収納状況を交えてお送りする。
Re:CLEANのRC-50LとRC-80Lを設置した場所の現在の様子はこんな感じ。

デスクの上に乗せる形で壁際に置いて使っているが、右側がRe:CLEAN RC-50L、左側がRe:CLEAN RC-80Lだ。
RC-50Lに関しては、真下にケーブルマネージメントや充電ポートなどの置き場を作りたかったので、木製の頑丈なラックに乗せて一段高い位置に上げている。底部の脚は耐震ジェルでしっかり固定しているため、多少の揺れをものともしない安定した状態になっている。
では、実際に防湿庫の庫内の様子を見てみよう。防湿庫内に機材を配置する際の一例として参考にしてほしい。
Re:CLEAN RC-50Lの収納実例
まずは、Re:CLEAN RC-50L。この防湿庫は基本的にサブ機であるミラーレスカメラのPEN E-P7と、防水コンパクトカメラのTough TG-7で使う機材の保管に活用している。
下記の画像は蓋を開けて天井裏の庫内ライトを照らした様子。

中の収納物を上から一段ずつ見ていこう。
最上段はカメラ本体用の保管場所になっている。PEN E-P7、TG-7のほか、奥には2008年に発売したオールドデジタル一眼レフカメラのE-30を置いている。

なお、TG-7はこの時撮影に使っていたので画像にはないが、本来は右下のエリアに置いている。
上から2段目には、電動系のズームレンズや、ボディーキャップレンズ、それからTG-7専用のレンズコンバーター類を保管している。

続いて、3段目には、旧M.ZUIKO PREMIUMシリーズの単焦点レンズを一式保管している。

そして、最後の4段目には、PREMIUM単焦点レンズなどで使用するPLフィルターやNDフィルター、E-P7やTG-7で使うカメラストラップなどのアクセサリー類を保管している。

余ったスペースを活用して、KODAKのフォトプリンターや、PCのモニターキャリブレーションに使う測色器なども置いている。
Re:CLEAN RC-80Lの収納実例
次は、Re:CLEAN RC-80L。この防湿庫は主にメイン機であるOM-D E-M1 Mark IIIで使う機材の保管に活用している。
下記の画像は蓋を開けて天井裏の庫内ライトを照らした様子。

先ほどと同じように、中の収納物を上から一段ずつ見ていこう。
最上段はカメラ本体用の保管場所になっている。OM-D E-M1 Mark IIIを2台、その奥には専用縦位置グリップのHLD-9も2台置いている。

上から2段目。ここではM.ZUIKO PROシリーズの単焦点レンズを主に保管している。

奥のスペースはまだ余裕があるので、今後新たに欲しいレンズが出てきた時にも柔軟に対応できるようになっている。ちなみに、一番右端のレーンには、E-30で使用するフォーサーズ(FT)時代のレンズを置いている。
続いて、3段目。ここでは同じくM.ZUIKO PROシリーズのズームレンズと、専用テレコンバーターを主に保管している。

こちらもスペースにはまだ余裕がある。今後F4通しの超望遠ズームレンズが出た時に備えて空けてあるのだ。
ちなみに、内寸の奥行は34.2cmになっている。年末年始に超望遠ズームレンズのM.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 ISを1ヶ月間レンタルした際は、レンズをこの防湿庫で保管したのだが、問題なく収納できた。(邪魔になるので三脚座は外したが。)
最後に、4段目。こちらも先ほどと同様、フィルターやストラップなどのアクセサリー類を保管している

防湿庫の実際の使用状況はこんな感じだろうか。
Re:CLEAN RC-50L/RC-80Lの良かったところ
ここからはRe:CLEAN RC-50Lを2年以上、Re:CLEAN RC-80Lを1年以上使ってきた所感について共有しよう。
まずは特に良い、便利だと思ったところ3点だ。
庫内レイアウトを自在にカスタマイズできる
Re:CLEAN RC-50L/RC-80Lでは、各段のスライドトレー(棚板)の高さを変えられるようになっている。
庫内の左右にはトレー固定用のホルダーを挿し込める穴が等間隔で開けられている。好みの位置にホルダーを取り付けることで、トレーの固定位置を各段ごとに細かく調整できるのだ。
これによって、中に収納する機材のサイズに応じて庫内の各段の高さを自在にカスタマイズできる。多くの機材を所有しているユーザーの立場からすると、これはとても便利だ。
また、これからカメラを本格的に始める方にも、この自由度の高さは大きなメリットになる。
将来的に使うカメラが初級機から中上級機へ変わったり、保管したいレンズの本数や種類が変わったりしても、柔軟に対応できるようになるからだ。
スライドトレーで機材が出し入れしやすい
収納実例の項目で見てきたように、Re:CLEAN RC-50L/RC-80Lの各段はスライドトレー式の棚板を採用している。
トレーを引き出せるため、棚の奥にも機材を簡単に出し入れできるのだ。
僕のRe:CLEAN RC-50Lの収納実例のように、棚の手間から奥までぎっしり機材を詰めている場合でも、周囲の機材や上段のトレーとぶつかることなく出し入れできるため、とても重宝している。
また、奥にしまった機材を探す時にもこのスライドトレーは便利だ。Re:CLEAN RC-50L/RC-80Lでは特にその利便性を強く感じる。
というのも、これらの防湿庫の庫内ライトは基本的に天井にのみ取り付けが可能なため、側面や奥からは照らすことができないからだ。そんな状況で庫内の奥にしまった機材を探すのは困難だろう。
しかし、スライドトレーを駆使すれば、奥にしまった機材も確認がしやすくなる。
アナログ式湿度計がクールで頼りになる
アナログ式湿度計もRe:CLEAN RC-50L/RC-80Lで僕が特に気に入っているポイントだ。
飛行機の計器類と同じように高精度で完成度の高い作りなので、大事な機材をしっかり守ってくれているという信頼感と安心感がある。これらはデジタル式の湿度計では決して得られないものだろう。
また、単純に湿度計の外観が洗練されていてすごくクール。だからといって主張が強いわけではなく、あくまでは主役は中で保管されている機材で、湿度計はデザインのアクセントとしての引き立て役にすぎないとでも言うかのような潔さが粋だ。
こんなに頼りになって、しかも美しい湿度計はこれまでお目にかかったことはない。
Re:CLEAN RC-50L/RC-80Lの気になったところ
続いて、ここからはRe:CLEAN RC-50L/RC-80Lで今ひとつ、残念だと思ったところを3点お伝えしよう。
一部手動での調整が必要
Re:CLEAN RC-50L/RC-80Lでは、除湿効果の強弱は庫内の奥にある除湿ユニットに搭載されたダイヤルを使って手動で調整するという方式を採用している。
梅雨や夏場など湿度が高い季節は効果を強めに、冬場などやや乾燥した季節は効果を弱めに設定する。つまり、季節や時期に応じて庫内の大まかな湿度の設定は自分で行う必要があるということ。
一度庫内の湿度を設定しておけば、気候や外気の状態が大きく変わらない限りは再度操作する必要はない。いわばセミオート式というわけだ。
ただ、以前使っていたIDEXのD-Strageのように、電源を入れるだけで機材保管に適した湿度40%が保たれるフルオート式の防湿庫と比べると、手動での操作が必要な箇所があるという点は若干の不便さを感じる。
また、湿度の調整用ダイヤルが庫内の奥にあるのも難点だ。設定中は庫内を開放しなければならず、その間は庫内の湿度はぐんぐん上がってしまうため、ちょっと非効率かなと思われる。
とはいえ、セミオート式の防湿庫のように、外気の状態に応じて臨機応変に庫内湿度を調整できる余地がある方がより適切な保管が可能になるのだろう。
ある程度高価な機材も扱っている現在の自分の立場からすると、Re:CLEAN RC-50L/RC-80Lの仕様の方がより理に適っていると最近は思うようになってきた。
庫内ライトが1箇所でしか照らせない
庫内ライトの仕様に関してはやや不便な感じが否めない。
というのも、開封の儀の項目で見てきたように、Re:CLEAN RC-50L/RC-80Lに付属する庫内ライトはマグネットを内蔵している。しかし、対応するメタルプレートは1枚しかなく、貼り付けた1箇所にしか庫内ライトを取り付けることができないのだ。
大体の方は天井裏に貼り付けると思うが、そうすると最上段のトレーしか照らすことができない。2段目から下まで光を回らせることができないため、下段になるほど奥にある機材を確認したり取り出したりするのが難しくなる。
この仕様は少し改善が必要だと思っている。少なくとも、庫内ライトをより多くの場所に脱着して使えるように、メタルプレートを複数枚同梱してほしい。
ただ、この庫内ライトにも便利な点はしっかりある。
それは人感センサーを内蔵していること。スイッチでセンサーを「AUTO」に設定した状態だと、扉を開けたりライトの下に手をかざしたりした時に自動でライトが点灯するように設計されている。
庫内ライトをいちいちON/OFFする手間がなくなるので、この点は気に入っている。
庫内充電機能が使いにくい
庫内充電の仕様は、このRe:CLEAN RC-50L/RC-80Lにとって最も改善が必要な点だと思う。
これも開封の儀で見てきたように、機器と接続する側がUSB Type-Aポートというやや特殊な仕様になっている。
つまり、カメラ本体やバッテリー充電器を接続するためには、USB Type-Aコネクタを採用した変換ケーブルを別途用意する必要があるということだ。
カメラ本体とUSBポートを直接繋いで給電する本体内充電の場合はともかく、バッテリー充電器へ給電する場合は、充電器に対応する片側にUSB Type-Aコネクタを搭載したACケーブルを探す必要があるが、市場ではほとんど見かけない。
僕が所有しているカメラの中では、唯一Tough TG-7で使っている純正のバッテリー充電器だけがデフォルトでUSB Type-Aコネクタを搭載しているくらいだ。言い換えれば、僕にとってはTG-7の充電にしか使う機会がないということ。
要するに、非常に使いにくい仕様なのだ。
この庫内充電に関しては、他社と同じように単に2つ穴のコンセントを搭載してくれればよかったのになと思う。この点だけが本当に悔やまれる。
便利機能が強化された新モデルも登場!
最後に、LINTECTが最近リリースした防湿庫の新シリーズ:Re:CLEAN NEXTについても触れておこう。
新しいラインアップには6種類の新型防湿庫が追加されており、RC-50LとRC-80Lから見るとそれぞれ次のモデルが事実上の後継になっている。
RC-50Lの後継モデル:RCN-50D ↓
RC-80Lの後継モデル:RCN-70D ↓
細かなサイズや容量以外で大きく変わったのは次の3点。
- 完全自動除湿に対応
- 一体型の庫内ライトを左右に搭載
- 新設計のデジタル温湿度計を採用
それぞれを簡単に見ていこう。
完全自動除湿に対応
新モデルでは完全自動除湿に対応している。
これは、基本的には電源を入れるだけで機材の保管に適切な湿度が保たれるようになっているということ。要するに、ダイヤルを回すなど手動で調整する手間が最小限に抑えられているのだ。
湿度の設定を微調整したい場合でも、本体の前面上部にあるコンソールパネルで操作を完結できるのも便利。RC-50LやRC-80Lと違って、調整の度に扉を開放する必要もなくなるので、無駄な電力消費も省ける。
一体型の庫内ライトを左右に搭載
新モデルでは庫内ライトの仕様も大きく変更されている。
庫内の左右奥に全段を貫くような形でLEDライトバーが搭載されているのだ。ライトが届かないデッドエリアが大幅に減ったため、下の段や奥にしまった機材も探索や出し入れがかなり容易になる。
これは非常に便利。最上段だけというごく限られた1箇所しかピンポイントで照らせないRC-50L/RC-80Lの庫内ライトに比べると、とても大きな進化を遂げている。
しかも、電源は防湿庫本体と連動している。RC-50L/RC-80Lの庫内ライトと違って、乾電池の交換という手間が不要になっているのが便利だ。
また、庫内ライトのON/OFFは、湿度設定と同様、本体前面のコンソールパネルで操作できる仕様に変更されている。人感センサーは廃止されたようだが、実際の使用では、誤作動することがないこの方式の方がより使いやすいのかもしれない。
新設計のデジタル温湿度計を採用
最後に、湿度計の仕様がデジタル式に変わった点にも注目したい。
RC-50L/RC-80Lが搭載するアナログ式湿度計の精度と美しさを知ってしまった者からすると、これは賛否両論あるやや微妙な仕様変更なのかもしれない。
ただ、新設計の湿度計では、庫内の湿度だけではなく温度も同時に表示できるようになっている。庫内の情報をより多くの観点から把握できるようになったというのは、機材を管理する上ではプラスになることは間違いない。
以上が新モデルに採用された大きな変更点だ。
湿度計はデジタル式になってしまったなどの微妙な変更点もあるが、全体的に見れば、RC-50L/RC-80Lよりもさらに使いやすくなったと思う。
僕も次防湿庫を使いで増設する時は、この新シリーズのRe:CLEAN NEXTから選ぶつもりだ。
総評
今回の記事では、Re:CLEANの防湿庫、RC-50L/RC-80Lを1〜2年使用した所感を長期レビューとして共有した。
初心者でも購入しやすいリーズナブルな価格ながら、品質が全体的に優れており、機材の保管に役立つ便利な機能も充実しているので、初めて防湿庫を購入するという方にもおすすめだ。
もちろん、僕のように写歴の長い経験者にとっても満足のいく仕上がりになっているため、コストパフォーマンスの高い防湿庫を探している中上級者のニーズにも応えられるだろう。
今回見てきたように、高温多湿な時期が半年以上ある日本の気候風土で大切な機材を湿害から保護するには防湿庫の用意が欠かせない。また、梅雨や夏場以外でも年間を通して機材保管の役に立つので、防湿庫は絶対に無駄にはならない。
防湿庫の導入を検討している方は、ぜひこのRe:CLEANシリーズを検討してもらえればと思う。僕も自信を持ってお届けできる逸品になっている。
今回のレビューで紹介したRe:CLEAN RC-50Lはこちら↓
容量50Lの後継モデル、Re:CLEAN NEXT RCN-50Dはこちら↓
RC-80Lの事実上の後継である新シリーズの大容量モデル、Re:CLEAN NEXT RCN-70Dはこちら↓